お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

長雨続きの7月が終わり、梅雨が明けたら、連日猛暑の8月です。

環境の変化に追いつけず、人間も植物も体調を崩してしまいます。

さて、しばらく慌ただしくしておりまして、このコーナーのブログの更新も滞っておりました。

また再開したいと思います。

今回は、これまでとは少し趣向を変えて、僕が庭を作る上での「夢」を語ってみたいと思います。

皆さんは、「ジャカランダ」という植物をご存知でしょうか?

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ジャカランダは、世界三大花木のひとつとされているノウゼンカズラ科の高木で、中南米が原産。

世界三大花木とは、鳳凰木(ほうおうぼく)、火炎木(かえんぼく)、そして紫雲木(しうんぼく)の3つで、

ジャカランダは、この「紫雲木」という和名を持つ木で、本来は、

日本の桜・ソメイヨシノと同じく葉を落とした状態で花だけを咲かせます。

南米・アルゼンチンや、ヨーロッパ・ポルトガルなどでは、初夏になると房になった釣り鐘状の花が

無数に咲き、ジャカランダが植えられた街が紫色に染まる風景写真をインスタグラムなどで見かけますが、

その風景は圧巻のひとことです。

死ぬまでには是非一度は実物を見てみたい、そんな憧れの風景なのです。

僕の自宅ガーデンの代名詞になっているのは赤いつるバラですが、元来、僕が好きな花は「青い花」です。

フジや紫陽花、アガパンサス、クレマチス、宿根草のアジュガやギボウシなど、

どれも青い花を咲かせる植物です。

僕の中で、その最高峰に位置付けているのが「ジャカランダ」なのです。

最近は、ホームセンターなどで、ジャカランダの幼木が販売されていますが、

観葉植物のような扱いで、花を咲かせるには、ある程度大きく育てないと

難しいと言われています。

ただ、ジャカランダは温暖な気候を好むため、寒い冬のある日本で

花を咲かせるのは難しく、日本でジャカランダの花を見ることができるのは、

温暖な気候の宮崎や熱海などの地域に限られています。


それでも何とかジャカランダの花を自宅ガーデンで咲かせることはできないか、

いろいろネットを探し回っている時、一般のご家庭の庭で、

ひと際美しくジャカランダの青い花を咲かせておられる方を見つけたのです。

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こちらが、そのお宅のジャカランダの開花風景です。

その後、ブログの友達になっていただいた「みーさん」から

このたび了解をいただいて、ジャカランダの写真をお借りしました。

  ※ みーさんのブログ「small Garden」は、こちら → 

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白い建物を背景に、薄紫色のジャカランダの花がとても美しく咲き誇っています。

ご住所をお聞きすると、僕と同じ関西で、僕も以前住んだことがある街でした。

気候条件としては、今僕が住んでいる奈良とそう大きくは変わらないと思い、

これなら、我が家でもジャカランダの花を咲かせることができるかも、と勇気をもらいました。

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下から見上げた様子。

美しい樹形の枝先のほとんどに花が咲いています。

これほど美しく咲かせておられる個人邸のジャカランダの写真は

他に見つけることができませんでした。

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みーさん宅のガーデンは、ジャカランダだけでなく、その足元には

多彩な植物が配置され、本当に素晴らしい風景を作っておられます。

是非、上記にご紹介したみーさんのブログも訪ねていただければと思います。


我が家でジャカランダを育てるために具体的に動き始めました。

まず始めたのが、関西エリアで見られるジャカランダを見に行くことでした。

(実際に見に行ったのは、昨年2019年のことです。)

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こちらは、大阪の森ノ宮にある、旧公団団地内に植えられたジャカランダ。

ネットで見た情報では、以前は花を咲かせていたようですが、

上記の写真のように、枝先をバッサリ切られ、残念ながら花は見ることが

できませんでした。

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次に向かったのが、大阪市港区にある八幡屋公園。

ここにジャカランダが植えられていて、ちょうど花が咲いているとの情報を得て、見に行ったのが6月16日。

期待通り、咲いていました!

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ジャカランダの開花を聞きつけて、この日は多くの方が見に来られていました。

実は、この八幡屋公園、大阪市中央体育館(現・丸善インテックアリーナ大阪)の建物の上、

人工地盤に作られています。

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海外のインスタグラムなどのジャカランダの画像では、日本の桜・ソメイヨシノのように、

葉がなくて花だけで咲き、木全体が薄紫色に染まっているのですが、

日本で咲くジャカランダは、緑の葉と混じって咲くようです。

枝先にくっついている茶色い円盤状のものの中に種子が入っています。

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こちらが、ジャカランダの花のアップ。

一つ一つの花はベル型で、それが房になってピラミッド型に花を咲かせます。

葉は、観葉植物のエバーフレッシュや、ムクノキなどのマメ科の植物の葉に似ています。

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青い空に、紫色の花、鮮やかな新緑の緑の葉がとても涼し気です。

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ここ八幡屋公園も、もちろん完全屋外ですし、周りに風を遮るものもない環境で、

冬場は相当寒いのではないかなと思う環境でも、

ちゃんと適応して花を咲かせていることが確認できました。

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この八幡屋公園では、こんな幼木を地植えしているのを見かけました。

幹もまだ直径1センチほどですが、二脚鳥居型の支柱が施され、

根付いているのを確認でき、少し自信を深めました。

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続いて向かったのが、大阪市天王寺区にある一心寺というお寺です。

ここにジャカランダの大木が植えられているというのは、昔から知っていたのですが、

実際に見に行ったことはありませんでした。

現地に着いて見ると、予想を上回る大きさで咲くジャカランダの風景に出会いました。

建物の3階に相当する高さなので、10m近い背丈はあるでしょうか?

枝も大きく横に張り出して、お寺の境内から塀の外の道路まではみ出すように伸びています。

花の量も、先ほどの八幡屋公園のジャカランダとは比べ物にならないくらいのボリュームです。

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一心寺のジャカランダの花は、ずいぶん濃い紫色のように感じました。

しなる枝先に、房状に花をつける風情もなかなか良いです。

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こちらは、お寺の境内の中から見たジャカランダです。

映っている人との関係で、ジャカランダの大きさが分かります。

添え木がされて、なるべく真っすぐ上に伸びるようにとの配慮が伺えます。

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こちらは、スマートフォンで撮影した画像で少し鮮明さに欠けますが、

ジャカランダの紫色の花の手前に、同じのノウゼンカズラ科のノウゼンカズラのオレンジ色の花が咲いていて、

花色の対比がとても夏らしい風景を作っています。

その手前のパーゴラは、フジが誘引されているようです。

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一心寺のジャカランダは、墓所のそばに植えられているため、写真を撮るのも少し気を遣います。

日本の瓦や仏塔などとも、妙に調和しているように見えました。

一心寺の高口恭行長老は、実は建築家でもあり、一心寺の独創的な建築物の多くを設計されています。

その高口長老の閑話として、「一心寺とジャカランダ」について、

一心寺のホームページに紹介されています。

それによると、かつて法要で南米のブラジル・サンパウロを訪れた時、

紫色の「花霞」を思わせるような街路樹が群れをなしていて

「極楽浄土」を感じてしまったと述べられています。

「極楽浄土」を想起させるジャカランダを一心寺の境内に植えたのが1989年で、

それから30年あまり経っているとのことです。

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一心寺でも、八幡屋公園と同様に、ジャカランダの幼木を地植えされているのを

見かけました。

これくらいの幼木でも、越冬して地に根付くのだと思います。


大阪市内のジャカランダの旅を終えて、次に向かったのが、

北摂にある大型の園芸ショップ、ザ・ファームユニバーサル。

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ここで、ジャカランダの大株を見つけてしまったのです。

写真、中央に見えている、かなり枝の傾いた株でした。

金額も決して安くはありませんでしたが、ちょっと高めの観葉植物を買ったと

思えるくらいの金額だったので、思い切って購入することにしました。

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ここには、もっと大きく育った株姿も美しいジャカランダもありましたが、

こちらはそれなりの!金額でしたので、失敗して枯らしてしまったらという

恐怖から、手が出せませんでした。

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こちらが、自宅に持ち帰ったジャカランダです。

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かなり斜めに伸びているのと、鉢が少し小さかったので、この後、鉢増し、枝も立てるように植え替えました。

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そして、いよいよ冬を迎えることになります。

気温が下がり始めた12月には、幹や枝に不織布を巻いて、

半屋外のサンルームに取り込みました。

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我が家のサンルームは、「サンルーム」とは名ばかりで、

扉のない半屋外のスペース(実際には、園芸用品や自転車・バイク置き場)なので

開口部には不織布と夏場の日よけ用のタープを二重掛けにし、

ジャカランダにも不織布を巻き、根鉢にも発砲スチロールなどを巻き付け、

防寒対策を行いました。

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ネットで調べた情報では、幹の部分より、根鉢が寒さにやられないように

根鉢を寒さから守った方が良い、という話もあり、

プラ鉢に発砲スチロールや保冷シートなどを巻き付けていました。

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そして、今年の3月、春になり気温が上がってきたところで、

サンルームから出し、屋外に移すことにしました。

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不織布を取るとこんな感じでした。

大部分の葉は落葉し、残った葉も黄変していました。

ただ、新芽も見えていたので、何とか冬を越すことができました。

今年地植えをしようかと思っていましたが、みーさんからのアドバイスもあり、

もう一年、今度は、冬にサンルームから出し、実際に植える予定の場所

(前庭の駐車場付近)に置いて越冬させてみるつもりです。

次第に環境に慣れ、二度目の冬を越せたら、地植えしてみようと思っています。

まだまだジャカランダ初心者で、分からないことだらけですし、

ジャカランダを育てておられる先輩方からしたら、お恥ずかしい限りですが、

試行錯誤をしながら、夢の続きを歩んでいけたらと思っています。

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そして、いつの日か、みーさん宅のような美しいジャカランダの花が咲く

風景を我が家でも実現できたらと、夢は膨らみます。


ここらかは少し余談になりますが、以前たまたま通りすがった美しい風景の話をご紹介します。

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こちらは、僕が住む奈良のとある場所。

初夏に淡い紫色の花が咲く風景を見つけました。

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石垣が積まれたお洒落なバス停があって、その背景の2本の大木はジャカランダだと思いました。

樹形もよく似ています。

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実は、これは「セイヨウニンジンボク」の大木でした。

建物の2階以上の高さまで伸びているので、優に樹高7mはあるでしょうか?

ジャカランダが咲く同じ初夏に、同じ紫色の花を咲かせます。

最近は、ホームセンターなどでセイヨウニンジンボクの幼木が販売されているのをよく見かけます。

セイヨウニンジンボクの方が、ジャカランダより少し耐寒性も高いのかもしれませんが、

セイヨウニンジンボクが、ここまで大きく育つとは思いませんでした。

それにしても、青い花の咲く木がこれほど美しいとは。

こんな風景が身近にあるといいですね。

まさに夢のような風景です。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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