前回のレッスン52では、海外にいるのにまるで日本にいるかのように感じられる場所での不思議な感覚について、イランのカスピ海沿岸部を例にお伝えしました。今回は、和のテイストと異国情緒がコラボしたような、そんな不思議な組み合わせが感じられる場所として春のワシントンＤＣをご紹介します。 前回のレッスン52では、海外にいるのにまるで日本にいるかのように感じられる場所での不思議な感覚について、イランのカスピ海沿岸部を例にお伝えしました。今回は、和のテイストと異国情緒がコラボしたような、そんな不思議な組み合わせが感じられる場所として春のワシントンＤＣをご紹介します。

アメリカの首都ワシントンDCは桜が咲き誇る街として、その美しさが全米に知られています。４月上旬にはアメリカ各地から大勢の観光客が訪れ、通りは大型ツアーバスで大渋滞になってしまうほどです。桜の美しさは洋の東西を問わず多くの人を魅了するようです。

このワシントンDCを彩る桜の木々、実はもともとは日本から贈られたものなのです。 明治末期の1912年に当時の東京市長、尾崎行雄氏からタフト大統領夫人へと日米友好の印として贈られて植樹された約3,000本の苗木が、現在にいたってアメリカ有数の観光名所となっているのです。

ワシントンDCは、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市とは違って、ほとんど首都機能だけのこぢんまりとした街です。中心部にはホワイトハウスや国会議事堂、FBI本部といった物々しい建築物が密集しているのですが、15分も歩けば住宅街のエリアへと足を伸ばすことができます。そして、住宅街の通りにも桜が所狭しと植えられていて、その光景は日本ではなかなかお目にかかれない独特の風情を醸し出しているのです。【写真1】 アメリカの首都ワシントンDCは桜が咲き誇る街として、その美しさが全米に知られています。４月上旬にはアメリカ各地から大勢の観光客が訪れ、通りは大型ツアーバスで大渋滞になってしまうほどです。桜の美しさは洋の東西を問わず多くの人を魅了するようです。

このワシントンDCを彩る桜の木々、実はもともとは日本から贈られたものなのです。 明治末期の1912年に当時の東京市長、尾崎行雄氏からタフト大統領夫人へと日米友好の印として贈られて植樹された約3,000本の苗木が、現在にいたってアメリカ有数の観光名所となっているのです。

ワシントンDCは、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市とは違って、ほとんど首都機能だけのこぢんまりとした街です。中心部にはホワイトハウスや国会議事堂、FBI本部といった物々しい建築物が密集しているのですが、15分も歩けば住宅街のエリアへと足を伸ばすことができます。そして、住宅街の通りにも桜が所狭しと植えられていて、その光景は日本ではなかなかお目にかかれない独特の風情を醸し出しているのです。【写真1】

赤レンガでできた家々やアパートが並ぶ東海岸の歴史を感じさせる通りの雰囲気。そこに満開の桜がさらにしっとりとした情緒を与えてくれます。日本で見る桜のような華やかな存在感とは違うものの、レンガ造りの家並みと桜の組み合わせが奏でる落ち着いた雰囲気は不思議なほど違和感がないのです。
さらにレンガ造りの住宅と同様に桜とマッチしているのが、大きな交差点に立っている銅像です。ワシントンDCは非常に銅像の多い街で、独立戦争時代の政治家や騎馬姿の軍人の銅像を住宅街でも頻繁に見かけます。【写真2】

桜の送り主である東京では、桜と銅像といえば上野公園と西郷隆盛の銅像が有名ですよね。そう考えてみると、桜と銅像というのはどちらの国でも定番の組み合わせなのかもしれないですね。

ずいぶん前のことにはなりますが、私はワシントンDCで１年間暮らしていたことがあります。今振り返ってみると、暮らし始めたのがちょうど桜の時期でした。海外での新しい生活環境や言葉にまだ慣れない時、かつて海を渡ってやってきた日本の桜が自分の居場所を見つけたかのように街に見事に溶け込んでいるその姿に、これからの自分を無意識に重ね合わせ、元気をもらっていたような気がします。 赤レンガでできた家々やアパートが並ぶ東海岸の歴史を感じさせる通りの雰囲気。そこに満開の桜がさらにしっとりとした情緒を与えてくれます。日本で見る桜のような華やかな存在感とは違うものの、レンガ造りの家並みと桜の組み合わせが奏でる落ち着いた雰囲気は不思議なほど違和感がないのです。
さらにレンガ造りの住宅と同様に桜とマッチしているのが、大きな交差点に立っている銅像です。ワシントンDCは非常に銅像の多い街で、独立戦争時代の政治家や騎馬姿の軍人の銅像を住宅街でも頻繁に見かけます。【写真2】

桜の送り主である東京では、桜と銅像といえば上野公園と西郷隆盛の銅像が有名ですよね。そう考えてみると、桜と銅像というのはどちらの国でも定番の組み合わせなのかもしれないですね。

ずいぶん前のことにはなりますが、私はワシントンDCで１年間暮らしていたことがあります。今振り返ってみると、暮らし始めたのがちょうど桜の時期でした。海外での新しい生活環境や言葉にまだ慣れない時、かつて海を渡ってやってきた日本の桜が自分の居場所を見つけたかのように街に見事に溶け込んでいるその姿に、これからの自分を無意識に重ね合わせ、元気をもらっていたような気がします。

海外旅行先で写真を撮る時、よく知られた観光地や、明らかに日本ではない風景が被写体になっていれば、異国情緒を表現することはそれほど難しくはないでしょう。ところが、日本でも見かけるものや、はっきりとした特徴がないものが被写体になっていると、現地の雰囲気を込めた１枚にするのは案外難しいものです。

そんな時、もし被写体に入れられるならば「文字」を意識してみるとよいでしょう。仮に読めない文字であったとしても、まさにそれが異国情緒を強く含む被写体にもなります。 特に街中では看板や標識などなんらかの文字を目にする機会は多いものです。【写真３】の写真では、桜や背景のビルだけでは海外で撮影した桜の雰囲気を出すことは難しかったのですが、ちょうど通りの名前が書かれた標識があったので桜とセットで撮影することにしました。

文字は具体的に情報を伝えるものだけに写真の雰囲気を大きく左右しますので、文字を含めるかカットするかで写真を見る人が受ける印象にも強く影響します。色や明るさを気にするのと同じように、被写体に文字が入ってくる時にはたとえ小さくしか写らないとしても大事な要素としてチェックしてみてください。 海外旅行先で写真を撮る時、よく知られた観光地や、明らかに日本ではない風景が被写体になっていれば、異国情緒を表現することはそれほど難しくはないでしょう。ところが、日本でも見かけるものや、はっきりとした特徴がないものが被写体になっていると、現地の雰囲気を込めた１枚にするのは案外難しいものです。

そんな時、もし被写体に入れられるならば「文字」を意識してみるとよいでしょう。仮に読めない文字であったとしても、まさにそれが異国情緒を強く含む被写体にもなります。 特に街中では看板や標識などなんらかの文字を目にする機会は多いものです。【写真３】の写真では、桜や背景のビルだけでは海外で撮影した桜の雰囲気を出すことは難しかったのですが、ちょうど通りの名前が書かれた標識があったので桜とセットで撮影することにしました。

文字は具体的に情報を伝えるものだけに写真の雰囲気を大きく左右しますので、文字を含めるかカットするかで写真を見る人が受ける印象にも強く影響します。色や明るさを気にするのと同じように、被写体に文字が入ってくる時にはたとえ小さくしか写らないとしても大事な要素としてチェックしてみてください。