IHやマイコンの炊飯器で調理をする際、アルミホイルを使ったレシピを目にすることがあります。しかし、実際に使っても問題ないのか、体に影響はないのか、不安を感じる人もいるでしょう。アルミホイルの成分であるアルミニウムは体に取り込んでも大丈夫なのか、また炊飯器の機能に支障はないのかを解説します。

炊飯器の調理以外にも、普段からアルミホイルを使って調理する人は多いでしょう。厚生労働省の資料では、国民のアルミ二ウムの摂取量に関するデータが公表されています。

アルミニウムは、アルミホイルだけでなくさまざまな食品にも使われている金属です。アルミニウムによって焼き菓子を膨らませたり、食品の変色や保存する際の悪化を防いだりしています。私たちは普段、知らず知らずのうちにアルミニウムを体内に取り込んでいますが、その量はごくわずかです。健康に支障が出るほどではないため、過剰に心配しなくて大丈夫でしょう。

火災や故障の原因となるため、炊飯器メーカーはアルミホイルの使用を推奨していません。炊飯器の蒸気口をアルミホイルで塞ぐと、蒸気を適切に排出できなくなったり、蓋と本体の隙間から漏れ出したりしてしまいます。蓋が突然開いて中身の吹き出しが生じると、やけどをするおそれもあり危険です。

アルミニウム自体は人体に有害ではありませんが、炊飯器の機能面や安全上の理由から、アルミホイルの使用は避けたほうがよいでしょう。

具体的な数値を見ると、アルミニウムが人体へ及ぼす影響は少ないことがわかりますが、有害であるという印象は拭えません。IHやマイコン炊飯器だけでなく、圧力鍋の調理でもよく使われているものの、炊飯器と同様に鍋の中でのアルミニウムの使用は推奨されていないのが現状です。なぜ、アルミニウムが人体に安全ではないと言われているのかを見ていきましょう。

・炊飯調理中にアルミニウムが溶け出すと危険と言われているから
・アルツハイマー病の原因になるという噂

アルミホイルは高い耐熱温度を持ちますが、炊飯ジャーの中で熱せられることで、アルミニウムが微量でも溶け出すのではないかという懸念があります。アルミニウムが溶け出して人体に入ってもすぐに排出されるため、健康上の問題はないとされています。しかし、摂取しないに越したことはないと考える人が多いのも事実です。

また、アルミニウムとアルツハイマー病との関係性を指摘する説も、アルミホイルの使用を避ける理由のひとつと言えます。

厚生労働省のアルミニウムに関する情報では、国内でのアルミニウムを摂取した際の影響について、具体的な数値を掲載しています。

アルツハイマー病の原因は、今現在も解明されていません。さまざまな角度から研究されている中で、脳内のアルミニウム含量や水道水に含まれるアルミニウムが関係しているという説も提唱されましたが、確かな証明はできていないのが現状です。したがって、アルミニウムは過剰に摂取しなければ問題ないとされています。食品を購入する際には、パッケージの裏などの成分表を確認し、日々の摂取量に少し注意を払う程度でよいでしょう。

IHやマイコンの炊飯器で、どうしてもアルミホイルを使って調理したいという人もいるでしょう。炊飯器に負担をかけず、安全に調理するには、いくつかの重要な注意点があります。アルミホイルを使うリスクがあることも理解しつつ、上手に炊飯器で調理するためのポイントを紹介します。なるべくアルミニウムを摂取したくないという人は、ぜひ参考にしてください。

・高温での調理を避ける
・食材を長時間アルミホイルで包むのを避ける
・塩分や酸性の食品とアルミホイルの組み合わせは避ける

アルミホイルの耐熱温度は300〜660℃とされており、それ以上の温度になるとアルミニウムが溶け出す可能性があります。通常の炊飯器の温度はそれほど高くなりませんが、急激な圧力がかかり100℃以上もの火力を出す炊飯器もあります。特に土鍋タイプの炊飯ジャーには、高火力で炊き上げる機能を持つものがあるため、アルミホイルの使用は避けましょう。

アルミホイルは保温効果が高く、食材を長時間包んだままにすると溶け出してしまう可能性があります。特に水気が多い食材や熱い状態の食材は、ホイル内に水分が溜まり、アルミニウムが溶け出しやすくなるため注意してください。アルミホイルで包むのは短時間にとどめ、炊飯器から取り出した後は、数日以上置かないようにしましょう。

アルミニウムは水や塩分、酸に弱い性質があり、酸化することで錆びたり変色したりします。アルミホイルで塩分や酸性の強い食べ物を包むと、アルミニウムが溶け出してしまう可能性があるため、注意が必要です。例えば、梅干しや酢の物、トマトや柑橘類などが当てはまります。これらの食品をアルミホイルで包むのは避けてください。

また、炊飯器で調理する場合も、酸性の強い食材を内釜に入れると、コーティングが剥がれるおそれがあるため、あわせて注意しましょう。

IHやマイコンの炊飯器にアルミホイルを使う際には、時間や温度、食品との組み合わせなど、注意すべき点が多くあります。また、作りたい料理によっては、アルミホイルの使い方について疑問が生じることもあるでしょう。そこでアルミホイルを使って調理する際に、よくある質問を紹介します。

アルミホイルを使って落し蓋をしようとすると、炊飯器の蒸気口を塞いでしまう可能性があります。また、長時間調味料に浸ることでアルミニウムが溶け出す危険性もあるため、炊飯器専用の落し蓋を使うと安心です。

炊飯器で蒸すのに向いている野菜は、ニンジンやダイコン、さつまいもやカボチャなどの根菜です。野菜をアルミホイルに包んでご飯と一緒に炊いたり、野菜のみを水と一緒に炊飯ジャーに入れて蒸したりする方法があります。いずれもできあがったら、できるだけ早くジャーから取り出し、ホイルを外しましょう。