gensen dinos編集部(以下:編) ディノスでも環境に配慮した商品は、まだ少なく、今後増やしていこうと思っているのですが…。
中石 日本ではオーガニックやサステナビリティといった商品が浸透しにくいんです。そもそも持続可能なライフスタイルを志向しても商品やサービスが少ないし、あっても値段が高かったり、機能やデザイン性が低かったり。
編 中石さんは、2013年にビオホテルジャパンを設立されましたね?
中石 「ビオホテル」は宿泊客の健康と環境に配慮する宿泊施設に認証を与えるもので、オーストリアに本部を置くビオホテル協会と提携して「ビオホテルジャパン」を設立しました。
編 欧州から見ると日本は環境後進国ですから、提携は難しかったのでは。
中石 日本では無理だからやめておけと言われました(笑)。でも無理だからこそやりたいと思っていました。現在3軒の宿泊施設と住宅、ヘアサロンの計5施設が認証を取得し、またビオホテルブランドとして環境への負荷が少ない商品・サービスの提案をしています。しかし、やはり難しい…。そこで、作る側の企業にアプローチしようと、「サーキュラー・エコノミー・ジャパン(CEJ)」を立ち上げました。
編 それはどういったものですか?
中石 これまでの経済活動は、資源を採って、使って、捨てるという大量生産・大量廃棄を前提としてきました。しかしそれは欧米ではすでに過去のもの。今はいかに資源を少なく、廃棄物や汚染を無くしながら、その循環の中でいかに付加価値を生み出すかという方向に変わってきています。つまり経済成長・人間の幸福と環境負荷低減を両立するための取り組みなんです。
編 東京インターナショナル・ギフト・ショーでも、サステナビリティゾーンのプロデュースも手がけていますね。
中石 持続可能なライフスタイルの提案といっても、モノを売るだけでは難しい。経済の仕組みから変えていかなくてはなりません。特に日本は世界に遅れをとっているので、企業はもとより自治体、中央省庁にも働きかけています。
編 「サステナビリティ」の取り組みを始めたきっかけは?
中石 子どもの頃から頭痛持ちで、普段の生活も苦しいほど酷かったんです。それで何か体質改善をしようと思い、まずは食べ物から化学物質を含まないものに切り替えました。すると3カ月ほどで体調が改善しました。そこからライフスタイル全体もナチュラルに変えていきました。世の中には、私と同じように辛い思いをしている人が多い。その人たちがラクな暮らしができることをしたいと思って起業しました。
編 オーガニックは健康にも環境にもいいですが、やはり値段が高い…。モノを買うときは1円でも安い方がいいですよね。環境に配慮しているから高いというのも押し付けがましい。何かデザイン性や機能性などの付加価値が必要なのでは…と思います。
中石 最近「エシカル消費」ということを言われますが、「倫理的に買いなさい!」と強要してはダメです。オーガニック、ナチュラル、サステナブルだから高くてもいい。デザインが悪い、使い勝手が悪くてもエシカルだから買いなさいというのは違います。作る側が努力して、買ってもらえる商品を作らないと…。ほぼ同じ機能、デザインですが、こちらは地球に優しく、環境や社会が良くなるとなれば、少しだけなら高くても買ってくれます。