レトロおしゃれなベルリンカフェめぐり vol.18 ~ ELA
壁に色をペイントするだけで、一気に洗練された印象になるということを、vol.15の回で書きました。色があるだけでスタイリッシュになり、家具もグレードアップして見えると思います。
このときのウォールカラーはグレイッシュなグリーンでしたが、今回ご紹介するカフェはグレーの壁が印象的です。
グレーの壁がスタイリッシュ。
古い窓枠を店の外にも出してアピール。
ベルリン・クロイツベルク地区のカフェ・レストランELA(エラ)は、カジュアルで落ち着いたカフェ・レストラン。このエリアでは移民文化や元ヒッピー、エコなど多様な文化・人が共存しており、個性的な個人店が並んでいます。そうした環境にあって、ELAは誰でも気軽に入れて好まれやすい雰囲気が漂っています。
vol.15のカフェも、今回のELAもウォールカラーで共通するのはグレイッシュなトーンということ。トーンとは色の明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)を組み合わせたもの。グレイッシュなトーンはグレーを混ぜた色で、落ち着いた印象をもたらします。
どんな場所にも目的があります。たとえば子ども部屋やキッチンなら、元気でフレッシュな気分になりたいもの。そんなときは鮮やかな色がぴったりです。
逆にカフェやリビングはゆったりとくつろぎたい場所ですから、グレイッシュなトーンにするとより落ち着けます。
グレーは、グレイッシュトーンの中でも、いちばん挑戦しやすい色だと思います。黒・白・茶系など幅広い色の家具と合わせやすいですし、素材も木材・メタルなど問いません。
ELAではテーブルはナチュラル木製、椅子と天井のインダストリアルライトは黒と、シックでモダンにまとめています。
メニューを入れたフレームはモダンなデザイン。
古い窓枠をメニューボードに利用。
そしてインテリアの主役を果たしているのが、中央に飾られた大きな写真パネル。じつはオーナーのダニエラさんはフォトグラファー。このパネルは自身の作品なのです。
ダニエラさんの写真がポイント。
アーティストの作品は高価なことも多いですから購入するのは勇気が必要かもしれませんが、ポスターなどは主役級になれてお財布にも優しいと思います。
大きな絵や写真は、そこに目を引きつけるアイキャッチ効果があります。そうしたポイントを部屋のどこかに作ると、メリハリがつくのでおすすめです。
ところで、グレイッシュトーンをベースにすると、「ちょっと地味になりすぎるのでは?」と思うかたもいらっしゃるかもしれませんね。
そこで差し色です。差し色とは全体に対してアクセントになる色のこと。グレーの面積が多い空間に、赤やピンクなど明るく鮮やかな色がポンッ、ポンとあるだけで、急に生き生きとします。
ELAでは、各テーブルに置かれた一輪挿しの花が差し色の役割。ピンク色がグレーに映えていますし、花びらのソフトな感触も室内を柔らかい印象にしてくれます。
花はさりげないもののほうが素敵。
色と形が対照的な花の組み合わせも面白い。白いアイテムはグレーの背景があるとよりきれいに見える。
鉢カバーにしたバケツがキュート。
こうしたアイテムが増えると、よりシャビーに。ELAの場合は、ディナーやワインも出すレストランでもあるので、それよりはモダンなテイストにしているのだと思います。
場の役割を考えながら家具や雑貨アイテムを選ぶと、より心地いい空間ができると思います。
入り口。ブルーの外壁に白い椅子が映える。
ELA
このレポートを書いたのは、久保田由希さん
東京都出身。日本女子大学卒業。出版社勤務の後、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいという気持ちから、2002年にベルリンへ渡りそのまま在住。著書や雑誌への寄稿を通して、ベルリン・ドイツのライフスタイルを中心とした情報を発信している。きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)、『心がラクになるドイツのシンプル家事』(大和書房)ほか著書多数。
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