─ 食とメンタルの関わりについて、具体的に聞かせていただけますか。
何を食べるか、食べないか。それがメンタルにも大きな影響を与えています。この10年で研究も非常に進んでいます。最近ではトランス脂肪酸をたくさん摂ると、うつ病のリスクが50%以上も上がることがわかってきています。
トランス脂肪酸・・・マーガリン、ショートニング、揚げ物、スナック菓子、焼き菓子、加工食品、栄養補助バー、ジャンクフードなどに含まれる油
─ そこまで数字が高いのは驚きです。なぜそのような影響があるのでしょうか?
私たちの細胞のすべての膜は油からできているのですが、トランス脂肪酸をたくさん摂ると、細胞の膜が固くなってきます。そうなると栄養素が入りにくくなり、またホルモンバランスがくずれてしまうため、メンタルに影響するのです。
トランス脂肪酸はうつ病だけでなく、子宮内膜症のリスクも30%上がるといいます。ハーバード大学の研究によると、不妊症のリスクは70%も上がるという結果が出ました。
逆に、魚に含まれる油(オメガ3)、オリーブオイル、アボカドオイルなどの良質な油を摂ると、ホルモンバランスが良くなります。
食品を購入する時は必ずパッケージを裏返して、原材料をチェックしてください。日本では“トランス脂肪酸”という表示はありませんが、マーガリン、ショートニング、加工植物油脂が入っていたら、避けることをおすすめします。
トランス脂肪酸を使うと、サクサクした食感や、しっとりした味わいになるのですが、もうひとつの問題は、このトランス脂肪酸自体に中毒性があることです。特にトランス脂肪酸と砂糖の組み合わせは、要注意です。ペストリーとかクロワッサン等に含まれていますが、このコンビネーションは中毒性の強さをはね上げてしまいます。
─ 中毒という言葉がぴったりです。私もお砂糖のたっぷり入った甘いものが大好きで‥上手にセーブする方法はありますか?
研究によると、精製されたお砂糖(白砂糖)の中毒性は麻薬並みに高いそうです。そのため悪循環のスパイラルに入ったら、すぐにはやめられません。お砂糖を摂らなくなると、最初はすごく禁断症状が出ます。頭がぼんやりしたり、痛くなったりだるくなったり。ですから一気にストップするのではなく、少しずつ減らしていきましょう。
お砂糖の代わりにメイプルシロップ、黒糖、アガべシロップなどを使ったり、ドライフルーツ、なつめやし(デーツ)、レーズン、さつまいもなど、自然な甘味のものを取り入れれば、自然に減らしていくことができます。
エリカ・アンギャルさんがデリ&カフェを展開している「ブラウンライス」と共同開発した、健康的なシリアルスナック
「Beauty Bar」 1本入 252円
原材料:レーズン、アーモンド、クルミ、アガベシロップ、パンプキンシード、玄米甘酒、米あめ、ドライアップル、クランベリー、玄米フレーク、セサミシード(添加物、着色料は一切使用なし)
─ お砂糖を摂らなくなると、メンタルにはどんな影響があるのでしょうか。
お砂糖を摂らなくなると、たくさんのエネルギーが出てきます。
お砂糖を摂ると血糖値が急激に上がるため、元気になった気がしますが、それはニセモノのエネルギーです。2時間くらい後にストーンと血糖値が一気に下がると、イライラしたりだるくなったりして、クッキーとかコーラとか甘いものがまた欲しくなる。そこで食べたら血糖値がまた急に上がり、また急に下がる。こんな急激なアップダウンを一日中繰り返す女性がすごく多いんです。それでは集中力もダウンするし、気持ちが不安定になります。
日本では「朝、甘いものを食べないと頭のスイッチが入らない」と言われていますが、これは大きな間違いです。
伝統的な和食はメンタルにも良いのですが、なぜかというと血糖値の上がり方が緩やかだからです。緩やかに上がれば、下がり方も緩やかです。特に朝に食べるのがおすすめ。一日のスタートにしっかり食べれば、新陳代謝のスイッチが入ってやせやすい体を作れますし、気分も安定します。
─ 気持ちのアップダウンとお砂糖がこんなに関係しているなんて…。お砂糖を止めるのは大変そうですが、代わりになる食べものが美味しそうなので、無理なく減らしていけそうです。
「これは食べたらダメ」と聞くと、すごくストレスを感じませんか?「これを食べれば、もっともっと美しくなれる」、そう聞くとモチベーションがアップしますよね。それと私は、どんなに身体に良くても美味しくなければおすすめしません。美味しくなければ続かないですから。そしてたまにはご褒美として、自分の好きなものを食べることも大事なことですよ。100%完璧を目指さなくてOK。たとえばフレンチをたくさん食べた日があっても、翌日から調整すれば良いことなので、罪悪感を持つ必要はありません。でもご褒美だからといって、ジャンクフードやファストフードはやめておきましょう。
─ メンタルもヘルシーでいるために、他に何かできることがあったら教えてください。
日本人の女性はすごく献身的です。パートナーや子供に対して、ご両親やお友達に対して。周りの人にすごく気を使うのですが、自分に対しては非常に厳しい・・・。まずは、自分に優しくしましょう。自分が自分のベストフレンドになりましょう。
大事なことの1つめは、スマイル。
笑いたい気分じゃなくても、口角をきゅっと上げるだけで、脳にメッセージが送られて、ハッピーホルモンと呼ばれるエンドルフィンが出てきます。どんなに暗い気分の時でも、スマイルのフリをするだけでハッピーになれるんです!
2つめは、感謝の気持ちを持つこと。
私たちはいつも、あれが足りない、これが足りないと思っていますが、今、手にしているものに感謝の気持ちを持てば、ネガティブなことは考えられなくなります。毎日、感謝の気持ちをノートに書いてみるのも良いです。1日で100%ポジティブに変えることはできませんので、じっくり続けてみましょう。
3つめは、自分のいい点、チャームポイントにフォーカスすること。日本の女性はチャームポイントがたくさんあるのに、自分の好きじゃないところしか見ていません。チャームポイントがわからなかったら、仲の良い友人に「私のいちばん素敵な所はどこ?」と聞いてみましょう。そして、素敵な所にフォーカスしてみてください。
美しい肩のラインをしているなら肩を出すファッションにチャレンジするとか、目もとが魅力的ならアイメイクでアピールするとか。
私たちは、ひとりひとりに違った個性があります。私がいつも言うのは、「あなたは世界でたったひとりのあなた」。私たちはそれぞれにパーフェクト。誰かのまねをするのではなく、“最高バージョンの自分”を目指しましょう!
4つめは、スケジュールを立てるときは、自分の予定から入れることです。
毎日10分、15分の短い時間でいいので、自分をリチャージするための時間も入れてください。リラクゼーションのCDを聴く、ゆっくりお風呂に入る。ペットと遊ぶのもストレス解消になります。フェイシャル、マッサージ、ネイル・・・何でも良いので、自分が本当に好きな事を。自分の予定を優先するというと、わがままに聞こえるかもしれませんが、わがままではありません。充電をしなければ疲れきってしまいますし、人に優しく接することも難しくなります。
実は、世界で一番寝ていないのが日本人の女性です。完璧な食生活を送り、運動をしていても、5時間しか寝ていないのであれば意味がありません。できれば7〜8時間は寝るようにしましょう。
また、夜にたくさん食べるデメリットに、眠りが浅くなるという面もあります。翌朝になってもだるかったり、リフレッシュしていない状態のままでは、1日を元気に過ごせません。
日本人女性の目標として「結婚して子供を産むこと」と聞くことがよくあります。それももちろん素敵なことですが、それにプラスして、自分自身の人生の目標や夢を持つこと、自分の情熱に従うことも忘れないで欲しいです。
まわりの人やご両親からのプレッシャーではなく、本当に自分がやりたいこと、仕事でも趣味でもいいので、自分のハートに従うことが大事です。人生の目標や夢に向かって進んでいる、前向きでポジティブな女性は、本当に美しいと思います。
情熱を持てることをするとハッピーになりますし、経験や知識が増えることで、人間として成長できます。
「失敗するかもしれないから、やりたくない」という人もいますが、もし失敗したとしても何かを学ぶことができます。失敗は成功までのステッピングストーン(踏み石)と考えてみてはいかがでしょう。
若い時、パリに6ヶ月住んでいたことがありますが、憧れだったのは年を重ねた女性たちでした。若くて可愛いだけの女性は、(二次元の)絵を見ているような感じですが、人生経験が豊かになると、三次元的な美しさが現れるのです。男性が憧れるのも、やはり年齢を重ねた女性たちでした。
ですから私にとって、年をとることは楽しいことなんです。日本にも50代向けのファッション雑誌がありますし、年齢を重ねることを楽しむ女性も増えてきました。もちろんファッションやメイクを磨くことも大事です。でも、心がハッピーだったら外見にそれが表れます。だから、Be Happy First!まず、ハッピーになりましょう!!
─ エリカさんが今、情熱をもっていることは何でしょうか?
どうやって自分を好きになるか、どうやって自信を持つかといった、メンタル面でみなさんのお手伝いをするための本格的な研究を深めています。アメリカでセミナーに参加したり、資格をとったりして、更なる勉強と研修を重ねています。
日本人女性にはこうした心のトレーニングが特に必要だと感じています。みんなキレイなのに自信がないなんて、本当にもったいないです。内面も、奥ゆかしくて可愛らしい、独特のエレガンスがあります。あとは自分に自信が持てれば、日本人女性はパーフェクトです!
Q1 人生のモットーはなんですか?
JOY!自分の喜びを見つけること。人生は楽しむことが一番大事だと思います。
Q2 今、1週間自由な時間があったら何をしますか?
ビーチでボーっとしたいです。オーストラリアのグレート・バリア・リーフに行って、雑誌を読んで、カクテルを飲んで。英語でいうと「beach bum」(「一日中、浜辺でブラブラして過ごす人」という意味)になってみたいです。
Q3 ご自身とっての『♪』な瞬間〜自分にとって幸せ・うれしい・充実感を感じる瞬間〜を教えてください
人のお役に立てた時です。その人にとって良い変化があった時が一番ハッピー!
「オーストラリアPR大使でもあるエリカさん。オーストラリアの魅力を教えてください!」
オーストラリアはこれまで洗練されていないイメージを持たれていましたが、15年くらい前から変わってきています。おいしいレストランやおしゃれなカフェがたくさんありますし、スパやヒーリングスポット、ショッピングセンターなど、女性が喜ぶ場所も増えています。最近では、レストランやカフェの文化が育っていて、特にメルボルンあたりはまるでヨーロッパのようです。
もちろん、エアーズロックやグレート・バリア・リーフなどの大自然も素晴らしいですし、コアラ、カンガルー、ウォンバットなどの珍しい動物もいます。豊かな自然と都会的な快適さ、どちらも楽しめる国です。
日本とオーストラリアはほとんど時差がないので、時差ボケも気にせず気軽に訪れてほしいです。
1969年オーストラリア・シドニー生まれ。
シドニー工科大学卒業、健康科学学士。ネイチャーケアカレッジ卒業(栄養学)。オーストラリア伝統的医薬学会(ATMS)会員。ミス・ユニバース・ジャパン(MUJ)公式栄養コンサルタント。
1985年に初来日し、大分の高校に1年間の交換留学。日本在住は今年で計16年目。伝統的な和食と日本文化をこよなく愛す。2004年からミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして、世界一の美女を目指すファイナリストたちに「美しくなる食生活」を指南。
栄養学、薬理学、生理学など予防医学における幅広い専門知識を駆使し、“内側からより美しく、心も身体もすこやかに輝く”をテーマに、ハッピーな毎日のための食とライフスタイルを、愛を込めて発信している。
公式ホームページ http://www.erica-angyal.com/
※平成24年10月1日現在の情報です。