難易度★★

樹皮の割れ目から赤い樹液が流れる事から、オーストラリアなど海外ではガムツリーとも呼ばれています。あらかた大きく成長すると、樹皮を自然に剥がして、中からつるりとした木肌を出します。大きく育った樹木に樹皮がぶら下がる光景は、オーストラリアなど南半球ではよく見かける景色です。また幼木では丸かった葉が成長と共に、多くの品種が細長い葉へと変化します。日当たりを好み、乾燥にも大変強い植物ですが、その反面湿気がとても苦手です。成長はかなり早いので、植える場所選びは慎重に行う必要があります。日本の住宅環境下では、こまめに剪定をして、コンパクトに樹形を保つのをおすすめします。耐寒性は比較的ある方ですが、寒冷地での強い霜や雪で枯れてしまう品種もあります。種類によって耐寒性が違うので、寒い地域にお住まいの場合は、寒さに強い品種を選びます。

鉢植えで栽培する場合は、購入した鉢よりも2〜3周りほど大きな鉢に植えます。水はけの良い環境を好むので、培養土に鹿沼土や赤玉土、もしくはパーライトを1〜2割ほど混ぜて、排水の良い土環境を作ります。地植えの場合は、2〜3周り大きめの植え穴を掘って、土に腐葉土や堆肥を混ぜたものに植え付けます。植え付け後はたっぷりと水をやります。風で木がぐらつかないよう、支柱を立てて成長初期の活着がうまくいくようにサポートします。成長が早いので、鉢植え栽培の場合は1〜2年毎に植え替えをします。植え替えを怠ると、鉢の中で根がいっぱいになって根詰まりを起こしてしまいます。植え付け、植え替えは気候の穏やかな春もしくは秋がベストです。

ユーカリは適宜剪定をしてコンパクトな樹形に留めることがとても大事です。また格好良く育てるために、栽培初期から枝を剪定する事で脇芽を増やす摘心作業をするのがおすすめです。より枝葉が茂り、格好の良い樹形になります。枝葉を増やす摘心作業や基本的な剪定作業は、春先の3〜5月に行うのがベストです。梅雨前に行うのが良いでしょう。繁りすぎて風通しの悪くなった部分の枝を整理する、枝抜き剪定や、大きくなりすぎ丈を大幅に詰める強剪定も、春に行うのがベストですが、秋口でも可能です。蒸し暑い真夏と、極寒の真冬に大きく切り戻す強剪定はしないようにします。

比較的痩せ地でも成長しますが、成長期に緩やかに効くように4月頃に緩効性肥料を施します。新たに植えたり植え替えをする時は、その際に、緩効性肥料を混ぜ込みます。その後、鉢植えの場合は、肥料分が流れやすいので秋の成長期間に効くように液肥を適宜施すと良いでしょう。地植えは、春の緩効性肥料の後は様子を見て、必要であれば追肥をします。水やりは乾いたらたっぷりが基本です。地植えは一旦根付いたら、特に水やりは気にしなくても大丈夫です。

風通しが悪いジメジメした環境では、葉に粉が吹いたようになるうどんこ病にかかりやすくなるので、栽培場所は風通しの良い日当たりの良い場所で育てます。コガネムシの幼虫が根をかじって木を枯らしてしまう事もあります。成虫がやってくると葉っぱをかじられるので、そのような被害があったら、地面周りを少し掘って幼虫がいないか確認します。これらは、見つけ次第補殺します。また高温多湿が原因で葉にボツボツの褐色斑点が現れる黒斑病や、斑点症などが出やすくなります。おかしな葉を見かけたらすぐに取り除き、広がらないようにします。また発生初期であれば薬剤散布も効果的です。

背の高くなるユーカリを日本の住環境で育てる場合、その品種選びはとても大切です。鉢植えは特に、そして庭植えでも大きくなりすぎない品種を選び、こまめな剪定をしてコンパクトに樹形を保つのが長くユーカリと付き合うコツとなります。ユーカリ グニー は人気の品種で、幼木の時に小さな丸い銀葉がとても可愛らしい品種です。グニーも実は色々な品種があり、樹高も色々あり、大きなものは20m程に成長します。グニーの中でも"アズーラ”や”シルベラーナ”はその中でも矮性品種とされ、5〜10mくらいの樹高です。オーストラリアではイエローガムとも呼ばれる、ユーカリ リューコキシロン ロゼアもその樹高は8m程なので、日本の住環境に適した品種と言えます。赤い花がとても可愛らしいのも魅力です。ユーカリポポラスの若芽は大きめの丸い葉が可愛らしく、その形をハートに例える人もいます。実は20m程にも成長するので、樹高を剪定しながら育てるのを前提に選ぶと良いでしょう。その他、ユーカリ プルべンタ ”ベイビーブルー”は大きめの潅木として育てることも可能な矮性品種でその樹高は3〜4mです。ユーカリ アーチエリーは樹高12〜15m程と言われますが、毎年株元まで切り戻して新しい枝をブッシュ状に育てるのに適した品種。ユーカリ グラウスセンスは40〜50mと大きくなる品種ですが、アーチエリーと同じように毎年低く切り戻して管理できます。ユーカリは、購入する前に必ずどのくらい大きくなるのかを確認した上で、植える場所、種類を選ぶことをおすすめします。

観葉植物として室内で楽しみたい人もいるかもしれませんが、お日様大好きのユーカリは、屋外で育てるのを強くおすすめします。また乾燥を好む植物なので、植える環境はジメジメしたり水が溜まりやすい場所は必ず避けて、水はけの良い場所に植えます。水はけの悪い場所では、少し山のように土を盛って、水はけの良い環境を作ってあげます。根が少し浅く貼る性質があり、枝葉が茂ってくるとその重みで倒れやすくなります。台風に備えて、枝葉を透かし剪定（間引き剪定）するのは大変有効です。また大きくなりすぎて手に負えなくなる前に、こまめに剪定をしてコンパクトに育てておく事も、とても大事です。鉢植え栽培の場合、成長が比較的早く、また風に揺さぶられて転倒するのを防止する意味も含めて、大きな鉢で育てると良いでしょう。そうする事で根鉢部分に重みが出るので、倒れにくくなります。それからユーカリの裏技剪定テクニックとして、株元まで切り詰めるコピシングという方法があります。毎年春先に株元まで切り詰めて若枝を楽しむ方法で、柳などの樹木でもそのような手入れをすることがあります。大きくなりすぎて手に負えなくなる前に、栽培初期から手入れをして樹形をコントロールする事が、ユーカリを庭で楽しむコツです。

もちろん、乾燥が好きと言っても、水が足りなければ枯れたり、葉がパリパリになって落ちてしまう事もあります。土が乾いたらたっぷり給水してあげます。鉢植え栽培をした場合、根っこが鉢の中でグルグル巻いてしまって根詰まりを起こすと、より一層乾燥しやすくなり水切れを起こしやすくなります。鉢植え栽培の場合は、毎年植え替えて、根詰まりや極度の乾燥をしないよう気をつけます。

ユーカリの原産地オーストラリアや同じく南半球で隣国のニュージーランドでは、多くのユーカリの木が生えています。水不足を感じると枝を落とす習性や、強風っで大きな枝を落下させたりする事もよくあります。それがとても危険なので、現地の人の間ではユーカリの木の下には車を止めないようになんていう注意があったりもします。

基本的に大きくなる木のイメージですが、品種によってはそこまで大きくならない品種を選んだり、剪定をする事で小さくコンパクトに維持すると限られた場所でも、十分に楽しめる樹木の１つです。切った枝は、生花の材料からドライフラワーまで、リースやスワッグなどの材料としても重宝し、いろいろな楽しみができるのも、ユーカリ栽培の楽しみです。