涼を呼ぶ魅せ技と、
2つの夏スタイル
夏は世に知らず暑き… と言ったのは、千年前京都を訪れた清少納言。
状況は今も変わらず、猛暑の厳しさは全国でもトップレベルだそうです。
「それはそれは暑くて、日中の外出が憚られるくらい。
夏の装いがしたくて近所の呉服屋さんで誂えた浴衣も、袖を通す機会があまりない」と残念な様子。
「日中は肌を出すと本当に暑いんです。なのでシンプルな服に薄い羽織物やストールを巻くことが多いです。
特に麻製のストールは涼しさが違うのでこの時季の必需品!
色合いや模様、織り方などいろいろなバリエーションを揃えています。」
図らずも、この日の私服は白いストールが主役。顔周りに光を集めるようにくるくると巻かれた一枚から、お洒落好きが伝わってきます。
今号のDAMA collectionから撮影用に選んだ、夏のスタイルは2つ。
まずセットアップについて感想を伺うと、
「見た目はきちんとしていますが、実際の着心地は柔らかくてリラクシング。
最近ノースリーブをあまり着ないのですが、これは肩の辺りが出過ぎないのでドキドキしない…(笑)。
ボディに沿い過ぎず、身体の線を美しく見せてくれて、良く考えられた服だと思いました。」
またブラウスに関しては、
「白いブラウスは自分の中で特別な存在。身に纏うと気分がシャキッと上向きます。バテンレースの優雅さもさることながら、襟立ちが固過ぎずにキリッとしていて、絶妙な仕上がり。手仕事の温もりが好きなので、袖口のレースにもくすぐられます。ミドルエイジ向けと聞いていましたが、若い世代にも似合いそう。年齢の枠を感じさせないデザインですね。」
楽しさに目を向けて
エンジョイ!したい
程なく節目の年に差し掛かる、本上さん。
女性が揺らぎがちな時期を、どんな思いで過ごしているのでしょう? 少しシリアスに問いかけると、
「そうですね…」と一息置いて、こう答えてくれました。
「最近ようやく家の事から手が離れ始めて、友達と気兼ねなく食事したり旅行したり、自分自身の楽しみを持てるようになりました。
それが新鮮で、とっても楽しいんですね。
これからもっとそういう時間が増えると思うと、この先にはもう期待感しかありません(笑)。」
「人生って今、長いですよね。ご近所にも80代90代の元気な方がたくさん居て、
お散歩して体操してモーニングを食べてきたのよ…という人に、朝7時半くらいに会う(笑)。
周りが人生を謳歌しているから、自分もエンジョイしなきゃ! と思わされます。」
また同時に考えるのは、今まで周りにお世話になってきた分、今度は自分が社会や若い人達に還元したいということ。
「感謝の気持ちを何かの形でお返しできたら。そのためにもポジティブでいないと。」
繕うことのない口調に、優しい強さがこもっていました。