難易度★

サツマイモ栽培は、霜の心配のなくなる５月頃からスタートします。園芸店やガーデンセンターに売られている、苗から育てるのが一般的です。苗は、茎が束状になって売られている切苗が多く流通しています。ただし１束が少なくとも１０本、多いものだと５０本や１００本など数が多いので、友人たちとシェアするなどして購入するのも１つの方法です。肥料は多すぎると「つるぼけ」と言われる現象になり、ツルばかり伸びて肝心のいもが育たない状態になります。すでに他の野菜を育てていたような家庭菜園では大抵肥料が残っているので、特に元肥は入りませんが、成長過程で必要な肥料についてはあげるタイミングに注意します。（肥料のコーナー参照）収穫は栽培地域や品種によっても多少異なりますが、多くは１０月頃から１１月頃、葉の色が徐々に黄色っぽく変化してきますので、それを目安に試し堀りをします。サイズがほぼ大きくなっていたら、収穫適期です。必ず霜の降りる前に済ませます。

寒さに弱い性質があるので、しっかり温度が安定した頃に植え付けを行います。日当たりがよく、水はけの良い場所を選びます。畑では畝を３０センチほど高めに盛って、水はけの良いように工夫します。あらかじめしっかり耕しておきます。苗を購入したら、３０センチ程間隔を開けて、苗を土に挿していきます。植え方はいくつかありますが、苗を地面に水平やもしくは斜めに挿して植えるのをオススメします。あらかじめ棒などで穴を開けてそこへ苗を差し込みます。苗の葉のついている先端部分がつちで埋まらないように気をつけましょう。苗を植えたらたっぷり水をやりますが、翌日が雨になるようなタイミングで植え付ければ、水やりしなくても大丈夫です。最初苗がしなっとなってしまって心配しますが、水を吸えばしっかり葉が元どおりになります。植え付けから１週間程、活着するまでは様子を見て、あまりにしんなりするようだったら、再度水をやります。

葉の色が徐々に黄色くなってきたらおおよそ収穫の適期です。一旦少し掘ってみて、いものサイズを確認し、もしまだ小さいようだったら２週間後にまたサイズを確認してみましょう。収穫は数日、晴れの続いた土のしっかり乾燥した時を狙います。収穫後、少しいもを乾かして土を簡単に払い落としてから保存するようにします。そしてさつまいもは、実は採れたてよりも少し寝かせたほうがより甘く美味しい芋になります。よく乾燥させた後、新聞紙などに包んで段ボールや発泡スチロールで１〜２ヶ月ほど貯蔵したのちに、食べ始めるのがオススメです。もし収穫する際に芋が割れてしまったり傷がついてしまったものは、腐りやすいので、収穫後早めに食べると良いでしょう。

サツマイモは肥料のあげすぎは厳禁です。基本的には植え付け１ヶ月後に効くようにあげる程度で十分です。ですので、肥料成分が効き始めるのに１ヶ月くらいかかる緩効性肥料を元肥として漉き込むなど工夫します。植え付け直後、それから成長後期に肥料が効いてしまうとつるぼけの原因になります。カリ成分の多めの肥料を選ぶと良いでしょう。（窒素分が多いとつるぼけになりやすいです）そして草取りも大切な作業です。植え付け１ヶ月後、土寄せを兼ねて最初の草取りを行うと良いでしょう。その後つるがぐんぐん伸びるので、この時期に草取りをしないとつると雑草で手がつけられなくなるなんて事も。もしこの時につるの伸び具合が悪いようなら少量の追肥をします。その後つるが地面を覆うように成長すると、葉がしっかりとたくさんのお日様を浴びて、結果的に大きないもが収穫ができるようになります。また、さらにその１ヶ月後に畝に土を寄せる事で雑草対策と畝に酸素を供給します。

葉を食害するハンモスヨトウ、エビガラスズメはさつまいもにつく代表的な芋虫です。これらは見つけ次第捕殺します。特にエビガラスズメは大きく一気に葉が丸坊主になるので、大量発生しないよう注意します。他には土の中で悪さをする害虫として、ネコブセンチュウやコガネムシの幼虫が挙げられます。連作を避け、わらや草をそのまま土に漉き込むとこれらの虫が発生しやすいので、注意します。また畝作りの時にコガネムシの幼虫を見かけたら捕殺して未然に被害を防ぎます。

さつまいもは多くの品種があります。いろいろあって迷ってしまいますが、もし初心者であればまずは育てやすい品種からスタートするのがオススメです。紅あずまや鳴門金時は比較的育てやすく、初心者にもオススメの品種です。ホクホクとした食味が魅力です。甘味の強いねっとりとした食味が好きな人は、その代表格安納いもやシルクスイートがオススメ。べにはるかも、安納いもに負けず劣らずその甘みとしっとりとした食味が魅力です。パープルスイートロードは紫いもの中では甘味の強い品種。ホクホク感とさっぱりとした甘みが魅力です。

さつまいもは成長と共につるをぐんぐん伸ばします。またつるはすぐに根を出して地面に根を張ろうとする習性があります。これを放っておくとあちこちに根をはる事で、栄養が分散して、肝心の収穫したいいもが小さくなってしまうので、つるがえし作業をします。土寄せのタイミングで地面に根を張り始めたつるを持ち上げて畝に乗せ、つるから出てくる不定根を断ち切ります。

さつまいもは植え付けから収穫まで１１０〜１５０日とかなりの期間が必要です。秋以降温度が下がると育たないので、遅くとも６月までには植え付けを終了しないと間に合いません。もし時期が間に合うようでしたら、伸びたつるをカットして挿してみてもいいかもしれません。ですが、栽培期間が足りないようでしたら、観葉植物として楽しむのも１つの方法です。

江戸時代、飢饉に備えて救荒作物として育てられたさつまいも。何度か訪れた飢饉をはじめ、第２次世界大戦中、そして直後の食糧難の時代に、米に変わってさつまいもが多く作られ食べられたのは有名な話です。

栽培期間は長いですが、手入れのコツさえつかめば、肥料もあまり要らずとても育てやすい作物、さつまいも。まずは栽培の比較的簡単な品種からスタートするのがオススメですが、栽培に慣れてきたら、スーパーではあまり見かけない珍しい品種を育てて味比べしても楽しいですね。