コーヒーコラムを書いているMAME'S（マメーズ）の椎名さんに、ハンドドリップで淹れる美味しいコーヒーのコツを教えていただきます。第一回目は、ドリッパーの種類と違いについて。

私が使っているのは、HARIO(ハリオ)のV60ドリッパー。これって、サードウェーブコーヒーをたのしめるお店でよく使われていて、その恰好良さにも惹かれて選んだのです。他にもKONO式(コーノ式)やKalita(カリタ)、Melitta(メリタ)といったメーカーからそれぞれ独自のドリッパーを出しています。

実は、どれを使えばよく分からず選んでしまったこともあり、最初にドリッパーの種類と違いについて教えてもらったのです。すると椎名さんから、思いもよらないお話を聞けたのでした。

ドリッパーの種類ごとに入れ方の難易度と味の自由度が変わる

「ドリッパーはそれぞれ独自の形をしているのには理由があって、目指す味わいが違います。そして、これを覚えておいて欲しいのは、ドリッパーの種類でコーヒーを淹れる難易度が変わります。それは、味わいの自由度とも関係があるんです」

比較するならと、示してくれたのがこの図。自由度が高くて難易度も高いのがHARIO(ハリオ)のV60。そして、逆に自由度が低くて難易度も低いのがMelitta(メリタ)のアロマフィルターなのだそう。

難易度も高いが味の自由度も高いのがHARIO(ハリオ)のＶ６０

「HARIO(ハリオ)Ｖ60」は、一つ穴でお湯を注ぐスピードと同じくらいの流速でコーヒー豆を通過していきます。このお湯を注ぐスピードを調整することで、うま味を強めに出すとか、酸味を出すといった味わいを出すのに自由度が高いんです。ただし、それは逆に言えば淹れるのが難しいということです。お湯の注ぎ方を繊細にコントロールする必要がありますから」と椎名さん。

最も簡単に安定した味わいが楽しめるMelitta(メリタ)

見た目とかで選んでしまっていたのですが、そんな秘密があったのですね。逆に最も簡単に淹れられるのがMelitta(メリタ)のアロマフィルター。

「お湯が底に溜まるようになっていて同じスピードで抽出するので、お湯を入れて待っていれば自動的にコーヒーの味わいを引き出してくれます。ただし、同じスピードで抽出するので味わいが安定している。つまり自由度は低いけど簡単という特徴があるわけです」

繊細なお湯のコントロールが必要なく味が安定するKONO式(コーノ式)

そしてその中間に位置しているのが、KONO式(コーノ式)ドリッパー。これはHARIO(ハリオ)よりも歴史のある一つ穴のドリッパーです。

「1つ穴タイプということで言えば、KONO式(コーノ式)の方が古いんです。よく見るとドリッパーの角度やスリットの形が違うでしょう。これは、コーヒー豆のうま味を引き出すために研究を重ねてできたものです。HARIO(ハリオ)Ｖ６０ほどお湯の注ぎ方を繊細にコントロールする必要が無い割りに安定してうま味のあるコーヒーを淹れることができます」

自分流の味わい、そして自分が好きなデザインも選べるKalita(カリタ)

そして、3つの穴があることが特徴のKalita(カリタ)。陶器のものがおなじみですが、TSUBAMEなどとコラボしたさまざまなバリエーションがあるのも魅力です。

「Kalita(カリタ)のドリッパーは3つの穴があることが最大のポイント。Melitta(メリタ)よりも自由度が高いので自分流の淹れ方を追求できるんです。それと、HASAMIなどのブランドとコラボしている商品も多いのでデザインなどで選ぶ楽しみもありますね」

と、椎名さん。それぞれのドリッパーの違いを説明してくれました。自由度が高いけど難しいHARIO(ハリオ)、淹れるのが簡単なMelitta(メリタ)。そして、自由度と安定性の両方を求めるならKONO式(コーノ式)かKalita(カリタ)。こんな風にそれぞれの特徴があるなんてご存知でしたか？

コーヒー豆の味わいを引き出すポイントになるのが淹れ方。それを大きく左右するドリッパーの種類。おうちカフェで美味しいコーヒーを淹れるなら、ドリッパー選びは重要。自分が求める味わいやコーヒーを淹れるスキルと相談しながら選びたいものですね。

次回は、それぞれのドリッパーの美味しい淹れ方をお届けします。