アルミ鍋を使っていると、内側に黒ずみや白い斑点ができることがあります。なぜ鍋が黒くなるのか、このまま使い続けて体に害はないのかと不安に感じる人もいるでしょう。アルミ鍋に黒ずみや白い斑点ができる原因と、安全性について解説します。

アルミ鍋の黒ずみや白い斑点の原因は、表面の酸化被膜が剥がれて水と反応し、水酸化アルミニウムが生成される酸化による変色です。アルミの表面は酸化被膜で保護されていますが、これが傷つくと内部のアルミが露出します。露出した部分が水と反応すると白い斑点ができ、さらに水中のミネラルと反応して黒ずみへと変わるのです。

アルミ鍋に白い斑点や黒ずみができるまでの流れ
1.鍋の表面を覆う酸化被膜が剥がれる
2.アルミ素地がむき出しになり水分と反応する
3.水酸化アルミニウムが発生し白い斑点やざらざらした腐食が起こる
4.水酸化アルミニウムが水中のミネラルと反応して黒ずみになる

アルミ鍋の黒ずみを防ぐ為には、表面の酸化被膜を傷つけて変色を促進する行為を避ける必要があります。被膜が剥がれると化学反応で酸化が進むからです。アルカリ性の重曹での洗浄や、金属たわしでのこすり洗いは被膜を直接傷つけます。こんにゃくのアクや長時間の沸騰、空焚きも同様に被膜を傷める原因です。こうした行為を避けることで、くすみの予防につながります。

アルミ鍋に黒ずみや白い斑点ができるやってはいけないこと
・重曹やアルカリ性洗剤での洗浄
・金属たわしでこする洗い方
・こんにゃくなどアクの強い食材の調理
・長時間の沸騰や空焚き

アルミ鍋に発生した黒ずみや白い斑点は、人体に吸収されにくい水酸化アルミニウムであり、大部分が排出されるため健康への害はありません。黒ずみは腐食の一種で見た目は良くありませんが、変色した鍋で調理した物を食べても健康上の問題はないとされています。

アルミ鍋が黒くなった時の手入れは家庭にある物で対応できるので、特別な道具は必要ありません。黒ずみの原因である酸化汚れの正しい取り方や、鍋をきれいにする磨き方を説明します。適切な汚れ落としで、お気に入りのアルミ鍋をきれいにしましょう。

クエン酸は、アルミ鍋の黒ずみの原因であるアルカリ性の汚れを酸の力で中和して分解するため、変色を落とす効果的なきれいにする方法です。一度で黒ずみが取り切れない場合は、同じ量の水とクエン酸を鍋に入れ、同じ作業を繰り返すときれいになります。洗浄時にはアルミの表面を傷つけないよう、柔らかいスポンジで優しく洗い上げましょう。

クエン酸でアルミ鍋の黒ずみや白い斑点を取る方法
1.鍋の黒ずみが浸る程度の水と、水1リットルに対し小さじ2〜3杯のクエン酸を入れる
2.火にかけて沸騰させ、そのまま10〜15分ほど煮続ける
3.火を止めて、鍋が自然に冷めるまで1時間ほど放置する
4.お湯を捨てた後、食器用の中性洗剤をつけた柔らかいスポンジで優しく洗う

家にあるお酢でも、クエン酸と同じようにアルミ鍋の黒ずみを除去できます。お酢の主成分である酢酸が黒ずみを分解し、沸騰させてから冷ます工程で汚れが浮き上がり、落ちやすくなります。ただし、お酢はにおいが残りやすいため、中性洗剤で洗った後は水で念入りにすすいでください。

お酢でアルミ鍋の黒ずみや白い斑点を取る方法
1.鍋に黒ずみが隠れるくらいの水と、水1カップに対し大さじ1杯程度のお酢を入れる
2.そのまま火にかけて、10分ほど沸騰させる
3.火から下ろし、お湯が冷めるまで待つ
4.最後に中性洗剤とスポンジで洗い流す

レモンやりんごの調理で残った部分でも、アルミ鍋の変色を落とせます。レモンやりんごの皮に含まれるクエン酸やリンゴ酸には、黒ずみを分解する作用があります。皮から酸の成分を十分に引き出すため、煮る時は黒ずみが浸る水で15分ほど沸騰させることがコツです。また、鍋の表面を傷つけないよう、金属たわしなどを避けて優しく洗いましょう。

レモンやりんごでアルミ鍋の黒ずみや白い斑点を取る方法
1.レモンの輪切りや、りんごの皮や芯を鍋に入れる
2.黒ずんだ部分全体が浸るくらいの水を加える
3.火にかけて15分ほど沸騰させ続ける
4.火を止めて冷ました後、中身を捨ててスポンジで優しく洗う

重曹や塩素系漂白剤での手入れは、黒ずみを元の状態に戻すどころか、酸化被膜を傷つけ悪化させるため絶対に避けましょう。アルミは、アルカリ性に非常に弱い性質を持ちます。

そのため、アルカリ性の物質に触れると、鍋を腐食から守る保護膜が化学反応で剥がれてしまいます。保護を失ったアルミの素地がむき出しになり、水と反応してさらに深刻な変色を招くため、洗う時は中性洗剤と柔らかいスポンジを使いましょう。

アルミ鍋をきれいな状態で長く保つには、落とした後の手入れが非常に重要です。アルミ鍋を快適に使い続けるための、正しい手入れ方法を紹介します。

アルミ鍋の黒ずみを取った後は、表面の保護膜も剥がれて再び変色しやすくなるため、酸化被膜を作って保護する手入れが欠かせません。手入れの方法は、お米のとぎ汁か野菜くずをアルミ鍋に入れて10分から15分ほど沸騰させるだけです。この作業で鍋の表面に新たな酸化被膜が形成され、黒ずみの原因となる化学反応を防げます。