2026.7.31 / ガーデニング術花の名所、花のイベント訪ねてみたい名庭園
ひとつ前の記事で、世界的ガーデンデザイナー・石原和幸氏の地元、長崎にある三原庭園のメインガーデンである
「和風庭園(+洋風ガーデン)」の紹介記事を書かせていただきました。

後編(その2)では、和風庭園・洋風ガーデンの他にも、とても魅力的な空間やガーデンが
要所要所に作られていますので、それらをご紹介したいと思います。

まずは、前編のおさらいから。
こちらの写真の左側、白い小壁の見えているフラットな場所が、最も近い駐車場です。
その脇の小さな階段を下りれば、斜面につくられた「和風庭園」へ導かれます。
今回は、その和風庭園の上の道路をまっすぐ先に進んで行った、三原庭園の中心的なエリアにつくられた
様々な施設をご紹介します。

こちらが、そのエリアのエントランス。
中央三見えているオレンジ色のスペイン瓦の建物が、カフェやギャラリーのある建物です。

エントランス脇には、石積みの装飾が設けられていて、そこにシンボルツリーとなる、立派な株立ちの
サルスベリの大木が植えられていました。
手前の階段を下りていくと、展望台のような場所に続いています。

階段を一旦下って、逆にまた白い鉄骨階段を登ると、テラスのような場所に出ることができます。

テラスに面した建物(その屋上も展望テラス)の前には、立派なガーデンファニチャーが並んでいました。
ここに座って、雄大な長崎の街を眺めると素敵でしょうね。

こちらが、その長崎の街を見渡す眺望。
斜面の多い町、長崎ならではの風景が、目の前にパノラミックに広がっています。

再び階段を登って、先ほどのエントランスへ戻ります。
石積みの土留め擁壁がセンス良く配置されています。
洋風なのに、赤いノムラモミジと合わせても、全く違和感を感じないのが不思議です。

その石積み土留め擁壁のトップにが、豚?の彫刻が置かれていました。
その背中には、蛙?がのっかっています。
このあたりにも、石原さんの遊び心が垣間見れます。

その石積み擁壁の裏側です。
手すり状になっていて、その内側には、鉢植えの植物がたくさん並べられ、
ガーデンショップ感を演出しています。

上部に枝を伸ばすサルスベリに、鳥かごが引っ掛けられており、
その中に、黄色い花が咲いたプランターが2つ、入れられていました。
このあたりにも遊び心を感じます。

回り道をしましたが、ようやく施設の中へと入っていきます。

上のエントランスの写真の右側 の灯篭が置かれたエリアのアップです。
いくつもの鉢植えが置かれ、その合間に小さな滝のような設えが見えます。
訪れたのは4月ですが、早咲きのつるバラ・カクテルが咲き、
その横に赤い葉のノムラモミジが共存しています。
和洋折衷ですが、意外にもあまり違和感なく存在しているのが不思議です。

こちらは、小さな石の灯篭。
石原さんのチェルシーフラワーショーのショーガーデンでも使われているもの
と思われます。

一番手前の建物は、おそらくギャラリーかと思います。
右側のガラス張りの建物の中に、石原さんのお気に入りの車、ミニクーパーが置かれている写真を
見たことがあります。
この日は何も置かれていませんでしたが。

左側には、バイクが置かれていました。
この一角は、石原さんのお気に入りのものを展示・保管するスペースで、
場合によっては、チェルシーフラワーショーなどの作庭の点景として活用するために持って行かれるのでは
ないかと思います。

ギャラリーの入口前です。
至る所に、開花株の鉢植えが置かれ、華やかな演出がされています。

ギャラリーを通り過ぎて、さらに奥へと入っていきます。

このエリアから奥は、和洋折衷の異空間が広がっています。

まずは、左手前に大き目の手水鉢が目に入りました。
手水鉢の奥には、オレンジ色のバラが咲いています。
和と洋が入り混じった、不思議な空間です。

小さな灯篭のようなところから水が流れ、下の石でできた手水鉢は苔むしています。
その周囲には、松やツワブキ、リュウノヒゲなどの和風植物が配置されています。

こちらは、通路の反対側。
斜面地に隣の建物が迫る場所に、立体的に植物が配置されています。

こちらも和洋折衷の不思議な組み合わせです。
松の横に赤いバラの花が咲き、モミジの下にオレンジ色の花が咲く、とてもカラフルで面白い空間です。

更に先に進んでいくと、そこは花苗や花木の売り場となっていました。
これまで見てきた、バラなどの植物は、販売用の植物で、それらを庭の各所に効果的に配置していることが
よく分かりました。

ここでも、手前足元には、ビビットなオレンジ色の小花の鉢植え(鉢苗)、その後方には、フレッシュグリーンの
モミジ、その奥には淡いすみれ色のフジの花、さらに奥には、赤いノムラモミジも見えています。
まさに色の洪水!

このアングルは、特に気に入っています。
黄色・オレンジ系統の花苗に、黄色やオレンジ色、赤のバラ、
赤いノムラモミジ、新緑のヤマモミジに深い緑のマツ、
ポイントでスミレ色のフジが、混然一体となっていて、
まさに印象派の絵画のようです。

縦位置でもう一枚。
三原庭園を訪れたのが、ちょうど4月中旬。
春の花が咲き始めたころで、黄色やオレンジをテーマ(ベースカラー)にして
売り場を構成していると思いますが、それがとても美しく、
購買意欲をそそられます。

こちらも面白い展示風景。
手前にマツの盆栽、その隣にオレンジ色のバラ。
普通だったら、全く対極にある植物ですが、その下に、オレンジ色の花苗が並ぶことによって
全体としてとても調和しているように感じます。

まさに混然一体、いろんなものが交じり合った摩訶不思議な空間ですが、
意外にも心地よく、僕自身は、「地味派手(一見すると派手だがよく見ると地味みたいな)」好みなので、
こういう、一見すると派手だけれど、全然バラバラで調和していない(雑然とした)派手でな空間はなく、
上手く補色対比などを活用し、制御された空間となっているところに、いたく感心しました。
こういう空間を構成できるのは、センスがいると思います。

もう少し先に進んでいきます。
このあたりが一番カラフルなエリアでした。

興奮して(ワクワクして)、同じような写真を何枚も撮っていました。

「この黄色い花苗(パンジー、ビオラとか)が並んで置いてあるのが効いているなー。」とか言いながら、
シャッターを切りまくっていたように記憶しています(笑)。

この鉢植えのフジも、空間のアクセントになっていますね。

反対方向(入口から入って来た方向)を見たアングル。

通路の両側に置かれた、黄色とオレンジの花苗が、球場(スタンド)の観客席の人のように見えて、
真ん中の通路を通る人に歓声を投げかけているようで、とても気分が上がります。

今度は逆方向、進行方向にさらに進みます。
緩やかにカーブが掛かっているので、この辺りは入口から見えなかったエリアです。

このエリアには、赤い葉のノムラモミジが多くあるので、さらに派手さが増す感じです。
これまでになかった、ピンクのバラの鉢植えも置かれ、アクセントになっています。

このあたりは、バラの鉢植えが多く置かれていました。
オレンジや黄色と、ピンクはケンカしやすい組み合わせですが、そこに白い花を混ぜることで、
少し中和された感じがします。

画面左端に、オレンジ・黄色の派手なバラが置かれていますが、ここも、赤い葉のノムラモミジがあることで、
和洋折衷ではありますが、上手く調和しているように感じます。

こちらの花苗売り場には、見覚えのあるものが・・・。
石原さんが関西(滋賀県甲賀市信楽)にお越しになった際、ご一緒させていただいたことがあったのですが、
その際、信楽のとある陶器屋さんで、偶然見つけて即断即決で購入された陶器製の五重塔が置いてありました。

その時の五重塔が、こんな風に展示されているとは思いもよりませんでした。

こちらは、今歩いてきた方向を見返したアングルです。
このあたりは、花苗の販売用の展示というよりは、様々な花や樹々をどのように組み合わて見せるか、
といった実験的な空間のように感じました。

写真右上には、斜面に張り出したバルコニーのような場所が見えます。
あとで、この場所へも案内します。

こちらは、カフェのある建物のエントランスアプローチです。
赤いノムラモミジが倒れ込むように、エントランスアプローチの頭上に伸びています。

その手前のコーナー部分。
様々な鉢に植えられた植物が、混然一体となってディスプレーされています。
その時に旬な植物が選ばれて、センス良くまとめられているように思います。

アプロローチを中に入っていきます。

こちらが、建物の内部のカフェエリア。
天井から無数の花(フェイクグリーン・フェイクフラワー)が垂れ下がったテラス席です。
石原さんのお気に入りのバイクも展示されています。

こちらは、眺望のあるカウンターサイドのカフェ空間。
こちらにも天井から、様々なグリーンや花が吊り下げられて、ロマンチックな空間になっていました。

こちらは、カフェの入口横の空間。
ここにも手水鉢が置かれています。

そのアップです。
モミジが滝の前に枝を伸ばし、その手前にピンクのチューリップ。
廻りには、ユキノシタや苔、アオキ、ツツジなどが見えています。
なかなかここにチューリップを合わそうと思わないところが素敵です。

この辺りが、カフェ・花苗販売コーナーの最奥にあたるエリアです。
正面に見えているオレンジ色の屋根が(ゲート)、このエリアの区画に
なっています。

ここには、石積みの壁泉が設けられていました。
その上に、立派な株姿のサルスベリが枝を張っています。

ゲート部分から内部を見るとこんな感じです。

ゲートを出ると、斜面を縦断する階段が降りてきています。

その斜面を縦断する階段を少し登って、見下しのアングルで見たのが、こちら。
急こう配の斜面に建物が張り付いている感じがよく分かると思います。
よくこんな急勾配の土地に庭を作ろうと思ったよねと、その工事の大変さが目に浮かびます。

こちらは、斜面の上から、先ほど通ってきた、花苗売り場やカフェの建物を
上から見下ろしたアングルです。
急勾配の斜面にできた段差をうまく活用し、立体的なガーデンを
つくっているのがよく分かるかと思います。

斜面の一角につくられた展望テラス。
先ほど、下(花苗売り場)から見上げて見えていたテラスです。
2人掛けのテーブルと椅子が置かれていました。

上から見下ろすと、花苗売り場も結構なボリュームと密度感で樹木が
植栽されているのが分かります。

このテラス(手前)の奥にも、さらにもう一つ、崖から迫り出したテラスが
設けられているのが見えました。
続いて、三原庭園の他のエリアにも行ってみます。

こちらは「龍画館」と呼ばれるエリア。

無造作に、たくさんの盆栽が置いてありました。

この左側の建物が「龍画館」と呼ばれる建物で、訪れた時は無人でしたが、
どうもお土産?に、龍の絵を描いてくれる方がおられるような施設のようです。

龍画館の奥にも、盆栽が多数置かれていました。

さらに、その下のスペースにも、まだ新しい盆栽が多数並べられていました。

続いて、「水景庭園」と「シガーバー」と呼ばれるエリアです。
こちらがそのエントランス付近です。

こちらが、「水景庭園」に入るゲートです。

ゲートを抜けると、水景(池)が作られていました。

そして、水景に面して建てられた建物が、「シガーバー」と呼ばれる施設で、
文字通り、シガレット(煙草)を楽しむ施設となっているようです。

シガーバーの向かいには、立派な滝が作られています。

こちらは、滝のアップ。
石積みの部分に水生植物も配置されて、とても素敵な風景となっていました。

滝の前に、石張りの園路が作られ、両側に池の上を渡っているような感覚になります。

このあたりも、人工的な斜面地とは思えないほど、豊かな緑地が作られています。

園路の石張りのアップ。
石原さん好みのスタイルですが、人工的になりすぎない、自然な感じでつくられています。

このあたりにも、小さな石の間から、水が流れ落ちる演出がされています。

こちらが、水景庭園の一番端のエリア。
向こうに見えているスペイン瓦のゲートと建物が、先ほど見ていたカフェになります。

こちらが、先ほど見てきた花苗売り場およびカフェスペースへのサブエントランス(勝手口)ゲートです。
ここにも、石原さんオリジナルで、トレードマークの渦巻きのデザインがされています。

ゲートの渦巻き模様の壁の上に、うさぎのオブジェが置かれていました。
いろんなところに、遊び心が隠されています。

ここからはローズガーデンエリア。
訪れたのが4月中旬だったため、バラの開花にはまだ少し早い時期でしたので、花は見ることができませんでした。

アーチの早咲きの黄モッコウバラが、ちらほらと咲き出している程度でした。

アーチをくぐった先もローズガーデンでしたが、他のエリアに比べると
ローズガーデンの完成度は、まださほど高くないような感じがしました。
これから手を入れて行かれるのだろうと思います。

ひとつだけ気になったのがこちらのサルスベリ。
通常の植え方では、ここまで傾けることはないと思いますが、
石原さんの場合は、ショーガーデンの作庭でも、45°以上も平気で傾けて
植えておられます。
このあたりの、造園の常識を超えたスタイルとして、いつも刺激をもらっています。

この辺りが、ローズガーデンの最奥、三原庭園の最奥のエリアです。
正面に見えている白いチャペルのような建物は、手作りの子供服やバッグなどの販売をするショップのようです。
この時は時間が早かったのか、閉まっていましたが。

白いチャペルの建物から、ローズガーデン方向を見返したアングルです。

こちらは、先ほど越えてきた、黄モッコウバラのアーチ。
その奥に、また別の庭園が待ち構えています。

それが、こちらの「風景盆栽」と書かれた、風景の一部として使える盆栽を展示したガーデンです。

ゲート部分の両側に、石の狛犬が配置され、ゲート部分には、夏ミカン?のような柑橘系の植物が
植えられていました。
ちょうどオレンジ色の実がたくさん成っていました。

こちらが、門(ゲート)の裏側。
ここに柑橘系の樹木の株元がありました。

こちらが、風景盆栽の展示場です。
特に大型の盆栽が並べられていますが、重機も入らない、こんな場所で、
この重い鉢植えを、おそらく人力で動かすのだと思いますが、結構大変かなと思いました。

風景盆栽展示場の一番奥から見返したアングルです。
本当にたくさんの盆栽が収集され、管理されています。

風景盆栽展示場から、ここへの入口(柑橘系樹木が植わっている場所)を見返したアングルです。
これで、ひととおり、三原庭園をぐるっと回ってきました。
見どころが多くて、写真点数もたくさんになってしまい、読者の皆さんもお疲れかもしれませんね。
ここからは余談になりますが・・・。

三原庭園へアプローチする少し手前に、こんな建物がありました。
鉄骨造のアパートのような建物です。
その外構に、見慣れた渦巻き模様が施されていました。

近寄って見ると、こんな風になっています。
実は、このアパートの駐車場が、三原庭園の駐車場にもなっています。
前編(その1)の冒頭で紹介した最寄りの駐車場へアプローチするには、少し狭い道路を通らないといけないため、
この駐車場に車を停めて、少し歩いて三原庭園に向かうのがおススメです。
この建物も何か改築(リノベーション)されているような感じでしたので(2025年4月現在)、
三原庭園の関連施設として使われる可能性があるのかなと、思いました。
三原庭園では、いろんな方が関わりながら、ガーデンを中心とした街づくりが行われているようです。
今後の発展にも期待が持てますね。

いかがでしたでしょうか?
ガーデンデザイナー・石原和幸氏の「三原庭園」。
前編(その1)では、メインガーデンとなる「和風庭園」を紹介させていただき、
後編(その2)では、花苗売り場ほか、関連施設全般を紹介させていただきました。
僕自身にとっても、非常に刺激を受けたガーデンであり、空間、風景でした。
長崎へ行かれる機会があれば、是非、「三原庭園」にも足を伸ばして見られては如何でしょうか?
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