難易度★★

赤いツヤツヤしたハート型の花のように見える箇所は、実は仏炎苞（ぶつえんほう）と呼ばれる葉が変化したもの。そのため長い間、この花のような苞を楽しむ事ができます。実際は、中央の黄色い棒状の肉穂花序（にくすいかじょ）と呼ばれる部分が花です。
アンスリウムは一見して地面から生える植物のように思えますが、実は着生植物。成長と共に茎が立ち上がって、姿が乱れてくる性質があります。切り戻しや植え替えをする事で、美しい姿を楽しむ事ができます。

自生地は南米コロンビア。熱帯地方で雨の多い地域です。そのため高温で空気中に湿気のある環境を好む傾向があります。基本的に着生植物なので、土は水はけの良い土に植えて通気良く育てるのがポイントです。また、いくら湿気のある環境を好むと言っても、日本の真夏の猛烈な４０度近くにもなる高温プラス湿度は苦手。アンスリウムにとってのベストな気温は２０〜３０度と言われています。日本の真夏は、彼らにとって過酷な状況です。強い西日を避けた涼しい場所に移動してあげましょう。そして、寒さに弱い性質があるので、冬はできれば１５度くらいの温度のあるお部屋で管理し、最低でも１０度以下にならない環境においてあげるようにしましょう。

アンスリウムを育てていると、茶色い木のような幹が立ち上がってきます。その茶色の部分からたくさんの気根を出して元々の雰囲気とは少し違い、姿のバランスが崩れてきます。姿が乱れてきたタイングで仕立て直しを行います。この作業は５〜９月の成長期で、過酷な真夏を避けた時期を選んで行います。茶色の立ち上がった部分の気根を少し残し、その枝をバッサリと切り落とします。切り取った枝は、新たな土に植えれば、新たな株として育てる事ができます。
鉢の中で根がいっぱいになると、通気も悪くなり、乾燥しやすくなるので、最低でも2年に１回は植え替えをします。古い鉢から株を抜きます。少し根を崩し、古い根を取り除いたら、新たな用土でひと回り大きな鉢に植え付けます。土は排水性を良くするために、観葉植物用の土に赤玉土やパーライト 、ピートモスを混ぜ込んだ土、もしくはラン用に売られている小さなバークチップ状の植え込み材も適しています。

成長期の春から秋までは肥料が効くように定期的に施します。水は土が乾いたらたっぷりが基本ですが、冬はどうしても通常よりも温度が下がるので水やりの回数を減らします。完全に土がカラカラに乾いてさらに数日おいてから水をあげるくらいでも大丈夫です。水のあげすぎは根腐れ、そして枯れる原因になるので気をつけましょう。

比較的病害虫には強い植物ですが、環境が合わなかったり、弱ってくると病害虫も出やすくなります。他の観葉植物同様、土からコバエが出たり、葉っぱや茎にアブラムシ、葉が煤けたような状況になるハダニがついたり、ロウのような粒々のカイガラムシが葉裏や茎に付く事があります。見つけ次第、病害虫にやられている幹部を取り除きます。専用殺虫剤のスプレーなどで対応しても良いでしょう。コバエの発生もそれ専用の忌避剤や、スプレー、粘着材などがあります。日々のチェックはもちろん、何より健全に育てることが病害虫対策の１番のポイントです。

アンスリウムは色々な色合いの花（仏炎苞）が楽しめる植物。でも実は葉色のお洒落な品種も流通量は少ないですが、実は色々あります。
アンスリウム　レインボーチャンピオンは大人シックな色合いが魅力の品種です。花はサーモンピンクのニュアンスカラー、葉は新葉が濃い深緑で、その後緑色に変化します。ロムズレッドと呼ばれるアンスリウム　チェンバラニアヌムも新葉が銅葉で、その後緑色に変化するタイプです。
その他ミニタイプやプチタイプも充実していて、通常のアンスリウムよりも花も葉もコンパクトで小さく可愛らしい品種がたくさんあります。薄紫の仏炎苞がほっそりお洒落なジスーや、ピンクの仏炎苞が細く尖ったリリーもあります。品種によって草丈も大きなものから小さなもの、花（仏炎苞）の大きさ形、大花、小花がたくさん付くタイプなど本当に様々。お気に入りの商品を探してみましょう。

花は一見いつまでも長く楽しめますが、見頃を過ぎて傷んできたら早めに切り取ってあげるのがベストです。そうする事で、他の花芽に栄養がいき、より多くの花を楽しめます。
サインは中央にある棒状の花が時期を過ぎると、黄色から白、さらに緑に変化をします。そうなったらそろそろ花も終わりのサインです。その頃には苞も少しボコボコと凹凸が出て、色があせてきます。自然に花が散る事はないので、そのような状況になったら、茎の根元からハサミで切り取ります。

アンスリウムは直射日光は苦手ですが明るい環境下でないと花は咲きません。そして大事なのが温度です。
冬でも最低１０度と言われますが、実際花を咲かせようと思ったら、１５度以上できれば２０〜３０度くらいの環境下にないと花が咲きません。できるだけ暖かい環境で管理し、日当たり、そして成長期には肥料を施す。まずはこれから試してみてください。

ハートの仏炎苞が可愛らしいアンスリウム。知れば知るほど種類も豊富で奥の深い観葉植物です。

その花姿から別名紅団扇、海外ではフラミンゴフラワーの名でも親しまれています。鉢花はもとより切花も多く流通していて、夏の結婚式の花嫁さんのブーケにも多く使われています。「情熱」「熱心」「飾らない美しさ」など花色によって花言葉も違います。とても華やかなので、プレゼントとしてとてもおすすめな観葉植物です。