「東洋と西洋の交差点」、「アジアとヨーロッパの架け橋」など様々に形容されるトルコのイスタンブール。イスラム教のモスクとキリスト教の教会が混在しているかのような独特の雰囲気を持つ建築物も多く、世界遺産の宝庫にもなっています。

なにしろ一つの街がアジアとヨーロッパの両側に広がっているのですから、それだけでもなんとも魅力的な響きがするものです。

旅先で観光地から少し離れたところに出かけ、路地を散歩する時間は、私にとってなんとも言えない至福のひとときです。

観光地にはもちろん歴史や伝統や美しい自然など、その土地を象徴する魅力があるわけですが、そこで接する人や物は、言ってみれば「ちょっとよそ行き」なのが前提だと思うのです。他の国から旅行で来た方々をもてなす場なのですから、それも当然と言えば当然です。でも、その土地の人々が日常を送る路地のようなところには、いわば「ふだん着の空間」があるように思え、とても魅力的に感じるのです。

イスタンブールの街の路地に一歩足を踏み入れてみると、そこにも人々の雑多な日常が息づいていました。

ひしめき合うように立ち並ぶ住宅。子どもたちの声。そして昼食時にはどこからともなく漂ってくる美味しそうな香り・・・。日常に当たり前に存在するものが、そんなふうにないまぜになって、視覚、聴覚、嗅覚から一度に押し寄せてくるのが路地を歩く魅力の一つでしょう。 「東洋と西洋の交差点」、「アジアとヨーロッパの架け橋」など様々に形容されるトルコのイスタンブール。イスラム教のモスクとキリスト教の教会が混在しているかのような独特の雰囲気を持つ建築物も多く、世界遺産の宝庫にもなっています。

なにしろ一つの街がアジアとヨーロッパの両側に広がっているのですから、それだけでもなんとも魅力的な響きがするものです。

旅先で観光地から少し離れたところに出かけ、路地を散歩する時間は、私にとってなんとも言えない至福のひとときです。

観光地にはもちろん歴史や伝統や美しい自然など、その土地を象徴する魅力があるわけですが、そこで接する人や物は、言ってみれば「ちょっとよそ行き」なのが前提だと思うのです。他の国から旅行で来た方々をもてなす場なのですから、それも当然と言えば当然です。でも、その土地の人々が日常を送る路地のようなところには、いわば「ふだん着の空間」があるように思え、とても魅力的に感じるのです。

イスタンブールの街の路地に一歩足を踏み入れてみると、そこにも人々の雑多な日常が息づいていました。

ひしめき合うように立ち並ぶ住宅。子どもたちの声。そして昼食時にはどこからともなく漂ってくる美味しそうな香り・・・。日常に当たり前に存在するものが、そんなふうにないまぜになって、視覚、聴覚、嗅覚から一度に押し寄せてくるのが路地を歩く魅力の一つでしょう。

ところが、イスタンブールの路地には、他の土地の路地とはまるで違うことが一つあります。それは、坂道の多いイスタンブールの路地の少し高いところから見下ろすと・・・路地の奥には対岸が見えるということです。ヨーロッパ側から見ればアジア側、つまり西洋側の路地から東洋の世界が見えるというわけなのです。 ところが、イスタンブールの路地には、他の土地の路地とはまるで違うことが一つあります。それは、坂道の多いイスタンブールの路地の少し高いところから見下ろすと・・・路地の奥には対岸が見えるということです。ヨーロッパ側から見ればアジア側、つまり西洋側の路地から東洋の世界が見えるというわけなのです。

路地の目の前にはイスタンブールの人々の日常が存在していて、その奥には世界地図を思い描いてしまうようなスケールの大きな光景が広がっています。それらが同時に飛び込んでくるのです。

もっとも、そこで暮らしている人々にとってはそれも含めて日常なのでしょう。
とはいえ、路地という空間に、何かローカルな雰囲気の魅力を求めてやってきた者には、「路地の世界」と「世界地図をイメージできてしまう世界」という大きなギャップはなんとも不思議なものです。

こんな感覚に襲われる路地は、きっと世界中を探してもイスタンブールだけなのではないでしょうか。イスタンブールの路地を歩くとき、私はいつも視界の中の対岸を無意識のうちに探してはそんな思いに浸ったものでした。 路地の目の前にはイスタンブールの人々の日常が存在していて、その奥には世界地図を思い描いてしまうようなスケールの大きな光景が広がっています。それらが同時に飛び込んでくるのです。

もっとも、そこで暮らしている人々にとってはそれも含めて日常なのでしょう。
とはいえ、路地という空間に、何かローカルな雰囲気の魅力を求めてやってきた者には、「路地の世界」と「世界地図をイメージできてしまう世界」という大きなギャップはなんとも不思議なものです。

こんな感覚に襲われる路地は、きっと世界中を探してもイスタンブールだけなのではないでしょうか。イスタンブールの路地を歩くとき、私はいつも視界の中の対岸を無意識のうちに探してはそんな思いに浸ったものでした。

路地のような空間の雰囲気を写真で表現するのは案外難しいものかもしれません。
「路地の片隅に咲く花」や「路地をゆく人」などのような写真は何がメインかがわかりやすいので、シンプルに構図を決めやすいです。ですが、雑多な雰囲気の路地の魅力は様々なものがあってこそですし、むしろどの被写体がメインというものではないですよね。
あれやこれやとたくさんの被写体を写し込まずに、メインになる被写体を決めて構図を整えて・・・というのは構図の初歩のように語られがちですが、あまりその考え方にとらわれすぎていては、路地のような場所の雰囲気を写真に込めるのは難しいでしょう。
むしろ、狭い空間にいろいろな被写体が詰め込まれているような雰囲気こそがメインになるわけですから、それならば、あえてごちゃごちゃした感じを強調したほうがいいわけです。
【写真１】はそんなことをイメージして捉えどころを選んでいます。 路地のような空間の雰囲気を写真で表現するのは案外難しいものかもしれません。
「路地の片隅に咲く花」や「路地をゆく人」などのような写真は何がメインかがわかりやすいので、シンプルに構図を決めやすいです。ですが、雑多な雰囲気の路地の魅力は様々なものがあってこそですし、むしろどの被写体がメインというものではないですよね。
あれやこれやとたくさんの被写体を写し込まずに、メインになる被写体を決めて構図を整えて・・・というのは構図の初歩のように語られがちですが、あまりその考え方にとらわれすぎていては、路地のような場所の雰囲気を写真に込めるのは難しいでしょう。
むしろ、狭い空間にいろいろな被写体が詰め込まれているような雰囲気こそがメインになるわけですから、それならば、あえてごちゃごちゃした感じを強調したほうがいいわけです。
【写真１】はそんなことをイメージして捉えどころを選んでいます。