白い蛇の目(じゃのめ)傘を銀座で買いました。
汚れやすく傷つきやすく、傘たてに置いておくのもひやひやする、実用からはほど遠いもの。
まったくのおしゃれ用、たとえば小雨模様のパーティーの日、出口で「失礼」と会釈して広げるしぐさを見せたいがための傘です。
年に一、二回あるかないかのために大枚はたいて、冷静に考えればもったいないわけですが、こんなぜいたくな小道具もあってもいいのではないかしら。
ちゃんとした和傘はどうしても高くなります。
たまに「安いのを見つけた」と、踊りの小道具用の傘を浅草などで買ってしまう人がいますが、舞台以外には使えませんから気を付けてください。
雨の日にきもので出かけるときは、大きな洋傘です。うるさくならないように、ベージュや黒などの地味な無地。たいていは男物で、実用に徹します。
傘のおしゃれといえば、日傘。
アンティークのレース、子供のころお絵かきしたようなフリルと、こちらは西洋のお姫様ふうで、さしただけで髪が縦ロールになったような気分。
白、ベージュ、黒、藍染めもきれいです。
日よけにはUVカット加工のものなどがいいでしょうが、エレガントではない気分がして、持っていません。
わざわざ日傘を持つなら、思わずくるくる回したくなるようなものを持ちたいと思うのです。
きもので出かけるときは必ず扇子をさします。
よくきものを着付け終わったところで、帯をしごいて「ポン」とひとつ叩く人がいますね。あれは、「これで仕上げ。さあ出陣」という気合のあらわれだと思いますが、私の場合、扇子を帯にさす瞬間がそうなのです。
いま手元にあるのは百本くらいです。
フォーマルなきものやお茶席だけでなく、ふだん着のきものでも、装いにあわせた扇子を欠かしません。
たとえば和室でご挨拶をする時、扇子を前に置けばきものがカジュアルでも気後れせずにすみます。
扇子には、茶扇/夏扇/舞扇/仕舞扇/飾り扇など、いろんな種類があります。慣れないうちは用途を確認したほうがいいでしょう。
きものや帯はそうそう季節のものを取り揃えられませんが、扇子なら季節、干支などが気軽に楽しめますよ。
最初は春夏秋冬で一本ずつ、それからできれば月ごとに、と無理なく集めていきましょう。
たとえばお祝いの席なら、私はよくある金銀ではなく、鶴亀の柄にしています。あおぐための夏扇と違って人前で広げるわけではありませんから、これは自分だけのひそかな喜びですね。
(記:森荷葉)