ケーキやデザート作りに欠かせないホイップクリームは、ハンドミキサーがないと作れないと思われがちです。泡立て器を使って手動で作ることも可能ですが、時間と体力が必要です。ジュースを作るための普通のミキサーでもホイップクリームを作れるのか、メリットとともに紹介します。

すぐに食べる場合においては、普通のミキサーでホイップクリームを作るのは、簡単かつ効率的な方法と言えます。

ただし、ミキサーは内部のカッターでクリームを一気に高速で撹拌するため、泡立てすぎると分離しやすいのが大きなデメリットです。また、高速回転による摩擦でクリームの温度が急激に上がることも、分離の原因となります。素早く仕上がる反面、泡立て加減の調整が難しく、放っておくとすぐにダレてしまいます。

したがって、ミキサーでホイップクリームを作る際は、撹拌時間を極力短くすることと、冷やしすぎないように注意することが重要です。

一般的に、泡立て器を使って手動でホイップクリームを作る場合、必要な時間は10〜20分が目安です。それに比べ、ミキサーを使った場合は約5分で完成するため、大幅に時間を短縮できます。手短に作業を済ませたい人にとって、ミキサーは非常に便利な選択肢と言えるでしょう。

ただし、手法が違うため、口当たりなど細かい点で違いが出ます。また、少量を作る場合や、ホイップクリーム作りに慣れている人にとっては、ハンドミキサーのほうが細かく調整できて扱いやすいという側面もあります。

ホイップクリームを作るレシピは、一度に200mlの分量で作るケースがほとんどです。ハンドミキサーでホイップクリームを作る場合、ハネの部分の約1/3がクリームに浸かる量が目安とされており、一度にたくさん作るには限界があります。

一方で、販売されている普通のミキサーは、容量が1000ml前後であるものが多く、ハンドミキサーと比べて一度にたくさんの量を作れるのがメリットです。ただし、生クリームはホイップすると体積が約2倍になるため、容量を考慮し、最初は少量から試す必要があります。

ハンドミキサーで泡立てる際は、角度やスピード、動かし方などを意識しないと、クリームがすぐに周りに飛び散ってしまいます。泡立て器で手動でホイップする際も、勢い余ってクリームが飛び散る場面が多くあります。しかし、蓋がついているミキサーであれば、その心配はありません。撹拌中に手を離しても安定しているため、作業の途中で他の準備ができるほか、後片付けが簡単な点もメリットです。

時間や体力が必要なホイップクリーム作りですが、いくつかのコツを押さえれば、誰でも簡単に美味しいクリームが完成します。調理の準備から選ぶクリームの種類まで、美味しいクリーム作りに必要な知識を紹介します。

生クリームの脂肪球は温度に敏感です。保管する温度や室温が適切でないと、脂肪球の骨格が不安定になってしまいます。きめ細かく安定したホイップクリームを作るには、使う直前まで生クリームを約5℃に保ち、室温もできる限り低く維持するのが大切です。ミキサーの刃など、ホイップに使う道具も事前に冷やしておくと、より安定した仕上がりになります。

デコレーションに使える硬めのホイップクリームを作るためには、乳脂肪分の高いクリームが必要です。脂肪分が35％以上と書かれているものが目安で、泡立ててデコレーションに使うのに適しています。

脂肪分が高めのクリームは、ミルキーで濃厚、滑らかな口当たりになります。また、泡立ちが良いことも利点ですが、固まりやすく分離しやすい点には注意が必要です。

生クリームの中に水分が入ると、水分と乳脂肪のバランスが悪くなりうまく乳化できなくなってしまいます。その結果、泡立たなくなったり、分離したりするおそれがあります。ミキサー本体や蓋、使用する刃は布で拭き、水滴が混入しないよう完全に乾かしてから作業を始めてください。

ミキサーを使い始める際、初めから高速で泡立てると、まだ液体状のクリームが周りに飛び散ってしまいます。そのため、最初は必ず低速で回し始めることが大切です。クリームが少し硬くなり始めたら、スピードを上げて、一気に空気を含ませるように高速で混ぜてください。泡立てすぎて硬くなりすぎないよう、途中でミキサーを止め、クリームの様子を見ながら混ぜるのがポイントです。

生クリームはホイップすると体積が約2倍になるため、ミキサーにたくさんのクリームを入れると、撹拌中に溢れてしまうおそれがあります。また、一度に大量の生クリームを泡立てると、ミキサー内部の空気がクリーム全体に行き渡らず、含まれる気泡が減ってしまい、結果的にホイップクリームの質が悪くなるというデメリットもあります。これらの失敗を防ぐために、まずはミキサーの容量に対して少なめの量から試すのがコツです。

実際にミキサーを使ってホイップクリームを作る手順を紹介します。ハンドミキサーや泡立て器を使って手動で作る場合と比べて、どのような点で違いがあるのか、完成までにかかる時間は何分ほどなのかといった点をチェックしてください。

・生クリーム：150ml
・砂糖：15g

クリームはあっという間に固まり始めてしまうため、ミキサーをかけすぎないよう、様子を見ながら時間を調整してください。なかなかツノが立たない場合は、少量のレモン汁やジャムを加えると固まりやすくなります。植物性の生クリームも有効で、しっかりと角が立つまでホイップすることが可能です。

ミキサーを使って生クリームを作る方法
1.ミキサーに生クリームと砂糖を入れる
2.1〜2分撹拌する

ハンドミキサーや泡立て器を使った手動でのクリーム作りに比べると、ミキサーでは綺麗にホイップできない場合もあります。そのような時に役に立つ、泡立ちが良くなる簡単なコツを紹介します。家庭にあるものをうまく利用して、滑らかで質の良いホイップクリームになるよう試してください。

ミキサーで生クリームが泡立たない時の対処法
・レモン汁を追加する
・ジャムを追加する
・別の用途で再利用するのも手

レモンに含まれるクエン酸には、クリームのタンパク質を固める効果があるため、クリームに加えると短時間で泡立てることが可能です。クリーム200mlの分量に対し、レモン汁は2~10mlを目安に、少しずつ加えてください。レモン汁が多いほどクリームの質は硬くなり、レモンの酸味も強くついてしまうため、少しずつ様子を見ながら足していく必要があります。

ジャムには、食物繊維の一種であるペクチンという成分が含まれており、乳成分と反応すると固まる性質を持っています。そのため、ジャムを生クリームに加えることで、泡立ちが良くなるうえに、果物のフレーバーのついたホイップクリームを作れます。

ペクチンが含まれているジャムの例
・イチゴジャム
・ブルーベリージャム
・桃ジャム
・オレンジジャム

ホイップクリームとして使えなかった生クリームも、決して捨てずに料理やお菓子作りに活用しましょう。料理や焼き菓子に加えると、簡単にコクを与えられます。また、ソースやドレッシングに足せば、まろやかな風味に仕上げる手助けをしてくれます。生クリームにフルーツやナッツ類を混ぜて冷凍し、自家製アイスクリームを作ることも可能です。

泡立たなかった生クリームの活用法
・焼き菓子の材料として使う
・ソースやドレッシングを作る
・アイスクリームの材料に使う

ハンドミキサーや泡立て器、ミキサーが家にない場合でも、ホイップクリームを作る簡単な方法はいくつかあります。専門の道具は必要ありません。家にある他のキッチンアイテムで十分代用できるため、参考にしてください。

ミキサー以外でホイップクリームを作れる代用品
・ブンブンチョッパー
・フードプロセッサー
・ポリ袋（ビニール袋）

ブンブンチョッパーとは、ハンドルを引くと中の刃が回転し、入れた野菜を簡単にみじん切りにできる便利アイテムです。内部の仕組みはミキサーと似ているため、ブンブンチョッパーでも生クリームを作れます。小さい容器のタイプなら、少量のホイップクリームを5分程度で簡単に仕上げられます。

ブンブンチョッパーでホイップクリームを作る手順
1.ブンブンチョッパーに生クリームと砂糖を入れる
2.蓋を閉める
3.生クリームの様子を見ながらハンドルを引く

ポリ袋でホイップクリームを作る際には、爪を引っ掛けて袋を破かないように注意してください。6分立てにするには約3分程度、8分立てにするには約4分のシェイクが必要です。ハンドミキサーや泡立て器で作るような質の良い柔らかさにはなりませんが、少量のホイップを簡単に作れるのがメリットです。

ポリ袋でホイップクリームを作る手順
1.ポリ袋に生クリームを入れる
2.さらに砂糖を入れる
3.空気を入れて口を結ぶ
4.袋をよく振る

ハンドミキサーや泡立て器を使ったことない人、普段からお菓子作りをしない人にとって、ホイップクリーム作りはハードルが高いと感じてしまいます。どうすれば失敗しないのか、失敗してしまった時の対処法などをQ&A形式で紹介しますので、参考にしてください。

ホイップクリームのキメが荒くなり、分離してしまった場合は、牛乳やヨーグルトなどを少量加えると、再び滑らかになる場合があります。これらの乳製品が、分離した水分と脂肪分をまとめてくれるため、少しの分離であれば改善が見込めます。ただし、加えすぎるとホイップクリームとは別物になってしまうので、ゆっくり少量ずつ、泡立て器で混ぜながら様子を見るのがコツです。

ブレンダーはハンドミキサーよりもスリムなデザインのものが多く、たまにしか使用しない人にとっては邪魔になりにくく、扱いやすいのが特徴です。

ブレンダーはアタッチメントを変えることで、さまざまな用途に対応できますが、ホイップクリーム作りに特化したアイテムではありません。たくさんの量を一度に作るのには向いていませんが、少量のホイップクリームを作りたい時には便利です。

初心者でも簡単にホイップクリームが作れるミキサーを紹介します。クリーム作りだけでなく多用途に使えるものや、コンパクトなアイテムなど、便利な商品が多数あります。ご自身の調理スタイルに合った商品を見つける際の参考にしてください。