Interview
#60

「出過ぎた杭は打たれない」
好奇心に溢れる高校生
夢は起業のその先に

中藤 凛音さんRINNE NAKAFUJI

第11回高校生ビジネスプラン・グランプリ
準グランプリ受賞 高校3年生

2006年、埼玉県出身。さいたま市の栄東高等学校3年生。「第11回 創造力、無限大∞高校生ビジネスプラン・グランプリ」で、全国5,014件の応募の中から見事準グランプリを獲得。産業廃棄物として焼却処分されるウニ殻に着目し、その炭酸カルシウムから環境にやさしい「漆喰」を製造販売するビジネスプランが評価された。化学だけでなくアートや建築、経営などにも関心を持つ。大学生になったらさっそく起業を検討しているとか。
https://www.sakaehigashi.ed.jp/news/2024/01/post-549.html

「やりたいことは全部やりたいタイプ!」と自己分析するのは、栄東高等学校3年生の中藤凛音さん。2024年1月、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」で、廃棄されるウニ殻の炭酸カルシウムから漆喰を精製するビジネスプランで準グランプリを獲得しました(当時高校2年生)。彼女の起業へのモチベーションは、数えきれないほどある夢のためなのだとか。建築、アート、経営、化学──数々の分野にアンテナを張る高校生に話を聞きます。

あれもこれもするために、
起業したい

「一番大きい興味関心領域は、芸術系だと思います。将来は、大きな立体作品を作ってみたい。でもそのためにはお金が必要だし、美大に進学したら経営は学べないなと思って。あとは、普通に化学の基礎研究もしたい・・・・。悩みどころではあるんですけど、まずはデータサイエンスから見る経営を学ぶところからかな」

直近の進路について教えてくれた中藤さん。ビジネスコンテストでは、ウニの殻から抽出した炭酸カルシウムに着目したプランが評価されたばかり。炭素について熱弁する様子から、根っからの理系かと思いきや、実は、好奇心はさまざまな領域に枝葉のように広がっていました。
「いろんな方面でオタクをやっているし、あれもこれもやりたいな、と思った時に、自分で会社を持って、ラボ作っちゃったほうが早いな、って思ったんです。会社員になるイメージは、あんまりないです。ラボを作ったらそこで基礎研究ができるし、研究した技術を事業に取り入れることができます。半導体の研究もして、宇宙産業にも関わりたい。宇宙もすごく好きなんです。研究結果によってロケットのサイズが変わったり、宇宙に持っていけるものの量が増えたり、可能性が広がりますよね」

中藤 凛音さんイメージ

論文を読み、人脈を築き、
収支報告書を作った

中藤さんが準グランプリを獲得した「第11回 創造力、無限大infinity高校生ビジネスプラン・グランプリ」は、自分で「腕試しがしたい」と応募を決意。収支報告書を作るために様々な職種の人に当たったり、20社ほどの企業に問い合わせフォームから質問を送ったりと、抜群の行動力でプランを練り上げました。

「ビジネス『プラン』ではあるけれど、実際に起業できるレベルでないと評価されなかったので、細かく作り込む必要がありました。中学生の時に自由研究の一環で好きなアサリを調べていたことがあり、炭酸カルシウムの基礎知識はあったのですが、大会本番の1年くらい前に読んだ炭酸カルシウムの論文が具体的なアイディアにつながりました。あちこちで拾ったネタが、一気に繋がったという感じです」

論文を読んだ? それにも驚きです・・・・

「論文、面白いですよ。アメリカのサイエンス誌とか、好きです。英語だけど、翻訳ツールもありますし」

結果は準グランプリとなりましたが、手応えはあったのでしょうか?

「自信があったから、優勝できなかったのはちょっと悔しいですが、自分のやるべきことが明確になったので、だいぶ満足です」

中藤 凛音さんイメージ
中藤 凛音さんイメージ

常に、新しいこと、
面白いことに前のめり

小さい頃からものを作るのが好きで、朝起きてから夜寝るまでずっとレゴをいじっていたのだそう。「レゴって付属の設計図があるんですが、私はそれが嫌いで、自分で設計図を作ってました」

まだ高校生なのに、自分の「好き」がとても明確で、その気持ちに正直な様子なのも印象的。どんなことに興味を持っているのか、彼女の頭の中のことがもっともっと知りたくなります。

「建築要素のある大きな作品が好きだし、漫画もアニメも好きで、自分でイラストを描くのも好き。吉田圭佑さんのコレクションを見てかっこいいなと思って、ファッションデザインの仕事が楽しそうだなと思ったことも・・・・。音楽だと、ZUTOMAYO(ずっと真夜中でいいのに。)が好きです。でも、私には音楽の才能はないかな(笑)」

いつも、「何か面白いことないかな」と前のめり気味。「良い意味で気が散っている感じですか?」と聞くと、「そうかもしれない!気が散りすぎて勉強ができない」と笑います。

「根幹にあるのは、『ちょっといたずらしてやろう』みたいな思いなのかもしれないです。常に新しいことをやっていたい。なんか、雪が降った後に、まっさらな地面を最初に踏みに行きたい、みたいな感じです」

中藤 凛音さんイメージ

生涯に500社の設立に携わった
渋沢栄一を手本に

勉強ができない、とは言うものの、彼女が通う栄東高等学校は数々の有名大への進学実績を誇る進学校です。

「勉強はしておいた方が武器になると思ってます。良い大学に行くため、というよりは、やりたいことのための最短ルートだから必要、という考え方です」

今は勉強づけの毎日を送っていますが、受験を乗り越え、大学生になってからの日々に早くも思いを馳せています。

「どこからやろう、って今から考えるのが楽しみです。何かを作っている時もワクワクするけど、何をしよう、とプランを思い描いている時もワクワクします。たぶん、大学1、2年生のうちに会社を立ち上げます。会社は、たくさん立ち上げると思います」

その生涯で500社もの会社の設立に携わったと言われる、渋沢栄一の手法を意識しているそう。

「どんどん前に進みたい。それで最終的に自分がやりたいことを叶えられれば、それでいいです」

中藤 凛音さんイメージ

悩む時間がもったいない!
「出過ぎた杭」で突き進む

やりたいことがたくさんあると、それが悩みにもなりそうですが、「悩んでる時間がもったいないから、『こっちの方がいい!』とその瞬間に選んで進んでいるみたいな感じ」と、ポジティブな行動の原動力を教えてくれました。

「自分でも、だいぶ変な人間だとは思うんですが・・・・それが良いか悪いかはわからないです。そういえば、中学生の時に、ある先生が卒業の際、私へのメッセージに『出過ぎた杭は打たれない』って書いてくれました(笑)」

最後に、生きているうちに達成したいと思っている大きな目標を三つ教えてくれました。

「私は、すごく環境に恵まれたと思います。環境が整っていないだけで、人間の才能に差はないという研究を見たことがあります。だから、一つ目の目標は、才能を発揮できずにいる子どもたちのために、いつか、誰でもやりたいことにチャレンジできる環境を作ること。アフリカにエジソンがいるかもしれないですしね! 二つ目は、私は芸術をお金で買う考え方が好きじゃないので、生活の中の一つの表現として、芸術をただ純粋に楽しむ考え方を広げていきたい。三つ目は、有名になって、死んだら『中藤凛音さん死去』って、ニュース速報とかで出るような生き方がしたいです!」

中藤 凛音さんイメージ
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中藤 凛音 Everything Has A Story
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