グルメの都、パリでいまグルテンフリーが次の食と美容のトレンドとして注目を浴びている。街中いたるところにあるオーガニック系の食品店での取り扱いはもちろんのこと、グルテンフリーを売りにするレストランも増え、今年に入って小麦粉を一切使わないパン屋までオープンした。
text:Hiroyuki Morita
グルテンフリーとは小麦粉を水に混ぜた際生じるタンパク質、グルテンを含まない食品のこと。つまり小麦粉を一切使わない料理で、小麦粉を使ったパンはもちろんのこと、パスタやうどんなどの麺類、ピザ、焼き菓子なども取らない食事療法である。
そもそも麦アレルギーのひとや、消化器官を中心に異常をきたすセリアック病の患者の為に考案された食事療法だが、ここ最近になってアレルギーでないひとの間にもにわかに注目を浴びている。「パスタやパンが主食のひとは小麦粉のとり過ぎが考えられます。水と混ぜることによって生じる小麦粉のネバネバは、パンをもっちりさせるには役にたちますが、摂取のしすぎは、胃にたまり、その結果消化不良をおこすこともあります」と語るのは、グルテンフリーのレストラン、ノグルの日本人シェフ、柳瀬 充氏。小麦粉を使わないながらも本格的なフレンチを求めて、グルメの間でも話題のお店だ。グルテンデトックスをすることで、体に溜まったグルテンを排出し、消化を促し、結果肌の調子がよくなった、太りにくくなったという声も聞くとか。そんな健康効果を狙って、グルテンフリーはハリウッド・セレブを筆頭にアメリカでもブームが続いている。
パン王国のフランスで、ソースには必ずといっていいほど小麦粉を使用するフランス料理においてグルテンフリーを実践するのはかなりハードルが高い。「小麦粉の代わりに、米、じゃがいも、とうもろこし、栗、そばの粉を代用しています。クリームソースを作る際、小麦粉の代わりに片栗粉を使用すればより軽い仕上がりになります」。健康にいいだけでなく、美味とあってはセレブでなくても注目したくなること間違いなし。
シェフは、ミシュランの3つ星レストラン、『ル・ブリストル』で修行を積んだ柳瀬 充氏。「新鮮さを大切にしたい」ということから、野菜はなるべく近郊のものを、魚も業者から直接仕入れたものをその日の内に使用と、素材にこだわる。グルテンフリーでもこんなに美味しいものが食べられるのかと驚くこと間違いなし。
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16,Passage des Panoramas 75002 Paris
tel 01 40 26 41 24
www.noglu.fr
パリ初、小麦粉を一切つかわないパンのみを扱うブーランジェリー。「小麦粉以外の粉でも色々なパンを作れることを示したかった」という設立者のドボワン氏。パン以外でも米粉を使ったタルトなどスイーツも充実。
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14mrue ternaux 75011 Paris
tel 01 43 55 07 30
www.chambelland.com
グルテンアレルギーのパティシエ、マリーさんが旦那様のフランソワさんとはじめたケーキ屋さん。タルトやシュー菓子など、小麦粉なしでここまでできるのかと思わせられる。店内ではそば粉を使用したパスタなどグルテンフリーの食材も豊富に揃う。
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36,rue Bichat 75010 Paris
tel 09 82 59 00 39
http://www.helmutnewcake.com