難易度★★

ジャスミンの中でも、マツリカ、アラビアンジャスミン、ピカケと呼ばれるこの品種は、香りがとても良く香料の原料、漢方として利用される植物の１つです。小さく純白の花は、夕方から咲き始め、夜に最もよく香ります。一重品種の他に八重咲き品種もあり、一重のピカケに対して八重咲きはローズピカケと呼ばれ、小さなバラのような豪華さと気品が魅力です。寒さには大変弱く、沖縄などの暖かい地方を除いては、冬は室内で管理します。花付きを良くするためには、日当たりの良い環境で育てます。しかし、直射日光に長期間当たると葉焼けするので、真夏は明るい木陰、もしくは午前中日があたり、午後木漏れ日の当たる場所を選ぶか、もしくは寒冷紗を利用して真夏の強日差しから遮光する工夫をしましょう。秋〜春先の室内管理をする場所は、日当たりの良い窓辺や温室のような、太陽と温度の確保できる場所で管理します。

暖かさが安定する５〜６月、もしくは暑さの落ち着いてくる９〜１０月頃が植え付け、植え替えの適期です。真夏の暑さに耐えている時期や、真冬の寒さに耐えている時期は根っこをいじる作業は避けましょう。植え替えの際は、１〜２まわり大きな鉢を用意し、引き抜いた根鉢の根はあまり崩さずに、新たな培養土に緩効性肥料を混ぜ込んで植え付けます。根っこを大胆に崩すと弱ってしまうこともあるので、絡んでいる根っこがあればそれを少し崩す程度にしましょう。少なくとも、２〜３年に一度は植え替えを行います。

半つる性と呼ばれるアラビアンジャスミン。半つると言うその名の通り枝があちこちに伸びて、少しだらしない状況になってしまいがちです。花が終わったら枝を半分ほどに切り詰めると、そのすぐ下あたりから、さらに多くの枝ができてこんもりと茂ってくれます。もしくは伸びた枝を、フェンンスやオベリスクなどに誘引したり、ハンギングのように高い場所から枝垂れるように枝葉を伸ばしても良いでしょう。花の開花時や、その後も適宜間延びしてしまってバランスが悪くなったら、枝葉を都度切り詰めるといいでしょう。丈をコンパクトにしたり、樹形を整えるために強剪定をする場合は、春先に枝が伸びる直前の３〜４月、もしくは９〜１０月の秋に行います。

水は土が乾いたらたっぷりが基本です。冬は基本的に夏に比べて乾きにくくなりますが、少し乾かし気味の管理が良いでしょう。肥料は成長期の４〜１０月の期間適宜与えます。固形肥料の場合、成長期間にしっかり効くように施します。液体肥料を与える場合は、成長期間中、２週間に１回を目安に水やりと合わせて施します。

枝葉が混み合って風通しが悪くなるとハダニやアブラムシ、カイガラムシが発生することがあります。虫がついたり、葉のおかしな状況を見つけ次第、その枝ごと取り除くか、虫を捕殺します。状況によって薬剤散布も効果的です。基本的には日当たりが良く、風通しの良い環境であれば、株も健全に成長します。適した環境で育て、また枝葉が混み合うようなら剪定する事で、病害虫を未然に防ぐことができます。

ジャスミンと呼ばれる仲間には、たくさんありますが、比較的手に入りやすくメジャーなものとして、ハゴロモジャスミン、カロライナジャスミン、ソケイ、スタージャスミンが挙げられます。ハゴロモジャスミンは関東以南では屋外栽培され、最も一般的に出回るジャスミンです。ピンク色の蕾と白く小さな小花が溢れるように咲くのが特徴のつる性半常緑植物です。カロライナジャスミンは黄色の花で、ジャスミンと言う名がつきますが、全く別の種類です。香りの良いのは同じですが、こちらは植物全体に毒性があるので、絶対に食用にしてはいけません。ソケイはハゴロモジャスミンに似た葉をもちますが、それよりも少し葉が大きく、花は四季咲きで５〜１０月あたりまで長期にわたって花をつけるのも特徴です。香りも夕方から夜のほうが、より強く香ります。スタージャスミンも、アラビアンジャスミンとは別のキョウチクトウ科で、全草に毒性があります。テイカカズラの仲間なので、似たような雰囲気があります。　このように、ジャスミンと呼ばれる植物の中には、毒性のものも含まれます。お茶に入れるなど、食用に使う場合は、必ず品種を確定してから利用します。

ジャスミンは、簡単に挿し木で増やす事ができます。剪定で落とした枝を利用して挿し木にチャレンジしてみましょう。できれば花の終わった後〜１０月くらいまでの時期が適しています。まず、新しく伸びてきた枝を切りとります。1つの挿し穂には、葉がついている節が３節くらいあるとベストです。一番下の節は葉を取り除きます。しばらく水に浸けたのち、切り口に発根促進剤をつけて赤玉土もしくは種まき用土を小さな９センチポットに入れ、そこへ数枝挿します。その際に根っこが出てくる節部分（葉を取った部分）をしっかり土に埋め込みます。たっぷり水をやり、ビニールなどをかけて乾かないよう管理します。２週間ほど発根するまでは、乾燥させないようこまめに水やりをし、半日陰で管理します。

耐陰性のある植物なので半日陰環境でも育ちますが、花はお日様に当たるような環境で育てないとつきません。ただし、真夏は日が直接当たりすぎると葉焼けしてしまうので、午前中日が当たり午後には半日陰になるような環境、もしくは明るい木陰環境に置くと良いでしょう。室内でより日当たりの良い場所に移動する、もしくは夏の温度が高い時期だけでも屋外栽培するのはいかがでしょうか？初春に屋外に出す時に、いきなりお日様に当てるのではなく、暖かい時間帯だけ出して、徐々に慣らしていくのがポイントです。

日本で育てると７〜９月の夏に花を楽しめますが、実は自生地の熱帯アジア地域では、一年中花が咲いている植物。ハワイでは、花嫁がつけるレイとしても有名で、それはピカケレイとも呼ばれます。またフィリピンやインドネシアの国花で、サンパギータと呼ばれており、愛、純粋、献身や忠誠のシンボルとされています。多くの国で愛されている花であることは間違いないようです。

アラビアンジャスミンの開花した花や蕾は、実際に自家製ジャスミンティーとしても楽しむ事ができます。緑茶葉と一緒にして１日置く、もしくは摘みたての花を緑茶に入れるだけでも、簡単にその香りを利用する事ができます。ただし、購入した時についている花は、生産過程で何かしらの薬剤などがかかっている可能性があるので、もし食用にする場合は、その翌年に自分で育てて咲いた花を利用しましょう。