お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

20世紀戦後のイギリス。そのライフスタイルをモダンに洗練させ

ひとつの時代をその方向性を作った、サー・テレンス。

テレンス・コンラン卿が先日、88歳でその天寿を全うされたニュース。

イギリスに近い、或いはイギリス在住の友人たちから速報状態で届きました。

何かまたひとつの時代の変化を感じますが、変わらないもの。

これといえるピタリの写真がなくて、まずは写真なしで。

「優れたデザインは人の暮らしの質を向上させる」サー・テレンスの信念です。

サー・テレンスからは、モダン・ブリティシュの建築、ガーデン、インテリアから食生活にまで、幅広いライフスタイル、多大な影響を流行り廃りではないレベルでたくさんのことを学ばせていただいた。特に、私がイギリスに通っていた1980年代、そして、住んでいた1990年代には、コンラン・デザインの存在が私自身のライフスタイルの、かなりの部分に存在していたと思います。それもあまり気づかぬうちに。日本語訳の本もでていたので随分参考にさせていただいた。

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この写真のCONRAN プロデュースのルーフ・レストラン、やはり2007年の夏に行った。名前を忘れてしまいましたがガーデン・デザインはアラベラ・ルノックス。花の庭の見事なガーデン・デザイナーなのに、グリーン一色で意外でした。

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「わたしたちがデザインし、あるいは編集、集めセレクトした、或いは経営した店のすべて。インテリア、雑貨生活道具に関するすべてのショップ、ホテルやカフェやバーやレストラン、食料品店、それらすべてを結びつけるのは、デザインであり、すべてをあわせると、私が、ライフスタイルと呼ぶものになる」bbcの記事より。写真はケンジントンビベンダムビルのなかにあるCONRAN SHOP の花屋さん、

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というサー・テレンスの言葉そのままで、1990年代にロンドンに住んでいた私は本当に強く大きく影響を受けていました。住んでいた頃、毎週は大げさですが、月に2〜3度は、コンラン・ショップに通っていたといえる。何度このピロティを潜ったことか。ここのカフェで友人とダラダラ過ごした午後も思い出される。心地いいというだけでなく文化の香りに身を浸す嬉しさ。

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もともと、20世紀初頭のオランダやドイツに始まったモダンデザインの潮流、戦争によって、たとえばバウハウスの教授や建築家、デザイナーはアメリカなどに亡命したことで、が学生時代の私はそれを見学にアメリカへ。1978年。大学4年の夏休み。最初はカリフォルニアでホームステイ。その後ひとりでニューヨーク。アルバイトでお金を貯めていきましたが、行ってみると、実はちょっとがっかり。すべてのオリジナルのルーツがヨーロッパにあることを知ったのでした。モダニズムにしてもヨーロッパから来たものだったわけですね。

社会人になって初めて1982年にヨーロッパへ。3ヶ月に渡たるヨーロッパの美術デザイン行脚でした。

そのとき、憧れていたヨーロッパのモダンデザインは少しマイナーな存在であったけれども。忘れもしない1970〜80年代のイタリア・ポストモダンのブームは、私たち、デザイナーにとっては格好の教材だったのですが、流行した後、あっけなく終わってしまった。もう家にも何も残ってない。

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かたや、サー・テレンス率いるイギリスのデザイン文化はその間にもジワジワと浸透して、いつのまにか、生活スタイルのレギュレーションのようになっていた。....と、思っています。なので今もいろいろコンラン・ショップのもの。家に残っている。食器、トレー。額縁。ミラーのフレーム。とかしかも、それほ高級ではないもので。

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なので、2006年に東京のミッドタウンにCONRANプロデュースのガーデンのプランティングデザインの話が来たときは本当に嬉しかったです。庭の完成は2007年。

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当時も今のような(ナチュラリスティックという)名前はなかったですが、自然主義的な植栽を求めらており、今みたいに翻訳ツールがなかったので、英語でも会議もメールのやりとりも、イマイチ英語苦手の私には、ハードルでしたが、とても勉強になったプロジェクトでした。

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食事伺うのも、とても嬉しいことでした。東京にこんなお店ができたなんて!

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「もっともエレガントな植栽を」とのサー・テレンスからの要望には。今もまだ悩んでますが。

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あの時、サー・テレンスから、唯一のクレームが来たのは、高麗芝の冬の景色でした。

「芝が枯れているじゃないか!」と。西洋芝は冬こそ青々なので、お叱りを受けたのですが、メンテナンスのことも含め高麗芝を選んだのですが

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「日本では、冬の芝のゴールドカラーをエンジョイします」と反論?言い訳?して、なんとか乗りきった記憶が...。(汗)あれから13年経ちました。

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(写真は2007年のCONRAN プロデュースのレストラン、ボタニカの庭。私が植栽したばかりの頃)今は存在しない雰囲気かと。

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上記の写真は、サー・テレンスが2005年のチェルシーに出展された際、

インペリアルウォーミュージアムがスポンサーの第二次世界大戦の終戦60周年記念の庭にて、プレスデーでは、60羽の鳩を放すというパフォーマンスをされたそうで。この時73歳。

イギリス在住の白井達也さんが在籍していた造園会社が施工を担当したことで、白井氏が撮影した写真をお借りしました。イギリス・ガーデニング・リポートでは、白井法子さんのブログにこちらの写真のオリジナルあり。さらに知見が深まります。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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