難易度★★

ジャーマンカモミールは、別名カミツレと呼ばれるハーブ。秋まきの1年草で花を咲かせた後は種をつけて、その後は枯れます。葉っぱ部分に香りはなく、花に香りがあるため、花部分のみを収穫、乾燥させてハーブティーなどの材料として使います。薬草のような香りの中に、ほんのり甘さのある香りがあるのが特徴です。
中心の黄色の部分は、咲き進むにつれて黄色く盛り上がってくるのが特徴です。草丈は３０〜５０センチほどに成長します。　ローマンカモミールは、全草に香りがあり、白い花に中央が黄色いのは、ジャーマンカモミールと同じですが、花は少し大きめです。
多年草なので、うまく育てると数年に渡って楽しめます。また花の中央の黄色の部分は、ジャーマンカモミールのように盛り上がってきません。花つきは、ジャーマンカモミールに比べて少ないです。
花が上がると高さが出ますが、基本的には株も横へ広がり草丈は１５〜２０センチほどです。香りは青リンゴのような甘い香りが特徴です。

ジャーマンカモミールは種から育てる方法と、春に出回る苗から育てる方法があります。種を蒔く場合、秋もしくは春に種をまき、栽培をスタートします。
秋に種まきをして春までに株を育てておく方が、よりしっかりとした株を育てる事が出来るのでおすすめです。
ただし、寒冷地にお住まいの方は春に種を播いて育てる方法をおすすめします。直に庭に種をまかずに、育苗箱やシードリングポットである程度大きく育てた苗をプランターや庭に植えた方が、確実に良い苗を育てる事ができます。
ローマンカモミールは種も販売されていますが、春に出回る苗を購入して育てる方が一般的です。
どちらのカモミールもお日様を好みますが、暑すぎたり蒸れたりするのを極度に嫌います。風通しよく育てる事が基本ですが、特に日本の夏の環境はカモミールにとって過酷なので、真夏の期間は少し半日陰になるくらいの環境がベストです。

苗を植え付ける前には、あらかじめ土を耕して、腐葉土と堆肥、緩効性肥料をすき込んでおきます。またカモミールは酸性土を嫌うので、合わせて苦土石灰もあらかじめすき込んで弱酸性にしておきます。鉢植えに植える場合は、培養土を用意するか、ハーブ専用の土を利用します。
蒸れるのを極端に嫌うので、株間は２０センチは開けて植え付けます。鉢植えの場合も、１５センチの株間をとり蒸れないように育てます。

過度の肥料は禁物です。苗を植え付ける際に、腐葉土や堆肥と一緒に緩効性肥料を少しすき込んであげると良いでしょう。それ以降は特に必要ありません。
アブラムシなどの害虫が発生しやすくなるので、特に窒素分過多にならないように気をつけます。鉢植えは少し肥料分が流れやすいので、様子をみながら葉の色が少しあせてきたりしたら、即効性の液肥を施すと良いでしょう。
ベランダなど雨水の当たらない環境で育てた場合、ハダニが発生する事があります。時々水やりの時にシャワー状の水で株全体が濡れるよう水やりをすると、ハダニ防止になります。地植えは、根付いたら特に水やりを心配する必要はありません。ですが鉢植えは、乾燥したらたっぷりの水やりを行います。

カモミールは他のハーブ同様、比較的病害虫には強いですが、風通しの悪い環境で育てた時に、白い粉が吹いたようになるうどん粉病にかかることがあります。これは被害が少ないうちにその葉っぱを取り除いたり、切り戻して風通しよい状況を作ってあげます。
またアブラムシが発生する事もあります。大抵葉が混み合って蒸れてくると虫もつきやすくなります。これも見つけ次第取り除きます。肥料のあげすぎも虫の発生もとになるので、あげすぎにならないよう注意します。

カモミールの代表的な２品種以外にも、カモミールの名前を持つ植物はあります。ダイヤーズカモミールは、黄色の花が可愛らしいカモミールです。
ジャーマンやローマンのような香りはなく、どちらかと言うと染料として利用されます。生と乾燥のどちらでも染料として利用でき、媒染剤の種類によって黄色やオリーブ色などの染物を楽しめます。
他にはノンフラワーカモミールと言う品種も出回っています。その名の通り、花があまり立ち上がってこないカモミールで、よりグラウンドカバーに適した品種です。ダイヤーズカモミールもノンフラワーズカモミールも多年草です。

一年草のジャーマンカモミールは花を収穫した後は、株全体が蒸れやすくなってきます。花を付けっぱなしにしておくと梅雨シーズンに突入してより病気が発生しやすくなるので一度切り戻します。
すると、再度新芽を伸ばしてきれいな株姿を維持できます。ローマンカモミールの場合も、年に数回切り戻しをしてあげる事で、より風通しよく育てる事が出来ます。特に梅雨のようにジメジメした環境が苦手な植物なので、梅雨に入る前に一度切り戻して雨の多い時期に備えます。
ローマンカモミールは、ヨーロッパではチューダー王朝時代以前からイングリッシュガーデンの伝統的なグランドカバーとして利用されてきました。踏み付けに大変強い性質があり、常に低く刈り込んで芝生のように利用する方法もあります。
特に芝生のように利用したい場合はそれに合った品種を植えると良いでしょう。（カモミールの品種を参照）踏むたびに甘い香りが楽しめるので、グランドカバーとして利用するならローマンカモミールはおすすめです。

カモミールティーを楽しみたい人は、ジャーマンカモミールがおすすめです。花が咲いて中央の黄色部分が盛り上がってきたら、花を収穫して、風通しの良い日陰でしっかり乾燥させましょう。
ローマンカモミールでも、もちろんハーブティーを楽しめますが、少し苦味があります。ですので、ジャーマンカモミールの方がおすすめです。

ジャーマンカモミールは花が終わるとたくさんの種を落とし、気づけば翌春あちこちからカモミールが生えてきたという事も。
環境に合うと、繁殖力はとても強い植物です。ハーブとしての利用もできますが、何より花が咲き乱れる姿は、とても野生味があって可愛いのが魅力です。

そして、カモミールは薬効にとても優れた性質があるので、色々な使い方を楽しめるハーブの１つです。ハーブティーをはじめ、お菓子や料理でも利用されています。
またこの味が苦手という方は、アルコールなどに浸して作るチンキや、濃いめに入れたハーブティーを入浴剤としても利用する方法があります。
基本的には安全性の高いハーブの一種ですが、子宮収縮作用があるという記述も一部あります。またキク科のアレルギーがある人にも注意が必要です。適切に使用するためにも、該当する方は、必ず専門家に確認するなどしましょう。