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専門家「風景」をつくるガーデニング術

「キャナルシティ博多」(福岡市)のランドスケープ

居場英則

ひとつ前の記事で、今年7月に九州・福岡に出張した際に、視察してきたランドスケープの事例のひとつとして

博多の中心街・天神にある「アクロス福岡」のステップガーデンをご紹介しました。

今回は、その続編で、同じ博多の中心街、「中洲」の近くにある商業施設、「キャナルシティ博多」の

ランドスケープデザインについて、ご紹介します。

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「キャナルシティ博多」は、有名な商業施設なので、行かれた方も多いのではないでしょうか?

1996年に竣工・開業しているので、もうすでに30年が経っています。

商業施設、劇場・シネマコンプレックス、ホテル、オフィスなどが入居する複合商業施設ですが、

最大の特徴は、地下1階に設けられた「キャナル」と呼ばれる「運河」で、その運河沿いに様々な商業施設が

グランドキャニオンのような「渓谷」に、立体的に配置されていることです。

この建築のデザインを担当したのは、アメリカ人建築家のジョン・ジャーディ氏で、

日本では「キャナルシティ博多」の他にも、東京の「六本木ヒルズ」、大阪の「なんばパークス」などの

商業施設のデザインを手掛けています。

ジャーディ氏のデザインした商業施設は、どの施設も「キャニオン(渓谷)」を想起させる空間構成が素晴らしく、

都市の中にオアシスを作り出すような建築デザイン、ランドスケープデザインが秀逸です。

僕も、この「キャナルシティ博多」が竣工したばかりの頃(30年近く前)に訪れたことがあるのですが、

今回久しぶりに、再訪問しましたが、年月が経ってもその空間の魅力は衰えず、その美しい空間に癒されました。

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今回、博多の街を南北に流れる那珂川沿い、「キャナルシティ博多」の南西方向(どちらかというと裏側)から

施設の中に入ってみました。

訪れたのがこの後の予定の都合上、朝イチで、また商業施設のお店も開店する前で、照明も付いておらず、

人で賑わう前の時間帯だったので、少し寂しい感じがしますが、どうかご容赦ください。


早速、外部に開けた入口から階段を下りて、「キャナル(運河)」のある、地下1階へ降りていきます。

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「キャナルシティ博多」を地図で見ると、すぐ横(西側)に、博多を南から北へ流れる那珂川に面していて、

ちょうどキャナルシティ博多付近で、那珂川が2つに分かれ、歓楽街の中洲へとつながっていきます。

「キャナルシティ博多」は、この那珂川の川の流れを敷地内に引き込んで「運河」をつくったような

ランドスケープデザインとなっています。

運河に面した建物は、緩やかに弧を描き、うねる渓谷のような建築が「キャナル(運河)」の両側に建っています。

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「キャナル(運河)」を挟む両側の建物は、「渓谷」をつくり、

その「渓谷」の幅は一定ではなく、広がったり、

先が見通せないくらいに狭まったりと、複雑な風景を作り出しているのが、

ジャーディ氏のデザインの特徴です。

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縦位置の写真でももう一枚。

「キャナル(運河)」を囲む商業施設棟は低層で、

クレバスのような裂け目から、自然光が地下1階の「キャナル(運河)」まで

差し込むので、照明が付いていなくても十分明るいです。

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上から(1階レベル)から見下ろす、地下1階の「キャナル(運河)」です。

人工的につくられた運河の底もブルーに塗装され、流れる水もとても美しく感じられます。

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地下1階の「キャナル(運河)」のレベルに降りてみました。

運河とその横の歩道(商業施設側)の植栽の作り込みなども、とても自然で美しいです。

また、運河を流れる水流も、結構動きがあって、リアルな感じがしました。

ところどころに、シンボルツリー的な大きな樹も植栽されています。

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その大きな樹を、反対側から回り込んでみたアングルです。

自然を表現する樹々や足元の低木、宿根草群と、

その奥に見える極彩色の近代的な建築物との対比が

非日常感を演出しているように思います。

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「キャナル(運河)」と遊歩道の境目。

特に、転落防止柵などは設けられておらず、それがこの美しい景観を

作り出していると思います。

日本では、安全対策として、無粋な手すりや壁が設けられることが多いと

思いますが、それがなくても十分成立している好例と思います。

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こちらは、「キャナル(運河)」に架けられた太鼓橋。

ここにはステンレス製の手すりが架けられていますが、視線の透過性を考慮されたデザインかと思います。

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こちらは、上層階(1階)に架けられた、「キャナル(運河)」の両側の建物をつなぐブリッジ(橋)。

ここは、敢えて人工的な構造物としての力強い「橋」としてデザインされているように感じました。

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「運河(キャナル)」の奥に、この商業施設の中核となる「イベントスペース」が見えてきました。

赤い金属パネルで覆われた空間です。

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ちょうど、博多を訪れたのが、「博多祇園山笠」の期間中だったこともあり、

このイベントスペースには、立派な山笠が展示されていました。

お昼ごろには、イベントが行われ、見物客でごった返すと思いますが、まだお店の開店時間前だったので、

イベントスペースもひっそりとしていました。

そんな中、「キャナル(運河)」の端(写真の左端)に、気になる人影を見付けました。

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こちらが、そのアップ写真。

最初は、「キャナル(運河)」に落ちた樹々の葉っぱを拾っているのかと思いましたが、

どうも、「キャナル(運河)」に面した施設のガラス窓を、外側(運河側)から拭いておられるようです。

複雑な形状をした建物と、「キャナル(運河)」があることで、ガラス拭きやその他のメンテナンスには

非常に手間が掛かるのだと思います。

おそらく、「キャナル(運河)」に落ちた葉っぱやゴミなども、同じように、人が水の中に入って拾い集めて

おられるのだろうと思います。

何でもそうですが、空間の魅力とメンテンナンス性は両立するとは限らず、それでも、この施設の魅力を

維持するために、様々な努力がなされていることに感銘を受けました。

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こちらは、「キャナル(運河)」沿いに植栽された高木の続くエリアを、商業施設のある遊歩道側から見たアングル。

「キャナル(運河)」の「水」だけでなく、効果的に植栽された樹々の「緑」がとても効いていると思います。

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高木植栽スペースのアップです。

遊歩道の床には、「渦巻き」型のペイブメントが施されています。

このあたりにも、「水」を感じつつも、商業施設ならではの「賑やかさ」を演出したデザインの秀逸さを感じます。

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「キャナル(運河)」のかなり奥の方(北側)から、中央のイベントスペースを見たアングル。

赤い金属パネルで覆われた、球体を半分に割ったようなイベントスペースと、その奥に見えるグリーンの縞模様の

商業施設の廊下が湾曲しながら折り重なっているデザイン、そしてその奥には、ガラス張りの高層棟が見え、

この写真は、「キャナルシティ博多」を凝縮したような一枚です。

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こちらは、望遠レンズで少しクローズアップしてみました。

まだ朝方で、太陽高度も低かったのですが、もう少し経つと、太陽光がこの地下1階の「キャナル(運河)」レベル

に光を差し込み、とても美しい光景が見られるのではないかと思います。

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更に「キャナル(運河)」の奥から、中心方向を見てみます。

今度は手前に、赤と黒のストライプのデザインが印象的な、少しイスラム建築を想起するような空間が現れます。

その手前(運河側)には、高木や低木がまとまって植栽された休憩スペースが設けられています。

ベンチも置かれ、ここが人工的な商業施設の地下1階とは思えないような演出です。

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緑の休憩スペースの緑量も大きく、多くの人を集客する商業空間の中で、癒されるスペースとなっています。

「キャナル(運河)」との境部分も、冒頭で見てきたエリアとは少し違う設えで、徐々に変化する「水景」を

体感できます。

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このあたりが、「キャナル(運河)」の一番奥(北側)になります。

むしろ、こちら側からのアプローチが、正式なルートになるかと思いますが、本当に美しい空間です。


いかがでしたでしょうか?、「キャナルシティ博多」。

竣工・開業からすでに30年が経ち、色あせてしまっているかと思いきや、竣工当時に初めてこの施設を見た時の

ワクワク感を再び感じました。

多くの商業施設が、時間の経過とともにマンネリ化、陳腐化する中で、この「キャナルシティ博多」は

輝きを失わず、存在していることに、とても感銘を受けました。

博多を訪れることがありましたら、是非、商業施設としてだけでなく、

美しいランドスケープ、ウォータースケープ(水景)の好例として、是非、足を運んでいただきたいと思います。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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