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ホットディノストップ > Interview  > かくた みほ さん(前編)

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透明感のある光に包まれたやさしい写真で多くの人の心をとらえる、注目の女性写真家かくたみほさん。人や動物から風景まで、その被写体は多岐に渡るものの、すべてに共通するのが、彼女ならではのやわらかな光と穏やかなトーン。それは、かくたさんご自身の優しく暖かい人柄そのもののようにも感じられます。

今回はそんなかくたさんに、普段あまり語られることのない、写真家になるまでのこと、撮影でのエピソードなど、興味深いお話をたくさん伺いました。また、実際に“撮影散歩”に同行、公園を散策しながら、かくたさんが「撮りたい」と感じる瞬間や被写体、撮影するときのちょっとしたコツなどを教えていただきました。この“撮影散歩”の模様は後編でじっくりご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

3つのQUESTION

Q1 人生のモットーはなんですか?

精一杯、取り組むこと。

Q2 今、1週間自由な時間があったら何をしますか?

旅。

Q1 ご自身とっての『♪』な瞬間〜自分にとって幸せ・うれしい・充実感を感じる瞬間〜を教えてください

誰かが喜んでくれたとき。撮影に関わったひとたちや、知らない人に道を聞かれたときなど小さなことでも人がよろこんでくれると温かい気持ちになります。

わたしだけ、風景や帰り道で見つけたものばかり撮っていた

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

─ 写真に興味をもたれたきっかけは何だったんでしょうか?

おじいちゃんが油絵を描く人だったんですけど、カメラも好きで。その場でスケッチをするだけでなく、写真を撮ってそれを見て油絵を描いていたのをすごく覚えているんです。孫だからって撮られることも多くて・・・だから、小さい頃から写真自体すごく身近なものだったんですね。
それで高校生ぐらいのときに自分でも撮り始めて・・・。学校や遠足に行くときに(カメラを)もっていったりしていたんですが、みんなは友達といっしょの写真を撮るのに、わたしだけ、風景だけの写真や通学路で帰り道に見つけたものを撮っていました(笑)。
CDジャケットだったり、印象派の絵だったり、とにかくビジュアル的なものに興味があって、その頃から「ポストカードみたいな風景写真、(部屋に)飾れるような写真が撮りたいな」って思っていたんです。もっとも、当時は親のオートフォーカスカメラを使っていたので、絞りやシャッタースピードといったテクニックも何もなく、ただ押したら撮れるっていう状況で、本当にもう趣味程度だったんですけど。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

そんな風にCD・レコードジャケットに憧れていたこともあり、デザイン関係の仕事をしたいなと思って、卒業後はグラフィックの専門学校に行ったんです。ところが行ってみたら、デザインというより絵を描く授業がすごく多くて。でもわたし、すごく絵が下手だったんですよ(笑)。だからもう大変。
ただ、最後のほうの半年間に自分で写真を撮ってそれに字をレイアウトする、といった授業があったんですね。実はそれまで写真からは離れていたんですが、そのとき「絵を描くより、写真を撮る方が向いているかも」と思って。そこで改めて写真に興味を持ち、初めて自分専用の一眼レフカメラを買ったんです。でも使い方が全くわからず、とりあえずオート設定で撮っていました(笑)。

その後、名古屋のデザイン会社に就職したんですが、じっとパソコンの前で仕事をしているのが合わなくて3ヵ月で辞めてしまったんです。でも、デザインの仕事・・・そういうビジュアルを作るっていう仕事は好きだったので、「名古屋には自分が思うような仕事はない」なんて言って(笑)、仕事もなにもないのに、とりあえず東京に出てきちゃいました。
出てきてアルバイトを探してたら、みつけたのが撮影スタジオのアシスタント。そこで、(カメラの)設定をいろいろしたり、ライティングを工夫するとこういう写真が撮れるっていうのがわかって、それから急に写真に強い興味がわいて、すっかりのめりこんでしまったんです。

「正方形で作る」っていうのに憧れていた

─ いつもカメラを持ち歩かれていらっしゃるんですか?

ちょっと遠出するときは持っていきますね。
写真を撮るときは、すべて作品にするのを前提にしているので、いつも決まって、この『ハッセルブラッド』っていう正方形に撮れるカメラを持っていきます。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

─ 珍しいカメラですが、もうずっとそのカメラをお使いなんですか?

そうですね。もう10年くらい。
アシスタントのとき、師匠が予備のカメラとしてハッセルブラッドを持っていたんです。予備なのであんまり登場しないんですが、1度使ったときに、コンパクトで三脚がなくても手で持って撮れるサイズだからこれはいいなと思って。
師匠も「女の子のカメラマンで、機材がたくさんなのは大変だよ。これはコンパクトだし、仕事でも使えていいカメラだよ」って話していたので、すぐ中古カメラ店に買いに行ったんです。
(使ってみたら)わたしが求めている条件をすべてクリアしている、本当にオールマイティな使いやすいカメラだったんですね。

まずこの「正方形に撮れる」っていう画角が新鮮で楽しくて。もともとCDジャケットがやりたくてこの世界に入ったので、「正方形で作る」っていうのに憧れていたんです。だから、これはいいと(笑)。
ただ、古いカメラなので、いちいち全部手で絞りも合わせて、シャッタースピードも合わせて、ピントも合わせて撮らなきゃいけない。オートフォーカスが効かないっていうデメリットはありましたが(笑)。
でも、なじんでくるとそれが苦じゃないというか、当たり前になってきて。それで、ずっと愛用しています。レンズを買い足したり、修理したり。さすがに普段持ち歩くときは新しい型のハッセルブラッドを使っていますが、一番最初に買った中古のもまだ現役。もう何度も修理をしていて、カメラ屋さんにも「これ、仕事で使うと擦りきれちゃうからだめだよ」って言われていますけど(笑)。

─ 絞りもピントもすべて手で合わせてとなると、シャッターチャンスに出会ったとき、その一瞬をとらえるのがものすごく大変そうな気がするんですが。写真集『あふるる』の中のシカの写真など、偶然とは思えない瞬間をとらえていらっしゃいますし。

そうなんですよ。いつも「早くピントを合わせなきゃ」って感じで(笑)。
あのシカの写真は、奈良公園で撮ったんです。
土手みたいなところにいたら、ちょうど一頭だけが水を飲みに下りてきたので「逃げないで〜」って思いながら、じりじり近寄って(笑)。

もともと、動物や植物といった自然のものが好きなので、たぶん向こうもそれを分かってくれてるんじゃないかな。
よく犬とか猫も好きな人が撮ると上手に撮れるっていうじゃないですか。
それといっしょで野生の動物も、好きっていう光線が出るようにアピールしていると、意外と心を開いてくれるような気がします(笑)。

あと・・・このカメラだと普通のカメラと違って、構えたときに両手でもって下を向いてのぞくので、おじぎしたような形になるんですよ。
それであんまり威圧感を与えないから、動物なんかを撮るのに向いていると(師匠に)言われたことがあります。

でも、シャッターの音がバシャッてうるさいから、撮るとビクッとしてすぐ逃げられちゃう。だからいつも一発勝負(笑)。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

デジタルよりフィルム、そして手焼きすることへのこだわり

─ 動物のほかにも、人や景色などさまざまな写真を撮られていますが、被写対象としては何に一番心を惹かれますか?

どの被写体がというより、自分でコントロールが効かないものを撮るときが一番、なんというか・・・モチベーションがあがりますね。
たとえばモデルさんのような“大人”相手だと、ここで撮りたいと思ったら「こっちに立って下さい」といった指示が出せるじゃないですか。もちろんそこでいろいろな表情を引き出したりするのは大変だと思いますけど、でも、それよりもっと根本的にコントロールの効かない、自然現象だったり、動物だったり、子どもや赤ちゃんなどを思ったようにうまく撮れたとき、「ああ、いい写真が撮れた」って思えるんです。
“大人”を撮影するときにしても、スタジオで作り込んで撮るより、まわりの状況を生かしたり、そのときの天気や太陽の光といった、自分で選んだり操作のできないものをうまく取り込んで撮るのが好きですね。

─ 自分ではコントロールしにくいものへのこだわり、
それはデジタルよりもフィルムでの撮影にこだわられているのにもつながっていそうですね。


そうですね。フィルムで撮るっていうのもそうですし、それから手焼きでプリントするのも。
フィルムで撮って、自分で手焼きプリントするっていうのは、フィルム全盛期のときからプロの人でもあまりいなかったんです。でも、そういう職人さんぽい作業が好きで、自分も手焼きでプリントしたいという思いが最初からあったので、手焼きプリントしている人に師事し、いろいろ勉強しました。

わたし、わりと撮ると満足しちゃうほうなんですね。
だから、撮ったものを(焼くときに)もう一度大きくプリントして見直すっていう復習みたいな作業が、自分にとって上達する大きなきっかけになったなっていうのを強く感じているんです。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

光の角度ひとつにしてもそうですが、まったく同じ状況ってもう二度と訪れないじゃないですか。
自分で焼くと、仕上げるときに明るさや色味など、すごく細かいところまで見るので、たとえば、こういう風に仕上げたかったのに思ったように仕上がらなかったというとき、それはどう光が当たっていたからだとか、撮ったときのことをもう一回ちゃんとチェックし直せるんです。
光の使い方の復習ができるというか。

そういうのって、カメラ屋さんでプリントされてあがってきた仕上がりだけ見てもわからないんですよ。
仕上げながら、こういう明るさや色を出すために今度はこう撮ろう、などと考える。
そうすると、どんどん撮り方が調整しなくてもいいように、うまくなっていく・・・それがよかったなって思いますね。

「あれ?」っていう引っかかりをちょっとでもほしくて

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

─ デジタルカメラが出来て、素人の方でもそれなりにいい写真が撮れるようになってきましたが、プロとしては微妙な面もあるのでは?

“写真”を大事に思っている身としては、やっぱりたくさんの人が「写真を好き」「撮るのが楽しい」って言ってくれてるのはすごくうれしいです。だから、「うまく撮れないんですけど」って言われたらどうにかしてあげたいと思っちゃうんですが、でも微妙な部分はたしかにありますね。

カメラの性能がどんどんあがって、ふつうの人でもすごくキレイな写真が撮れるようになってきて、撮ることに関しては一般の人との差がなくなりつつあるかもしれません。だから、たとえば写真に対する考え方だったり、こういう理由でこれを撮るっていう明確な「撮る意志」があるものじゃないと(プロの)作品としては成立しないんじゃないかってすごく感じているんです。
フィルムで撮ったり、手焼きでプリントするのにこだわったりするのも、そのための差別化のひとつとしてやっている面もあるかもしれません。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

─ そういえば、写真集を拝見したとき、写真はもちろん、それ以外の装丁やタイトルの文字などすべてにこだわられているのを感じました。

「こういうものが作りたい」っていう仕上がった時のイメージが、自分の中に強くあるんですね。

写真集『あふるる』にしてもそう。
普通なら作るとき「こういう雰囲気でやりたいんだけど」っていう相談をして、「こういう感じでどうでしょう」ってデザイナーさんが作ったものを出してもらうところを、逆にわたしのほうが「これとこれだとこっちがいいと思うんだけど、だいじょうぶ?」って相談にのってもらうような形で進めて・・・。
デザイナーさんは“後押ししてくれる係”みたいな感じで、ほとんど自分の好みで作っちゃいました(笑)。

今は、ハイキーな写真(露出をオーバー気味に調整した、明るく透明感のある写真)や浅い感じの明るい写真が流行っているので、女性のカメラマンというと、そういう写真の依頼が多かったりするんですね。

だから、とくに専門知識のない人からみたら、同じような女性カメラマングループのひとりっていう風になっちゃって、自分でこだわってやっているポイントが伝わらないんじゃないかと思うと、それがいやで。
それで見せ方もしっかり考えないといけないって思ったんです。

─ たしかに、ワインレッドの装丁が写真の雰囲気とはちょっと違っていて、「あれ?」って思います。

(ふんわりやさしいだけでなく)自分の作品としてはこうなんですよっていうのを、写真だけでなく別の形でも打ち出したかったんです。

普通なら(『あふるる』は)女性の好きなリネン(亜麻)やベージュなどのナチュラル系のクロス張りの装丁でまとめられると思うんですね。でも、それはいやだな、ちょっと冒険がしたいなと思って。

インタビュー(前編)写真家 かくたみほさん

それで、普通の人からみても、わかりやすいようにわざとこういう赤色を使っちゃおうか、と(笑)。
見た人が「あれ?」っていう引っかかりをちょっとでもほしかったし。

じつはこの色を選んだとき、デザイナーさんに「これ、たぶん日焼けするといいピンクになっていくから、良いと思う。古本屋さんに並んでいても、いい味が出ると思うよ」って言われたんです。

正直(最初に選んだときは)そこまで先は見据えていなかったんですけど、「持っていた人によって焼け方も変わるから、1冊1冊それぞれに異なる表情が出るよ」って。そこもすごく気に入っています。

あふるる



タイトルはすべて手書きしたという
かくたみほさんの写真集
『あふるる』

撮影協力:女性専用賃貸<おためしステイ>ラシーネ井の頭

お話を伺って、穏やかでやさしい人柄がそのまま映し出されたような作品の奥に潜む、写真に対する強い愛とこだわりを知り、だからこそかくたさんの作品は多くの人々の心を打つのだということをひしひしと感じました。
後編では、かくたさんの撮影思い出秘話とともに、“撮影散歩”の様子をレポートします。どうぞお楽しみに。

後編はこちらから

かくたみほさんプロフィール

かくたみほさん

1977年三重県鈴鹿市生まれ。日本デザイナー学院グラフィックデザイン科名古屋校卒業。 1999年に上京し、studioLOFTスタジオマンを経て、写真家小林幹幸に師事後、独立。
現在、雑誌・CDジャケット・広告などにてポートレート、風景を中心に活動中。
2008年1月、ギャラリーRocketにてグループ展、9月「カイくん写真展開催」。2009年には初写真集「あふるる」を出版。写真集とノートを合体させたNOTE BOOKシリーズなど画期的な作品も手掛けている。
ほかに、著書としてデジタルカメラ・トイカメラでの犬の撮り方「Dog Photographer」(翔泳社)、「ふんわりかわいい写真の撮り方ノート」(インプレスジャパン)など。
公式サイト http://www.mihokakuta.com/

※平成24年10月1日現在の情報です。

かくたみほさん直筆サイン本プレゼント!

今回インタビューさせていただいた
かくたみほさんの著書
『NOTE BOOK 03』
『NOTE BOOK 04』
『写真の撮り方 きほんBOOK』
『ふんわりかわいい写真の撮り方ノート』

を抽選で各1名様に、
かくたみほさんの直筆サイン入り
プレゼント!

さらに、サイン本の抽選に外れた方の中から10名様に、かくたみほさんのオリジナルポストカードをプレゼントします。

応募はこちら

応募締切:2012年2月29日(水)
※当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。 (発送は2012年3月上旬予定)

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