専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~
Knepp Castle Estate『Rewilded Garden』ネップ城 リワイルディング・ガーデン 2
20世紀、戦後の集約化によって農地含め周囲の環境の生態系が貧弱化していったのは、イギリスだけではないはずですが..。
ことさらそれを修復していこうとするイギリスの姿勢に注目をしています。
普通にイギリスの田舎を旅していると、ひたすら美しい自然が目の前に広がるし「再野生化運動」なんて必要なのか?
観光客は思いますね。
(コッツウォルドの田舎道、ここは、時々対向車線おかまいなしに時速90キロ超えでポルシェなどが走ってくるので結構怖い!)
要するに化学肥料や農薬などの使用は効率で考えたら、20世紀後半の園芸において
多分...世界中で当たり前だった時代が20世紀だったのだと思います。
ましてや農業は...もっと、複雑。趣味のレベルと全く違います。
しかし、90年代は徐々に有機農業の作物が増えていった印象。
私がロンドンに住んだ時代。しかし、それはちょっと高価な印象もありました。
デイルズフォードのようなハイエンドなショップだけでなく、近所のスーパーでもオーガニック野菜売り場が増えていたからです。
21世紀の今、リワイルディング思想が確実に広がりつつある事が、ここ数年のガーデンツアーでわかってきました。
それが、まだまだ部分的なのか。かなり広がっているのか。そこはわかりませんが
どこのガーデンでも模索が始まっているのは確かな事だと思います。
Knepp Castle Estate『Rewilded Garden』ネップ城 リワイルディング・ガーデン
再野生化運動
頭の隅にこの言葉をおいて、ナチュラリスティックガーデンや周囲の自然環境をみていくと、よいと思います。
ナチュラリスティックガーデンはもちろん
鑑賞の楽しさは受け止める側の意識次第なところもあり、デザイナーの美意識によっていろいろ。ですが
「なんて美しい!」と感動したのも、
やはりトム・スチュワート・スミスさんのデザインする景色
ネップのウォールド・ガーデン。宿根草の庭でした。
ネップ城、リワイルディング・ガーデンはまさに、最先端だと思いました。
そして、貴族のイザベラ・トゥリー著「英国貴族、領地を野生に戻す」
野生動物の復活と自然の大遷移。
ともかく、今までの庭園にむけていた私の視野をぐぐぐい!っと広げられた想い、
その背景は
- 第二次世界大戦中の食料不足への強い危機感
- 国家主導の食料増産政策
- 農業の工業化・機械化の急速な進展
ネップキャッスルにも、大戦中の「勝利のために耕そう」キャンペーンの写真が残る
具体的な変化
- 生垣(ヘッジロウ)の大規模な撤去
- 湿地・草地の排水と耕地化
- 化学肥料・農薬の大量使用
- 単一作物による大規模農業
これにより収量は増えたけれど、鳥類・昆虫・野生植物は急激に減少。
つまり、生物多様性の面で環境(〜土壌環境含む)が貧しくなていったという表現であっているのか
断言や判断は難しいのですが、イギリスは冷涼だったことも一因だと思いますが
私のロンドン時代の庭には、害虫が極端に少ない印象でした。
藪蚊ゼロ。蝶々もめったに見なかった。寒いから少ないのかと思っていましたが、スコットランドのほうはもっとワイルドな環境で蚊がいた!
でも、今は明らかな地球温暖化現象。
去年はロンドンで藪蚊に食われて痒い思いをしました。
やはり野生化は進んでいるのかもしれません。
クライメートチェンジへの対策。なにかしらしていかなくてはならない。そこで、
生物の多様性だけでなく...どうしたら地球環境を守れるのか。
その試みのイギリスにおける最先端がここネップ。だといえるのではないかとおもいます。
まとまらないけれどもまとめ
21世紀〜リワイルディング思想の広がり
21世紀に入ると、環境意識の変化とともにリワイルディング(rewilding)という考え方が、注目され始めました。
リワイルディングの基本的発想
- 人間が自然を「管理しすぎない」植物へのストレス、植物の遷移、植物への野生動物によるDISTURBANCE:妨害。撹乱、かくらんは、生態系の中で重要な役割を果たす
- 生態系の自己回復力を尊重する
- 農地=完全な人工空間という前提を見直す
広がった理由
- 生物多様性の危機が明確になった
- 気候変動への対応として自然の炭素吸収力が再評価された
- ひとびとの自然回帰への希求もましている
それがロンドンの街にも草ボウボウの宿根草エリアが増えた理由だったとおもいます。
ちなみに写真↑はネップのウォールドガーデン、やはりワイルドだぜぇぃ。
と、ただのナチュラリスティックのブームからなどではないと思、っていましたが
ああ、この話題はまとめるのが難しくなかなか終われません。(続く)
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