日本全国を平均すると、冷房を使っている期間よりも、暖房を使っている期間の方が圧倒的に長いことをご存知ですか?つまり、暖房費を節約できれば、それだけ光熱費もぐっと節約できるようになるということ。より効率的に暖房器具を使い、暖房費を賢く節約するコツをご紹介しましょう。
※各数値は、財団法人省エネルギーセンター発表(2011年11月7日現在)のものです。
エアコンやファンヒーターなど、温風を吹き出すことで、部屋全体を暖める「対流式」の暖房器具は、部屋全体を短時間で暖められる一方、室温(設定温度)に対して体感温度が低く感じてしまいがち。設定温度を低くしても快適に過ごすには、ホットカーペットやこたつなど体感温度が高いサブ暖房を組み合わせるようにしましょう。消費電力の差からそのほうが節電効果も高くなります。
室温は急には下がらないもの。出かける前や就寝前は、直前ではなく15分ほど前にはスイッチをOFFにするよう心がけましょう。
また、そうでないときも室内が十分に暖まったら一度電源をオフにし、より消費電力の低いホットカーペットやこたつに絞ってしのぐのも一案です。
ただし、省エネタイプのエアコンの場合、こまめな電源コントロールはかえって電力消費の原因になるので要注意。自動モードまたは省エネモードで運転しておくほうが、電源のオン・オフを繰り返すより省エネになります。
フィルターの清掃を2週間に1度くらい行うよう心がけるだけで、約5%の節電になるといわれています。このときエアコン内部の掃除も行うと、モーターに余計な負担がかからなくなり、暖房能力がUPするだけでなく、本体寿命も長くなる可能性が。
また、温風がより効率的に無駄なく室内に届くようエアコンの吹き出し口のそばやすぐ下を家具などでふさがないようにし、室外機は、霜付き防止のため風通しのよい場所に設置しましょう。
ひと口に暖房器具といっても、暖め方から熱源まで種類は様々。暖房器具の特徴を理解したうえで、それぞれの欠点を補い合うよう上手に組み合わせて使えば、暖房効率をぐっとアップさせることも可能です。
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エアコン | 全体 | 300〜800W | 温風を吹き出し、部屋全体を暖める。省エネ性能の向上により、暖房効率がよい。部屋が乾燥しがちで、ホコリも舞いやすい。 |
ファンヒーター | 全体 | 600〜1,200W | 温風を吹き出し、部屋全体を暖める。エアコンよりも立ち上がりが早い。 |
パネルヒーター | 全体 | 400〜1,200W | 極端に熱くならず、じんわり部屋全体を暖めるため、安全性が高い。 |
ホットカーペット | 部分 | 700〜1,000W | 足下から温まるため、室温以上に温かく感じる。 |
こたつ | 部分 | 600W | 足下から温まるため、室温以上に温かく感じる。 |
足温器 | 部分 | 20〜60W | 足だけをピンポイントに温める。消費電力が少ない。 |
暖められた空気はその性質上、部屋の上部にたまっていきます。そのため、エアコンなどの対流式暖房の場合、とくに床に近いところと天井に近いところに温度差ができてしまいます。そこで、扇風機やサーキュレーターを天井に向けて回し、暖められた空気が下に回ってくるように対流させましょう。すると、効率的に部屋全体を暖められるので、暖房器具の設定温度を下げることが可能です。
ただしこの時、扇風機の風が直接身体に当たらないよう注意しましょう。
エアコンの設定温度を低くしていても、下半身を直接温めれば、血流がよくなって全身が温まります。そこで、足元を温めるホットカーペットやこたつを併用しましょう。エアコン自体の設定温度を高くするより、トータルでの電気料金は安く押えられます。このとき、ひざかけなどで腰回りをカバーすれば下半身の保温効果が高まってより効果的。
あるいはホットカーペットの上にこたつを置くと、こたつの中にホットカーペットからの熱がこもり、電源を入れていなくとも暖まります。また、ホットカーペットやこたつの敷布団下に、断熱シートや段ボールを敷いておけば、床下から伝わる冷気が遮断され、暖かさを保つことができます。
なお、ホットカーペットはこたつの倍以上の電気代がかかるといわれているので要注意です。
立ち上がりが早く即暖性のあるストーブやファンヒーターを併用すると、エアコンの最大の欠点である初期暖房の経済性の悪さを補いながら、部屋全体を一気に暖めることができます。
その後ストーブやファンヒーターの電源を切れば、エアコンの設定温度が低いままでも室温は十分に保たれ、経済的といえます。
暖房費節約の基本は、当たり前のようですが、「暖房器具にできるだけ頼らないこと」。まず、自分自身が暖かい格好をすることも重要です。財団法人省エネルギーセンターが発表した数値によると、カーディガン着用⇒+2.2℃、ひざかけ⇒+2.5℃、ソックス着用⇒+0.6℃、体感温度が上がるそう。
家事など室内で動き回るときは、ヒートファクトなど保温性のある下着を身につけたり、ダウンのベストを着用してはいかがでしょう。
また、リビングでテレビを観ている時や机に向かって勉強や仕事をしている時におすすめなのが「着る毛布」。大きな毛布に袖がついた形で、冷えを感じやすい肩や首までまとうことができるため、就寝時に着用すると、さらにその温かさを実感することができます。
袖をつけたフリースガウンケットなら両手が自由に使えるので、
あったか・便利・楽々!
【参考商品】ヌックミィアニマル ≪販売終了≫
暖房費の節約を考えたとき、対象となる人数を考慮するのも効率良く暖房器具を使うために大切なことです。
たとえば、1つの部屋に大人数がいる場合はエアコンなどの全体暖房のほうが効率的ですが、1人なら電気毛布やひざかけといった部分暖房、なかでも消費電力の低いものを利用するのが理想的です。最近は、電気を使用しなくても十分な温かさを得られる工夫がされた商品も数多く出ているので要チェック。
デスクワークのときなどは、より消費電力の低い足温器を利用しましょう。足元を温めることによって全身の血行が促進され、身体全体がさっと温まります。
電気を使わず、足元ホカホカ。
【参考商品】
自分の体温でぽかぽかエコ足温器
≪販売終了≫
お湯をいれておくだけで一晩温かさが持続される昔ながらの湯たんぽは、ランニングコストも最低限で済むうえ、火を使わず、乾燥やホコリの心配も無用な暖房器具です。就寝時に足元に置いておくと朝まで温かさが継続し、中の湯は洗顔や掃除、洗濯に使うこともできるので非常に経済的です。
最近は、保温効果のあるジェルでできた湯たんぽも登場しました。これは、湯は使わず電子レンジで加熱することによって温まり、温かさは7時間持続するという製品で、加熱にかかる電気代は、約1.1円(7分加熱)。
やわらかく、昔ながらの湯たんぽほど重くはないため、膝の上に乗せたり腰にあてて使ったりすることもできます。
熱伝導がよく、保温性に優れている純銅製
【参考商品】
新光堂 純銅製湯たんぽ 小
≪販売終了≫
時間を指定して何時間後に切るなど設定することができるタイマー付きコンセントは、こたつや電気毛布などつい消し忘れしがちなものに有効な節約グッズといえます。
せっかく暖房費の節約に気を遣っても、無駄につけっぱなしになる時間があってはすべてが水の泡。
消し忘れをしそうな電化製品にはタイマー付きコンセントをつなげて利用しましょう。
ひと口に暖房費の節約グッズといっても、
さまざまな種類があります。
人数や時間などにより、適切なものを使い分け、暖房費全体の節約につなげていきましょう。
知識としてではなく、実際に自身が実践している節約家事技の紹介が主婦の支持を得、TVラジオ出演・クイズ番組の問題作成・雑誌、新聞、企業サイトへの執筆連載・講演などで活動。頭を使って無駄を省き、時間とお金を効率よく使った結果が節約&エコになる「スマートライフ」を提唱。近著に、「幸せな時間とお金を生み出す!シンプルライフの節約リスト」(講談社)。