きれいに見せることが
片づけだと思っていた
「今でこそものの少ないくらしをしていますが、以前は『片づけ=収納』だと思い込んでいたんです」。そう振り返る下村さんは意外なことに、幼少期は片づけが大の苦手だったそう。ランドセルには常にクシャクシャのプリント。周囲から「女の子なのにどうして」と責められるたび、「せめて見た目だけでもきれいにしなきゃ」と思うようになったといいます。
大人になり、その思いは加速します。ネットの収納術を真似して便利なグッズを買い込み、美しく収めることこそが正義と信じて疑いませんでした。しかし、家族は下村さんの定めるルール通りには動いてくれません。新しい箱を用意して「今日からここに入れてね」と伝えても、気づけば別の場所に放り込まれている。その光景を見るたび、下村さんの心にはイライラが募っていきました。
転機は「家族を片づけ体質に変えたい」と参加した講座での講師の一言でした。「苦手な人を得意にするより、苦手な人でもできる方法を考えてみて」。半信半疑で、細かく分類していた文房具を一つの箱にまとめてみると、不思議なほど出しっぱなしがなくなったのです。「私もイライラしないし、家族もハッピー。これこそが本来の片づけなんだと思った瞬間でした」

