1632年にオランダのデルフトで生まれたフェルメールは、生涯をこの地で過ごす。
歴史画、物語画に取り組んだ初期の作品を経て、次第に室内やそこで過ごす人々の様子を描く風俗画家へと転身。
穏やかに部屋を照らす光、青や黄色を巧みにもちいる美しい色づかい、考え抜かれた構図。
光と静謐な空間を描いた偉大な画家と称えられるフェルメールの作品は、わずか30数点のみが現在確認されている。世界中の人に愛されているオランダを代表する画家である。
本作品は1670年頃に描かれた油彩をジクレーにて復刻したもの。
フェルメールの作品としてはめずらしく窓が右側に描かれている。女性は窓とは反対側に顔を向け、まるでそこに合奏のお相手がいるようである。
また一説にはフェルメールの長女ではないかとも言われている。
この作品は1974年2月23日に盗難に遭った。
犯人からは絵の返却と引き換えに政治的な要求が突き付けられ、その内容からIRA系の人物の犯行と推定された。犯人側の要求が通らねば絵を燃やすとの声明もあったが、盗難から2か月半後の5月6日、匿名の人物からの電話通報により、絵はロンドン市内で無事発見された。
この作品の印刷技術ジークレー(ジクレー)とは、フランス語で「吹き付けて色を付ける」という意味でリトグラフやシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴です。
デジタルデータを上質な版画用紙等に高精細で広色域に印刷します。また保存性も高く、今日多くのアート作品に用いられています。