難易度★

１〜２年草の野菜で、苗も出回りますが、直根性で移植を好まない植物なので、多くは畑やプランターに直に種をまいて栽培します。
苗を購入して植える場合、購入したらすぐに植え付け、根をあまりほぐしすぎないように気を付けて植えます。家庭菜園でホウレンソウを育てる多くの場合、秋から春にかけて期間栽培されます。
発芽適温は１５〜２０度で、気温が３５度を超えると発芽率が低下します。初心者は一番栽培のしやすい秋の始めに種を播いて、年内に収穫する方法がおすすめです。
もし春から栽培したい場合、とう立ちしにくい品種を選びます。また、冬の厳冬期に甘みの増す「寒締めホウレンソウ」を作りたい場合は、それ専用の品種を選ぶことが大切です。ホウレンソウは連作障害が出るので、一度植えたら、１〜２年は他の科の野菜を育てて、同じホウレンソウを連続して育てないようにします。

ホウレンソウは酸性土壌を嫌うので、植え付け前に畑に苦土石灰を予め混ぜ込んでおきます。その１週間後、そこへ今度は堆肥と肥料を混ぜて土づくりを済ませておきます。
畝幅は１m。そこへ棒などで深さ５mm〜１cm程度の播き溝を作って、１cm間隔で種を播いていきます。播き溝は、１５〜２０cmの間隔（条間）を開けて溝を掘ります。
鉢植えの場合は、同じく５mm〜１cmほどの播き溝を２本作り、やはり１cm間隔で種を播きます。溝同士の間隔（条間）は、菜園より少し狭く１０〜１２cm確保します。タネを播いたら、土を埋め戻して、手で軽く転圧します。
水をあげる際は、シャワー状の水をかけて、種が流されないように気を付けます。発芽するまで乾かないよう注意して、乾くようなら水をやります。３〜５日で発芽します。

本葉が１〜２枚になった時に最初の間引きを行います。株間２〜３cmを目指して間引きします。生長の悪い芽や、黄色など色の悪い芽、本葉が変形した芽、成長の遅い芽を中心に抜き取ります。
その後、株元に土を寄せてぐらつかないようにします。本葉が４〜５枚になったら、２回目の間引きをします。株間は５cmを目安に間引きます。１回目と同様に土寄せをしますが、合わせて条間に肥料をまいてそれを土寄せします。
その後は生長と共に混み合う箇所があれば、間引きを行います。間引きで採れた間引き菜は、とても柔らかくて美味しいので、サラダに入れたり、お味噌汁に散らしたりして楽しめます。間引きをする事で、栄養も行き渡り、混み合わない事で健全にスクスクと大きく育ちます。

まずは土づくりの際に、しっかりと元肥をすき込んであげます。そして２回目の間引きの時に、条間に追肥をします。
その後は、様子を見ながらもし葉色が黄色っぽくなったり、少し肥料が足りていないと感じたら即効性の液肥で対応します。水やりのポイントは、特に種まき直後はそうですが、シャワー状の柔らかい水をかけてあげる事です。
ホースやハス口のないジョーロで一気に水をあげると土を掘り返してしまったり、種が流れて発芽が揃わなかったり、跳ねた泥が葉について病害虫の原因にもなります。
それから水のあげすぎも良くありません。土が乾いたらたっぷりあげるようにします。

ホウレンソウのかかりやすい病気として、糸状菌（カビ）を原因とするベト病があります。黄色っぽい斑点状の模様が葉に現れ、病状が進行すると枯れてしまいます。
また、アブラムシなどの虫を媒介としてウイルスが広がるモザイク病も代表的な病気の１つです。葉にモザイク状の模様が現れ、病状が悪化すると葉が縮れて変形してきます。
多くの病気は、多湿や蒸れを原因として起こりやすいので、風通し良く間引きしながら育てる事が大切です。また水はけの良い土環境で育てる事が何より大事です。雨の多い年であれば畝を高めに作るなどの工夫をして、より良い環境作りが病害虫予防につながります。そして、おかしな状態の葉や株を見つけ次第、蔓延する前に取り除きます。

最終的に草丈３０〜３５cmを目安に育て、育った株から順番に収穫します。株元の土を抑えて根ごと引き抜くか、地際をハサミでカットしても良いでしょう。
少しずつ収穫したい場合は、外側の葉っぱから食べる分だけちぎって収穫しても大丈夫です。他にも、寒締めホウレンソウ、ちぢみホウレンソウという名前で真冬の１２〜２月に収穫するホウレンソウもあります。
甘味が強いだけでなく、ビタミンを含む栄養価が通常よりも高いのが特徴で、寒い中ゆっくりじっくり甘みを増していきます。もし寒締めホウレンソウにチャレンジする場合、それに向いている品種の種を選びます。
種を播く時からポリマルチを利用して、種はポリマルチの穴に点播きし、間引きを繰り返して育てていきます。最初から防寒としてトンネル被覆をかけて育てます。
最終的に株がべたっと広がったように育つので、最終的な株間は１２〜１３cm程確保します。草丈が１５センチほどに生長した段階で、トンネル被覆を外して寒さにあてます。そうする事で甘みがグッと凝縮する寒締めホウレンソウになります。

西アジア原産のホウレンソウは、ペルシャ地方（今のイラン）で栽培化されたと言われており、その後東西に伝播し中国で東洋種、ヨーロッパで西洋種が形成、栽培される様になりました。
東洋種はツノの様な尖った種と、切れ込みの深い葉と、葉柄が細く短く、根元部分が赤いのが特徴です。その一方、西洋種の種は丸く、葉っぱも大きく丸く、葉柄は長く太いのが特徴です。
日本へは江戸時代初期に東洋種が入り、その後日本に定着して在来品種となりました。江戸時代後期には西洋種が入ってきました。現在の多くの品種は、西洋種に東洋種の遺伝子を掛け合わせた交配種が主です。
最初に日本へ渡ってきた東洋種は、いくつかあるものの、現在市場にはあまり多く出回っていません。

まずは、9月には栽培を始めるのをおすすめします。鉢植えで育てる場合、種を播く溝同士の幅、つまり条間は１０〜１２cmと、露地栽培に比べると少し狭くなります。
そのため最終的なサイズも２０cmを目安に育てていきます。肥料はお好きなものを利用すれば良いと思いますが、有機肥料の匂いが気になる場合は、化成肥料を利用します。
肥料分が流れやすいので、２回目の間引きの際に土寄せと肥料を施し、１０〜１２cm程に大きくなってきたら３回目の追肥として即効性のある液肥をあげると良いでしょう。
それからもう１点、日が長くなる長日を経験すると、ホウレンソウはとう立ちします。外灯などの明かりが夜中も常に当たるような場所で育てると、花芽が上がってしまう可能性もあるので、そこだけ気を付けて下さいね！

江戸時代には日本に伝わっていたホウレンソウですが、実際にお茶の間に定着するのは昭和になってからの事。アメリカの有名なテレビアニメ「ポパイ」の影響が大きいと言われています。

ホウレンソウ栽培の楽しみは、種まきから収穫までが短期間で、さらに栽培しながらの間引き菜を楽しめる事。
初めて栽培する方は、秋の始まる9月から栽培を始め、少し慣れてきたら春からの栽培や、寒締め栽培にチャレンジしても良いですね。
品種も色々あるので、初めての方は育てやすい品種からスタートして、その後生食に向くサラダ向きや、炒め物向きなど、品種の違いを試して楽しむのも良いですね。
採れたてのフレッシュなホウレンソウを食べれば、ポパイのように元気モリモリ間違いなし！？