新潟県長岡市にある長岡造形大学は「デザインの大学」として全国から学生が集まります。
デザインを学び、実践し、たくさんの豊かな経験を積んでいます。その一方で、学生のデザインした商品が実際にお客様の手元へ届く機会は多くはありません。企画立案から販売までの一連の流れを最後まで体験できる機会が無いということは、「デザイナー」という職業がものづくりの中でどのように役割を果たしているのか、実感を得にくいということです。

そこで現実の仕事と近い環境で行い、自分の作りたいものではなくお客様のニーズに寄り添った新商品開発を体験するプロジェクトをスタートさせます。現役の学生が新商品の企画・デザインを行い、採用された案は燕三条エリアの地元企業の手により製品化、ディノスオンラインショップでの販売を目指します。

50年以上続く通販ブランドとして株式会社DINOS CORPORATIONが培ってきた実績と販路を活かし、学生のデザインしたプロダクトをお客様の元へと繋げる機会を創出します。

株式会社IKASAS DESIGNはプロのデザイナー視点からデザイン・設計・製造において学生へのアドバイスを行い、最終的に採用された案の発売に向けた商品化をサポートします。また、プロジェクト全体のディレクションを担当しています。

一過性で終わってしまうものではなく、つくる人も、売る人も、お客様も、関わる人々の暮らしを豊かにしてくれる製品づくりを目指すプロジェクトです。

ものづくりは、お客様のニーズを発見・解決するアイデアを提案する「デザイン」、それを具現化する技術をもつ「製造」、完成した製品をお客様の暮らしに結びつくよう提案する「販売」、完成した商品が「お客様」の手元に届き、昨日より便利でより良い生活を叶えるものだと考えます。
そしてお客様の声からまた新たなものづくりが始まります。
このサイクルが循環してゆくことで、変化するニーズに合わせたものづくりが次世代へと繋がっていきます。

これからも「昨日より便利でより良い生活」を更新してゆくために、ものづくりにおいて、それぞれの役割を次の世代へと繋げてゆくことが大切です。

「ものづくりのまち燕三条」がある新潟県。燕三条のとなり長岡にはデザインの大学 長岡造形大学があります。

長岡造形大学の学生のみなさんが実際の生活者に受け入れられる商品企画を体験することで、将来のキャリア形成につながってゆき、新潟でのものづくりが次の世代へときちんと巡る。

そして持続的にいいものづくりができる環境が整ってゆき、「デザインのまち長岡」として発展してゆくことを目指す。

そんな未来を見据えたサステナブルなプロジェクトです。

学生のクリエイティビティと、社会に出てから企業に求められることのギャップを縮め、実践ですぐに活躍できるプロダクトデザイナー人材の育成を目指した本プロジェクト。
学生は参画企業の指導のもと、価格やターゲット、素材や構造、品質など、様々な制約が重なる商業ベースでのものづくりを体験しました。

新潟県三条燕エリアのメーカー3社をめぐる工場見学ツアーを行い、新潟県内の工場の技術、新潟県産材などについて理解を深めました。
本プロジェクトはテーマの一つとして“地域とのつながり”を掲げています。学生のデザイン企画には新潟県内で生産・産出される素材の採用や地元メーカーでの生産が可能であることが求められました。まずはものづくりの現場を知ることをスタート地点として、本プロジェクトのキックオフが開催されました。

参画企業によるレクチャーが行われました。
株式会社DINOS CORPORATION 家具・収納部 大谷のレクチャーでは、通販市場の規模や現状、ユーザーのニーズ、企画立案のための調査方法など、ものづくりの軸となる部分をグループワークを交えながら学ぶ場となりました。

株式会社IKASAS DESIGNによるレクチャーでは、現役で活躍するデザイナー2名がプロダクトデザインの現場を取り巻く環境から、実際に製品化に進んだときに必要となる工場との交渉に至るまで、自身の経験を元に様々なトークが展開されました。販売、デザイン、それぞれの現場の生の声に、参加した学生は真剣に耳を傾けていました。

製品化、そしてdinosでの販売を目指し取り組むテーマとなる課題が発表されました。
本プロジェクトはテーマの一つとして“「売れる」デザイナー育成”を掲げており、最終的に「売れる」ものづくりができるかが鍵となります。通販の強みを発揮できるキーワード「突っ張り機能」、そしてユーザーのお悩みが多く存在するカテゴリである「衣類収納」「玄関収納」が今回の課題として選ばれました。

参加した学生は各自調査を進め、デザイン制作の軸となるコンセプトを固めていきました。
これまでのレクチャーで学んだことを土台に、カタログ、通販サイトのレビュー、SNS投稿など様々な媒体からユーザーの生活を調査し、ニーズの種となるお悩みを見つけ出していきました。

参加した学生は自身が設定したコンセプトをもとに、お悩みを解決する、あるいは理想を実現する製品のデザインを作成していきました。ターゲットとなるユーザーの求める機能や好む意匠、安全性・耐久性を考慮した構造、価格を意識した素材選定など、授業で行うデザイン制作とは異なる、ビジネスベースの目線でのデザイン制作を行いました。

学生の提案するデザインに対して参画企業それぞれの立場からのフィードバックが行われました。
学生は自分のデザインが実際の現場で働く人の目にはどう映るのか、注意深く耳を傾けていました。複数回にわたるフィードバックを経てブラッシュアップされたデザインは、意匠性・機能性共に優れたものとなっていきました。

製品化に向けた商品候補を選出する最終プレゼンが長岡造形大学構内で実施され、14名の学生が約5ヶ月に渡って取り組んできた集大成となる新商品企画・デザインを発表しました。

［選考委員］
・株式会社IKASAS DESIGN 代表取締役社長 村上 周平
・株式会社DINOS CORPORATION 家具・収納部 部長 岩崎 光史
・株式会社DINOS CORPORATION 家具・収納部 チーフMD 大谷 光政
・ホクリク総業株式会社 営業二課 係長 土田 靖

優れた企画・デザインが出揃う中、選考の結果5つの案が商品化候補として選出されました。