昔ながらの調理器具の一つ、せいろは主に蒸し料理に使われますが、最近は食材のうまみを引き出しながら、ヘルシーな蒸し料理がつくれると見直されています。一般的にせいろを蒸すときには蒸し器が使われますが、適当な蒸し器がないという人もいるでしょう。代わりに、キッチンにあるフライパンでせいろ蒸しができないかと、考えている人もいるのではないでしょうか。フライパンを活用した、せいろの使い方について詳しく解説します。

せいろを蒸す際に通常使われるのは、専用の鍋や蒸し器ですが、キッチンにあるフライパンでも代用が可能です。せいろの直径と同じか、それより少し大きめのサイズのフライパンがあれば、専用の鍋がなくても手軽に蒸し料理が楽しめます。沸騰したお湯から立ち上る蒸気がせいろ全体を包み込み、食材をムラなく蒸し上げます。

一人暮らしで蒸し器や専用の鍋を持っていない場合や、少量の食材を蒸したいときなどは、普段使い慣れたフライパンのほうが便利でしょう。蒸し料理は油を使わないためヘルシーで、食材が持つ本来のうまみや栄養を逃さずに調理できます。

フライパンを使えば、調理器具をあまり持っていない人でも、蒸し料理ができ、使い方も簡単です。ライパンは浅い作りで洗いやすく、後片付けも楽にできます。また、キッチンの収納スペースが狭く、蒸し器を置く場所がないという人でも、せいろを使った蒸し料理ができます。

一方で、フライパンでせいろ蒸しをする場合、沸騰した水が蒸発しやすく、調理中こまめに水の量を確認する必要があります。水を足すタイミングを逃すとフライパンが空焚き状態になり、焦げ付く可能性があるので、使い方には注意が必要です。

せいろをフライパンで使うメリット
・蒸し器を購入する必要がない、後片付けが楽
・蒸し器よりスペースを取らない

せいろをフライパンで使うデメリット
・水の量の確認が欠かせない

フライパンを使ったせいろ蒸しのやり方を紹介しましょう。フライパンの使い方は難しくありません。覚えておけば、わざわざ蒸し器を用意しなくても、せいろを使った蒸し料理を楽しめます。

せいろのフライパンでの使い方
1.せいろ全体を水で濡らす
2.フライパンに水を入れて沸騰させる
3.食材をせいろに入れる
4.せいろをフライパンの上に乗せる
5.せいろに蓋をして蒸す

せいろは調理の前に、全体を水で濡らすのが正しい使い方です。せいろを乾燥した状態で火にかけると、熱で変形したり、ひび割れたりするほか、焦げ付いたりする恐れがあるので注意しましょう。せいろをさっと水にくぐらせると、せいろが長持ちし、より良い状態で調理できます。また、食材のにおいがせいろに移りにくくなります。

フライパンを使ってせいろを蒸すときは、お湯を沸かしたフライパンの上にせいろを載せます。せいろの直径と同じか、少し大きめのサイズを選ぶのが、使い方のポイントです。フライパンに入れる水の量は、せいろを置いたときに底が浸らない程度にします。水の量が多すぎると、蒸している間に沸騰したお湯がせいろの中に入るので注意が必要です。水を入れたら、強火にかけて沸騰させ、たっぷりの蒸気が出る状態にします。

水を沸騰させている間に、蒸したい食材をせいろの中に入れます。せいろが汚れるのを防ぐため、せいろの底にクッキングシートや蒸し布、キャベツの葉などを敷きましょう。食材は詰め込みすぎず、せいろの内側の壁から少し隙間を空けて並べると、蒸気が全体に行き渡りやすくなります。

フライパンの水が沸騰し、勢いよく蒸気が出てきたら、せいろをフライパンの上に載せます。蒸気でやけどを起こさないよう、使い方には十分に注意しましょう。いったん火を止めてから、せいろを乗せても構いません。蒸気が漏れないように、フライパンとせいろの間に隙間を作らないようにするのが、使い方のポイントです。

せいろに蓋をすると、蒸気がせいろの中に閉じ込められ、食材に熱が均一に伝わります。火加減は、蒸気が勢いよく立ち上る状態を保てるように調整します。火が弱すぎると、十分に蒸気が上がらず食材を加熱できません。また、水がなくならないように、時々フライパンの中を確認するのも安全な使い方のポイントです。

せいろをフライパンで蒸すときの、せいろとフライパンの使い方のポイントをまとめましょう。次に挙げる使い方のポイント3点に注意すれば、せいろを焦がすことなく、手軽においしい蒸し料理を楽しめます。

せいろをフライパンで蒸す場合、フライパンのサイズ選びも使い方のポイントです。せいろの直径より、1〜2cm程度大きいサイズのフライパンを選びましょう。せいろがフライパンの縁にしっかりとかかるので、底が直接お湯に浸かるのを防げます。また、深型のフライパンを使うと、その分、水が多く入るので、途中で水を足す手間を減らせます。

フライパンでせいろを蒸す際、水の量も重要なポイントです。水の量が多すぎると、沸騰したお湯がせいろの底を濡らしてしまう可能性があります。反対に水の量が少なすぎると、すぐに蒸発してしまい空焚きになり、せいろやフライパンを傷めてしまう原因になります。

水の量は、フライパンにせいろを置いたときに、せいろの底からお湯が2cm程度の深さになるように調整するのが、上手な使い方です。蒸し時間が長い場合は、途中で水を足せるように、やかんに熱湯を用意しておくと便利です。

せいろとフライパンを使ってできる蒸し料理のレシピを3種類紹介します。油を使わずに調理できる蒸し料理は、ダイエット中の人にもおすすめです。せいろを蒸すときのフライパンの使い方を覚えたら、さっそく挑戦してみましょう。

材料（2人分）
蒸す具材
・豚ばら肉（厚切）：300g
・白菜：3枚
・エリンギ：2本
・白ねぎ：15cm

タレの材料
・コチュジャン：大さじ1
・味噌：大さじ1
・砂糖：小さじ1
・みりん：小さじ1
・ごま油：小さじ1
・すりおろしにんにく：少々

・レタス：適量
・キムチ：80g

野菜と豚肉巻きのせいろ蒸しの作り方を紹介します。

作り方
1.せいろにクッキングシートを敷き、包丁で数か所穴を開けておく
2.豚ばら肉は好みの厚さに切り、塩コショウをふる
3.エリンギと白菜は食べやすいサイズに、白ねぎは細切りに切る
4.せいろに白菜を敷き詰め、豚ばら肉、エリンギ、白ねぎを並べる
5.蓋をしたら蒸気の上がったフライパンにせいろを乗せて、強めの中火〜強火で10分蒸す
6.蒸している間にタレの材料を全て混ぜ合わせる
7.具材が蒸しあがったら完成。

食べるときは、レタスにキムチと一緒に具材をのせる。タレは好みの量をかけ、レタスを巻いて食べる。

豚ばら肉は、せいろで蒸すと余分な脂が落ちるので、脂質が気になる人も食べやすいメニューです。レシピにある野菜以外でも、好みの食材にアレンジして作れます。

材料（2人分）
・鮭：2切
・キャベツ：1/8個
・白だし：大さじ1
・有塩バター：10g
・小ねぎ、黒こしょう：各適宜

鮭のせいろ蒸しの作り方を紹介します。

作り方
1.せいろを水で濡らしクッキングシートを敷き、フライパンに湯を沸かし沸騰させておく
2.キャベツはざく切りにし、せいろに並べる
3.キャベツの上に鮭をのせ、白だしを回しかける
4.蓋をしたせいろをフライパンに乗せ、中火で12分蒸す
5.蒸し上がったら有塩バターをのせ、好みで小ねぎ、黒こしょうをかける

材料を切ってせいろで蒸すだけの、簡単な料理です。使う材料も調味料も少なめで、手軽に短時間で作れ、忙しい日でも栄養価の高い食事を楽しめます。

材料（2人分）
・豚ひき肉：200g
・玉ねぎ：1/2個
・切り干し大根：10g
・玉ねぎ麹：大さじ1と1/2
・ケチャップ：大さじ1
・キャベツ：4枚
・チーズ：40g
・黒こしょう：少々

せいろで手軽にロールキャベツも作れます。

作り方
1.切り干し大根は水洗いし、10分ほど戻す
2.ボウルに豚ひき肉、みじん切りした玉ねぎ、みじん切りした切り干し大根、玉ねぎ麹、ケチャップを入れ、よく混ぜ合わせる
3.キャベツはよく洗い、芯の硬い部分は薄く削ぎ切りにして平にする
4.ミンチを4等分にし丸め、キャベツで巻く
5.せいろにシートを敷き、ロールキャベツの巻き終わりを下にして並べる
6.フライパンにお湯を沸かし、せいろをのせて中火で12分蒸す
7.蒸しあがったら、ロールキャベツの上にチーズをのせて再度蓋をし、余熱で5分ほど置いて蒸す
8.好みで黒こしょうをかける

煮込む際に崩れるのが心配なロールキャベツですが、せいろで作れば煮崩れの心配がありません。切り干し大根入りで、栄養価の高いロールキャベツです。

せいろの専用鍋は、フライパン以外のものでも代用できるのでしょうか。専用鍋の代わりになるものや、使い方の注意点などを紹介します。

キッチンにあるステンレス製のボウルや、深さのあるホーローの容器も、せいろの鍋の代用品になります。ただし、代用する容器は必ず直火または使用する熱源に対応している必要があります。火にかけると高温になるので、使い方には注意が必要です。直火にかけられないガラスボウルやプラスチック容器は、高温で破損、溶解する危険があるため絶対に使用しないでください。

せいろ専用の鍋を持っていなくても、キッチンにフライパンがあればせいろを使った料理を作れます。せいろのおすすめ商品を、2つ紹介します。