
様々な分野で才能を発揮した中世の天才といえば、多くの人はきっとイタリアのレオナルド・ダ・ビンチやガリレオ・ガリレイの名を思い浮かべることでしょう。彼らほどの知名度はありませんが、15世紀に中央アジアから中東までの広大なエリアを支配したティムール帝国に、ウルグ・ベクという天才的な人物がいたことをご存知でしょうか。
ティムール帝国の首都として繁栄した現在のウズベキスタン・サマルカンドは、多くの史跡が残る古都でもあり、世界遺産を訪れる世界中からの観光客で賑わう観光都市にもなっています。
ウルグ・ベクはティムール帝国4代目の王で、天文学、文学、建築学、音楽、美術、歴史学、神学など、ありとあらゆる分野で才能を発揮した人物です。
彼が学問や芸術へ傾けた情熱と彼の功績は、サマルカンドの様々な史跡で垣間見ることができます。中でも驚きと注目に値するのが天文学です。街を見下ろす小高い丘の上には、ウルグ・ベクが使った天文台の跡が残されています。15世紀の初めに建設されたこの天文台で、彼は1年の長さを現代の天文学とほとんど誤差なく正確に計測していたというのです。
サマルカンドの子どもたちの間でも、ウルグ・ベクはウズベキスタンが誇る天才として今なお尊敬され続けています。
また、ウルグ・ベクは、サマルカンドに多くの学校を建設して、各地から学者を呼び寄せて研究・教育にも情熱を注ぎました。古い慣習にとらわれず、立場にかかわらず自由に議論する重要性を説いたといわれています。そうした彼の尽力によってサマルカンドには英知が結集され、当時世界最高水準の文化が花開いたのです。
輝く青タイルに彩られた重厚感溢れる建造物は、現在もサマルカンドの中心部のレギスタン広場にそびえ立ち、当時の繁栄ぶりを今に伝えています。この街が今でも“青の都”と呼ばれる所以です。
レギスタン広場のウルグ・ベク・マドラサ(学校跡)は、ウズベキスタン観光のシンボル的な場所。
しかし、そんな天才ウルグ・ベクも、実に悲惨な人生の終焉を迎えることになってしまいます。文化の振興へ情熱を注ぎ、帝国の強大化にはあまり関心を示さないウルグ・ベクは、実の息子に刺客を送られ殺害されてしまうのです。
彼の肖像画や銅像を見ていても、学究肌で哲学者然とした雰囲気が溢れています。
帝国の王という立場は、もしかしたら彼には向かないものだったのかもしれません。
情熱を傾ける対象が彼の周囲には山ほどあって、そこで十二分に才能を発揮したにも関わらず、それだけでは許されない立場に自分の身を置かざるを得なかった、ということなのかもしれません。
サマルカンドを訪れて、ウルグ・ベクの生き様に触れてみると、人生の選択や自分の居場所といった誰もが悩んでしまいそうな事柄と無関係な話ではないような気がしてきます。
サマルカンドは古都らしく観光名所に溢れています。しかしウルグ・ベクのように、そこで生きた人物の生き様に焦点をあてて史跡を巡ってみるというのも魅力ある旅の仕方ではないでしょうか。どんな思いで生きたのだろう、と具体的に思いを馳せてみると、歴史上の人物も少し身近に感じられて、目の前の史跡の見方もまた変わってくると思うのです。
ライトアップされた日没後のレギスタン広場。
建物のライトアップの写真は、日が暮れて暗い時間帯になってから・・・と思われがちです。しかし、本当に暗くなると空の部分はほとんど真っ黒に写ってしまいます。ライトアップされた建物を撮影するときには、日が暮れた後、まだ西の空に明るさが残っている時間帯、空がまだ真っ暗になる前の時間帯を狙うと、空の色彩やグラデーションを捉えることができて、ライトアップされた建物も引き立ちます。
ですので、できれば暗くなる前に撮影場所に行ってみることをおすすめします。夕暮れどきの空の色や明るさによって、その場の雰囲気が変化していく様子を楽しみながら撮影するくらいの余裕があることが理想です。
1970年生まれ。福岡県出身。会社勤務の後、フリーランスの写真家・執筆家に転身。アジアやアメリカを主なフィールドとして自然風景、建築物、人々の生活や文化を、日本国内では、東北地方(特に鳥海山麓)などの自然を撮影。近年は地方自治体の地域活性化事業への参画など多方面で活動。
都内にて写真教室アルトフォーカス主宰。旅行会社にて海外国内撮影ツアー同行講師、写真講座講師。
JATA世界旅行博2008、JATA旅博2011(東京ビッグサイト)にて講演。2008年、ウズべキスタンの古都サマルカンドの文化歴史博物館にて個展開催。2012年、NHK BSプレミアム『極上美の饗宴』の「シリーズ平山郁夫の挑戦(1)執念のシルクロード」にゲストナビゲーターとして出演。2014年、タシケント国際フォトビエンナーレへ招待参加。
Jin Akino Photography http://www.jinakino.com
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シルクロードの国ウズベキスタンを長年撮影してきた写真家・秋野深による伝統的な建築美をテーマにした写真集です。
アマゾン販売ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4991072409/
■■■ 写真集概要 ■■■
★ 古都サマルカンド在住のデザイナーによるカバーデザイン(装丁)
★ テキスト部分は4カ国語(英語、ロシア語、ウズベク語、日本語)で制作
★ 被写体の建築物のガイドブック的情報(歴史・地図)、撮影エピソードは本書内のQRコードよりリンクしたウェブページにて詳細を掲載
2019年4月20日初版
ISBN:978-4-9910724-0-6
本体価格:2,500円(税別)
サイズ:横24.3cm × 縦21.6cm(ハードカバー)
ページ数:72ページ
発行部数:500部限定
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