「ナチュラル美人」という言葉がぴったりの、本上まなみさん。

カメラの前ではスタイリッシュだけれど、素顔はふんわり優しく周囲をふっと和やかにする“大人の可愛さ”を湛えています。

俳優、ナレーター、エッセイストとして活躍する彼女は、DAMA collectionの読者層と同じミドル世代。
女性がフィジカルな変調を覚え、精神的にも揺らぎがちな時期をどのように受け止め、対処しているのでしょうか＿＿。

ライフスタイルとファッション、気になる２つの側面を取り上げ、チャーミングな笑顔の秘訣を探りました。

お仕事は東京、日常は京都…と多忙な生活を送る、本上さん。
もともと東京にあった住居を移したのは、今から約10年前。きっかけは何だったのでしょうか？

「私自身、緑が豊かな所で育っているので、土に近い場所で子育てをしたかったんです。京都は、夫と私の実家のちょうど中間地点。自然と文化が程よく調和している感じがいいなと思って決めました。」

18歳のデビューから途切れなく名立たるドラマや映画に出演し、�W華やかな世界�W にさぞ馴れていると思いきや、 「もともと落ち着いた街並みや古いものを大事にする暮らしが性に合っていて、住み始めた時から居心地がいい」とのこと。

華やかな中にあっても軸がぶれない、ひとりのスマートな女性像が浮かび上がります。

現在の住まいは、鴨川の程近くにある一軒家。
「子どもたちは木に登り、水遊びをして、私も自然体でいられる環境を楽しんでいます。」

意外なことに、�W京都＝一見さんお断り�Wのイメージは「住んでみるとまるで違う」らしい。

「むしろ皆さん好奇心が強くて、新しいものに対するアンテナが敏感。学生の街でもあるので、他所からの人の出入りに慣れているのでしょうか。古さを守りながらも、新しさに寛容で貪欲です。」

�W研ぎ澄まされた�W と表現される京都の感性は、そんなふうに磨かれているのか…と唸らされるお話。
ふだんの生活で、土地の美学に触れる機会は？ と尋ねると、

「それはもう、至る所で。地元の方に長年愛されている和菓子屋さんなんかもそうですし、センスの良い老舗があちこちにあって、暮らしと美意識が一緒くたになっています。」

またその一方で「銭湯を改装したユニークなカフェ」など、今のカルチャーを感じさせる店が多いのも京都の特徴。
ファッションのトレンドも街角でキャッチすることが多いのだとか。

「例えばレストランや美術館など。その場でぱっと目に付く人はやっぱりどこかフレッシュで素敵な格好をしていて、 着方だったり色使いだったり、その人のセンスやひととなりまで浮かび上がるような装いに惹かれます。」

とりわけ目が行くのは、カラーの着こなし。
「綺麗な色をさらっと着ていると、カッコいい！と思います。自分もそんな風になりたいので、ブルーとかグリーンとか鮮やかな服に会うと、つい買っちゃおうかなぁと（笑）」

夏は世に知らず暑き… と言ったのは、千年前京都を訪れた清少納言。
状況は今も変わらず、猛暑の厳しさは全国でもトップレベルだそうです。

「それはそれは暑くて、日中の外出が憚られるくらい。 夏の装いがしたくて近所の呉服屋さんで誂えた浴衣も、袖を通す機会があまりない」と残念な様子。

「日中は肌を出すと本当に暑いんです。なのでシンプルな服に薄い羽織物やストールを巻くことが多いです。 特に麻製のストールは涼しさが違うのでこの時季の必需品！ 色合いや模様、織り方などいろいろなバリエーションを揃えています。」

図らずも、この日の私服は白いストールが主役。顔周りに光を集めるようにくるくると巻かれた一枚から、お洒落好きが伝わってきます。

今号のDAMA collectionから撮影用に選んだ、夏のスタイルは２つ。
まずセットアップについて感想を伺うと、

「見た目はきちんとしていますが、実際の着心地は柔らかくてリラクシング。 最近ノースリーブをあまり着ないのですが、これは肩の辺りが出過ぎないのでドキドキしない…（笑）。 ボディに沿い過ぎず、身体の線を美しく見せてくれて、良く考えられた服だと思いました。」

またブラウスに関しては、

「白いブラウスは自分の中で特別な存在。身に纏うと気分がシャキッと上向きます。バテンレースの優雅さもさることながら、襟立ちが固過ぎずにキリッとしていて、絶妙な仕上がり。手仕事の温もりが好きなので、袖口のレースにもくすぐられます。ミドルエイジ向けと聞いていましたが、若い世代にも似合いそう。年齢の枠を感じさせないデザインですね。」

程なく節目の年に差し掛かる、本上さん。
女性が揺らぎがちな時期を、どんな思いで過ごしているのでしょう？ 少しシリアスに問いかけると、
「そうですね…」と一息置いて、こう答えてくれました。

「最近ようやく家の事から手が離れ始めて、友達と気兼ねなく食事したり旅行したり、自分自身の楽しみを持てるようになりました。 それが新鮮で、とっても楽しいんですね。 これからもっとそういう時間が増えると思うと、この先にはもう期待感しかありません（笑）。」

「人生って今、長いですよね。ご近所にも80代90代の元気な方がたくさん居て、 お散歩して体操してモーニングを食べてきたのよ…という人に、朝７時半くらいに会う（笑）。 周りが人生を謳歌しているから、自分もエンジョイしなきゃ！ と思わされます。」

また同時に考えるのは、今まで周りにお世話になってきた分、今度は自分が社会や若い人達に還元したいということ。

「感謝の気持ちを何かの形でお返しできたら。そのためにもポジティブでいないと。」

繕うことのない口調に、優しい強さがこもっていました。

そして�Wポジティブさ�W を後押しするのは、他ならぬファッション。

「自分をどういう風に見せたいか＿。等身大の自分というベースがありつつ、少し背伸びしたかったり、 新鮮な気持ちでいたかったり、そういう時に足りない部分を補ってくれるのが、ファッション。 自分をちょっと素敵に見せてくれて気分も引き上げてくれる、�W頼れる味方�Wのような存在ですね。」

さらに、若い頃より経験を積んだ今の方がお洒落に積極的と続ける。

「気分を明るく切り替えたい時は、新しい服を手に取ります。 素敵な洋服を見ると、着ていきたい場所が浮かんできて、それが実際の体験になる。 そして思い掛けない楽しさや喜びに出会う。 幸せの連鎖を生むような服選びがしたいです。」

そう言ってにこやかに微笑む、本上さん。
その温かく前向きな姿勢が、ナチュラルな美しさの源泉なのでしょうか。
お洒落を味方に、次はどんな�W素敵�W を私達に見せてくれるのか、大いに楽しみです。