2026.10.26 / 訪ねてみたい名庭園
少し前の記事で、今年7月に九州・福岡県に出張した際に訪れたガーデンや都市緑化の事例について書きましたが、
その続きで、いくつかレポートしたいと思います。
まずは、こちら。
JR「博多」駅近くのオフィス街の一角に、突然現れる緑豊かな空間、「楽水園」です。
入口角の巨大なクスノキに目を奪われます。
「楽水園」は、明治39年(1906年)に、博多商人の下澤善右衛門親正が建てた「住吉別荘」の跡地らしく、
親正は、父・尚正と親子二代に亘、家業とともに福岡・博多の発展に貢献した人物とのことで、
「楽水」とは、親正の雅号とのことのようです。
戦後は、旅館「楽水荘」として使用され、平成7年(1995年)に、福岡市が「池泉回遊式」の日本庭園として
整備・開園されました。
その際、この庭園の名称も、その由来を受け継ぎ、「楽水園」と名付けられています。
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JR博多駅に近いこともあり、周囲には、オフィスビルや高層の集合住宅なども建ち並んでいます。
その一角に、豊かな緑の空間が残っています。
敷地は、一街区分ほどあり、敷地の周囲には土塀が巡らされています。
こちらが、その土塀で、ちょうど敷地角近くのエントランスへ誘う土塀です。
こちらが土塀のアップ。
アプローチの床には、美しく並べられた石畳みが敷かれています。
こちらの土塀は、「博多塀」と呼ばれるもので、太閤・豊臣秀吉が博多の街の戦後復興、いわゆる「太閤町割り」を
行った際、寺社・仏閣や豪商の屋敷の廻りに築かれた土塀です。
兵火による焼石や焼け瓦を粘土で固めて作られたものだそうです。
こちらが、道路に平行につくられたアプローチ(石畳)に沿って設けらた出入口。
風情のある門には「楽水園」の看板が掲げられていました。
門をくぐると、奥の母屋へと導かれる、美しい園路が待ち受けていました。
土塀と竹垣の間の園路の両側に、モミジの木が配置され、秋の紅葉の時期にはさぞ美しいことと想像できます。
園路の一番奥、母屋の入り口付近です。
ここを左に入ると母屋になります。
ここで、歩いてきた園路を振り返って、入口の門の方向を見返して見ます。
両側から枝を伸ばすモミジの木が、まさにトンネルを構成しているようで、とても美しいアプローチです。
訪れた日は、盛夏の暑い日で、強い日差しでしたが、このアプローチは木陰になり、とても涼しげでした。
先ほどの「博多塀」を内側から見たところ。
軒先瓦や割れた瓦の小口を見せたり、瓦を積んで波状に見せるなど、とてもリズミカルでグラフィックな意匠が
とても興味深かったです。
こちらは、母屋の入口周辺の様子。
少しウェッティーな(湿気を感じる)日陰のエリアですが、それもとても風情があります。
母屋の入口で入場料を払って、園内に入ることができます。
この石畳の奥に、池泉回遊式庭園が広がっています。
庭園へ向かう園路から、母屋側を見返したアングル。
こちらが受付で、拝観料を払って、庭園へと案内されます。
庭園に行く前に、少し母屋とその庭(茶庭)を見せていただきました。
こちらは、母屋の中から、茶庭方向を見たアングルです。
炉を設けた8畳の和室と、6畳の和室が続き間となっていて、大人数でのお茶会などが催されたりするそうです。
こちらは、母屋の前の茶庭。
中には入れませんでしたが、外から拝見しました。
パンフレットによると、春にはシダレザクラ、初夏のヤマブキ、ハナショウブ、秋のモミジなど、
四季の移り変わりを感じることができるお庭となっています。
また、茶庭には、水琴窟が仕込まれているそうです、蹲から流れ出る水滴の音を楽しみことができるように
設えてあるそうです。
そして、こちらがメインの庭園。
この日は、日差しが強すぎて、陰影のはっきりした写真になってしまい、
うまく庭園の良さが伝わらないのが残念です。
庭園は、「池泉回遊式」と呼ばれる日本庭園の代表的なスタイルでつくられています。
庭の中央に大きな池が設けられ、その周囲を散策できるように園路が設けられています。
池を渡る橋も2か所設けられています。
池には大きな鯉も泳いでいました。
池のほとりには、池に流れ込む滝も設けられています。
滝を流れ落ちる水量もあり、都心の静寂の中に、水音が響いて、とても涼しげです。
池の周りの樹々も大きく茂り、緑の葉が強い日差しを遮ってくれて、とても居心地の良い空間となっています。
池にはたくさんの鯉が泳いでいました。
観光客の小さな子供のところに、餌を求めて群がっていました。
この緑のオアシスのような「楽水園」ですが、周囲は高い集合住宅などに
囲われています。
これだけの緑豊かな空間が、大都市の駅近くにきちんと保存されていることに
大変感銘を受けました。
都会の喧騒を逃れて、ほっと一息つくのに絶好の場所です。
帰りがけ、入って来たエントランスアプローチを通って、街に戻ります。
この美しい緑のトンネルが、紅葉に染まる季節に、
もう一度来てみたくなりました。
近代化された街の中に、ひっそりと佇む「楽水園」。
福岡(博多)に行かれた際には、是非、足を伸ばしていただきたい庭園のひとつです。
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