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専門家「風景」をつくるガーデニング術

我が家の「バラの壁庭」ができるまで

居場英則

慌ただしかった今年の春のバラシーズンも終わり、ことバラに関しては穏やかに見れる時期になりました。

今回は、我が家の一番の見せ場、前庭の建物外壁を使って、何種類ものつるバラを誘引して演出している

「壁庭」にクローズアップして紹介してみようと思います。

普段は咲いている様子しか目に留まりませんが、花や葉っぱもない枝だけの時期の、

いわゆる「誘引風景」などを見ていただきつつ、この4年間で、この「壁庭」がどのように変化してきたのかも、

同じビューポイントからの写真を時系列で比較しながら見ていただこうと思います。

● ほぼ完成形! 前庭と中庭をつなぐガラス扉廻りのアーチ型に誘引した「壁庭」DSC_0202.jpg

こちらは、今年2016年春の我が家の「壁庭」の様子です。

特に、前庭と中庭をつなぐガラス扉を囲むようにアーチ型に何本ものつるバラを誘引しています。

乱張り石で固められた地面には、土の部分が少ないため、地植えのつるバラだけでなく、

鉢植えのつるバラも使ってボリュームアップを図っています。

バラを始めて4年目の今年、ほぼこの壁面をバラで埋め尽くす事が出来ました。

● つるバラの品種特性を考慮した誘引風景

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こちらは、今年1月のガラス扉廻りのつるバラの誘引風景です。

葉っぱもなく、つるだけが波紋を描くように壁に張り付いています。

この場所に誘引しているそれぞれのつるバラの特性(ステムの長さの違いや樹形など)を考慮し、

うまく共存できるよう配慮しました。

バラの花が咲いている期間(5月の約1ヶ月間)に比べ、この写真のような枝だけが露出する期間(1月〜3月)

の方が圧倒的に長いので、誘引風景をできるだけ美しくみせれるよう、頑張っています。

(↑うまくいっているかは別として:汗)

● 「パレット」と称する我が家の前庭の大きな「壁庭」風景

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少し引いて、我が家の前庭に面した建物外壁に誘引したつるバラのほぼ全景が入る位置から写真を撮ってみました。

この大きな建物の外壁面のことを、「パレット」と呼んでいます。

「キャンパス」ではなく「パレット」。

画家が絵の具を混ぜて、描きたい色を作り出す、まさにパレットです。

淡いピンクから濃いピンク、赤まで、同系色の花色をグラデーションさせながら、

「このパレット」上で色を作り出しています。

写真で見えている範囲で、12本のつるバラが誘引されています。

毎年、誘引の仕方で、その年の春の風景が変わるという、いつまでも正解のない色合わせ。

来年は、どんな風に咲かせようかと考えるのが、楽しみのひとつです。

● 「パレット」のつるバラの誘引風景

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こちらは、この冬の「パレット」のつるバラの誘引風景です。

葉っぱも何もないので、壁に誘引されたつるだけが複雑な模様を描いています。

画面真ん中に株立ちの高木・アオダモが植っていますが、そこにだけ花壇の土があって、

ほかの駐車場や玄関アプローチのため、乱張り石で固められており、土がまったくありません。

そんな状況のなか、大きな壁面(パレット)を後世するつるバラのボリューム感を上げるために、

鉢植えのつるバラを多用しています。

鉢植えのつるバラでも、十分に大きな壁面をカバーでき、戦力になってくれます。

● メインローズのドロシー・パーキンスの誘引を解きました。

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少し時間を逆戻ししてみます。

前庭のメインの壁庭のかなりの部分を占める、我が家のメインローズ、ドロシー・パーキンス、

そのドロシーの誘引を一旦解き、改めて仕立て直すために、枝の整理を行っているところです。

ドロシー・パーキンスはランブラーという、一季咲きの良く伸びるタイプのつるバラなんですが、

自立できす、誘引を解くと、写真のように地面に垂れてしまいます。

このあやとりの紐のようにこんがらがったつるを、根気よく解き放ち、整理し、剪定して、

再び壁面に仕立て直す作業を毎年、実施しています。

手間はかかりますが、このひと手間をかけることを美しい誘引風景をつくることができます。


● 「壁庭」の誘引作業風景

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こちらは、「パレット」に誘引する予定のつるバラを順番に、壁面に仕立てていく作業中の写真です。

曲げるのが難しい枝の太い品種(ジャスミーナ、画面中央)をまずは誘引し、それに沿うように、

鉢植えのつるバラ、レオナルド・ダ・ヴィンチ(画面右側)を誘引しました。

つぎに、一番つるの長さが長いメインローズのドロシー・パーキンス(画面左側)を誘引作業中です。

何度も壁から離れて、全体の様子を確認しながら、春に咲く風景をイメージしながら、誘引作業を進めてきます。

そして、仕上がったのが2枚上の写真です。

春に花が満開の頃の写真と見比べて、ほぼイメージ通りに今年は咲かせる事ができたかな〜と思っています。

ここからは、この「壁庭」の経年変化について、時系列で写真を比較しながら見て行きましょう。

● バラを始めて1年目(2013年春)の壁庭

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こちらは、バラを始めて1年目、2013年の5月の様子です。

我が家のメインローズに位置づけたつるバラ、ドロシー・パーキンスは、この年の冬に長尺苗で植え付けたものの、

やはり一年目の春は、この程度しか咲きませんでした。

建物の外壁のほとんどで、新築時と同じ、割肌調の白い大理石タイルが露出しています。

● バラを始めて2年目(2014年春)の壁庭

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こちらは、バラを始めて2年目の春のバラの開花時期の様子を撮影したものです。

メインローズのドロシー・パーキンスは、一季咲きのランブラー品種のため、成長力がすごく、

あっというまに5m以上のつるを伸ばしました。

ただ、たくさんの花を咲かせようと、ほぼ真横に誘引したつるがライン状になっていて、

ボリューム感がない感じです。

ガラス扉の向こう側でも、一季咲きのつるバラ、キング・ローズは大きく成長していて、

ほぼ壁を埋め尽くすほどになっていました。


● バラを始めて3年目(2015年春)の壁庭

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こちらは、バラを始めて3年目の2015年の春の開花の様子です。

バラの師匠からも、3年は我慢して育てて下さいねっ!と言われていましたが、

その3年が経った前庭はここまで充実してきました。

建物外壁の大きな空間を、ほぼ埋め尽くすようにつるバラが咲いてくれました。

ある程度、完成といっても良いほどの状態にはなりましたが、いくつか改善点も見られました。

画面左端、メインローズのドロシー・パーキンスのピンク色の花の下で、緑だけになっているエリアが見えますね?

そう、そこだけが、開花時期が合わず、遅咲きのメインローズのドロシーが開花する時には、

すでに一番花が終わっている状態でした。

ここも同じ時期に咲かせたい!という思いで、鉢植えのつるバラの配置を見直ししました。

● バラを始めて4年目の今年(2016年春)の壁庭

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こちらは、バラを始めて4年目の今年2016年春の前庭風景です。

昨年の課題となった、一部、花期の合わなかったバラを入れ替え、バッチリ、花期を合わせたので、

壁一面、ほぼ同時に花が咲きました!

ほぼ完成形と思っていた昨年の3月より、密度感も上がり、ピンク〜赤への花色のグラデーションも

うまくまとまったかな〜と思います。

ピンク色のものが好きだった妻を偲んで、ピンクの花を庭中に咲かせたいと思って始めた

ボクの「バラ庭づくり」も、4年目の今年で一定の成果は出せたかな〜と思っています。

もうすぐ、妻の4回目の命日を迎えますが、長いようで短かかった4年間でした。

天国から、どのように思って見ているでしょうね?(笑)

笑ってくれているといいのですが・・・(汗)。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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