耐久性が高く、さまざまな料理に使いやすいホーロー鍋ですが、扱い方を間違えると鍋全体に焦げ付きが発生してしまうことがあります。焦げ付きはホーロー鍋を傷める要因になるため、長く使い続けるためには焦げる原因を理解したうえ、焦げ付かないよう対策を立てることが大切です。

ホーロー鍋が焦げ付きやすいのは、火が強すぎたり油の量が少なかったりなど、正しくない調理方法や間違った手入れなどが主な原因です。特に長時間強火で調理したり、予熱が不十分だったりすると食材が鍋底にくっ付いて焦げ付いてしまうことがあります。

またホーロー鍋の表面にはコーティングが施されていますが、研磨剤入りの洗剤などを使って強く擦るなど、間違った手入れによって剥がれてしまいます。ホーロー鍋のサビがひどくなったり、焦げ付きが落としにくくなったりするので、調理中だけでなく使用後の扱いに注意が必要です。

揚げ物の油などが少し焦げた程度の酸性の汚れがホーロー鍋に付着している場合は、重曹を使うと簡単に落とせます。重曹はアルカリ性の物質で、酸性の汚れを中和させて落としやすくします。重曹は海や温泉にも含まれる自然由来の物質なので、人体にも無害です。真っ黒に焦げてしまったときは、何度か繰り返しましょう。

また、重曹にはホーロー鍋の表面を研磨するだけでなく、消臭効果もあります。カレーなど匂いが残りやすい料理の後の手入れにも効果的です。

重曹を使ったホーロー鍋の焦げ付きの落とし方
1.ホーロー鍋の焦げ付き汚れが浸る程の水を入れる
2.水1リットルに対して重曹大匙1杯を目安に、ホーロー鍋に重曹を加える
3.重曹を溶かしたら、沸騰するまで加熱する
4.沸騰したら火を止め、お湯がぬるくなるまで1〜2時間程度放置する
5.鍋のお湯を捨てて、食器用洗剤を付けたスポンジで擦り洗いをする

野菜やきのこ類などが焦げ付いたときなどアルカリ性の汚れであれば、クエン酸を使いましょう。クエン酸は酸性の物質で、水と一緒に沸騰させるとアルカリ性の汚れが中和されきれいに落ちます。クエン酸は柑橘系の果物にも含まれる自然由来の成分で、重曹と同様に環境や人体への影響はほとんどありません。

しかし肌の質によっては、クエン酸を長時間素手で触っていると手が荒れてしまうことがあります。掃除中はゴム手袋を着用しましょう。自宅にクエン酸が無い場合は、酢やレモン汁などのクエン酸が入っている物であれば代用できます。酢を使って汚れを落とす場合は、沸騰時に独特の匂いが出てくるので、忘れずに換気をしましょう。

クエン酸を使ったホーロー鍋の焦げ付きの落とし方
1.ホーロー鍋に焦げ付き部分が浸る程度の量の水を入れる
2.水1リットルに対して大さじ1杯を目安に、クエン酸を鍋に加える
3.弱火で10分程度加熱したら、冷めるまで放置する
4.水を捨てたら柔らかいスポンジと食器用洗剤で優しく洗う

セスキ炭酸ソーダは、重曹に比べてさらに強いアルカリ性の物質で、鍋の表面に肉や油などが真っ黒に焦げ付いたときなどのひどい汚れに効果があります。汚れの取り方は基本的に重曹と同じで、加熱後は柔らかい素材のスポンジで擦り洗いしましょう。

セスキ炭酸ソーダを使ったホーロー鍋の焦げ付きの落とし方
1.焦げ付いた部分が浸るほどの量の水をホーロー鍋に入れる
2.小匙3杯程度のセスキ炭酸ソーダを加える
3.鍋に蓋をしたら、約10分とろ火で加熱する
4.火を止めて蓋を開けたら、温くなるまで放置する
5.鍋の水を捨てて、中性洗剤と柔らかいスポンジで洗う

過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤の主成分で、強いアルカリ性の性質を持つことから、重曹では落とせないほどのひどい酸性の焦げ付きを落とすときに使います。沸騰させたお湯に加えて漬け置きすれば、ホーロー鍋の表面に付着した焦げ付きだけでなく、カレーなどの着色汚れもきれいに落とせます。

過炭酸ナトリウムを使ったホーロー鍋の焦げ付きの落とし方
1.焦げ付き部分が浸る程度の水を鍋に入れ、中火で加熱する
2.大匙2杯程度の過炭酸ナトリウムを加え、溶けるまでかき混ぜる
3.約10分間弱火で煮立てたら火を消し、お湯が温くなるまで放置する
4.鍋の中の水を捨てたら、食器用洗剤と柔らかいスポンジで汚れを落とす

ホーロー鍋の外側にも、吹きこぼれた煮汁や飛び散った油などによる酸性の焦げ付きがよく表面に付着しますが、重曹水に浸け置きすると簡単によごれを落とせます。ホーロー鍋の本体が十分に浸かるほどの深さがある鍋を用意すれば、縁や金具の繋ぎ目といった細かい場所の焦げ付きの掃除も楽にできるでしょう。

頑固な焦げ付きがある場合は、重曹水またはセスキ炭酸ソーダ水を含ませたキッチンペーパーをホーロー鍋の表面に貼り付けてしばらく放置すれば、楽に落とせます。

ホーロー鍋の外側の焦げ付きの落とし方
1.焦げ付きが付着したホーロー鍋が入る程度の大きさの鍋を用意する
2.ホーロー鍋を鍋の中に入れ、焦げ付いた部分が浸るくらいまで外側の鍋に水を入れる
3.水が入った外側の鍋に重曹を加え、十分に溶かしてから加熱する
4.水が沸騰したら火を止め、お湯が冷めるまで放置する
5.中の水を捨てて、柔らかいスポンジと食器用洗剤で擦り洗いする

ホーロー鍋は耐久性が高くて長く使いやすい道具とは言え、毎日の調理に使っているうちに、錆びや色素の沈着といった様々な汚れが表面に付着してしまうことも少なくありません。しかし焦げ付きと同様に、それぞれの汚れの特徴に合わせた落とし方を実践すれば、ホーロー鍋を常に清潔に保ちやすくなります。

調理中の水分や塩分などが付着することで発生する赤茶色のサビを落とすには、クエン酸が有効です。ホーロー鍋は表面が錆びるのを防ぐ釉薬が塗られていることが多いのですが、縁や隅はコーティングが定着しにくく錆びやすくなってしまいます。ホーロー鍋の表面に発生するサビはアルカリ性の性質で、酸性のクエン酸を使うと中和されて落としやすくなります。

サビ取りをする場合も、水を入れたホーロー鍋にクエン酸を大匙2杯程度溶かすだけです。それを沸騰させたら一日程度放置します。クエン酸の中和反応によってサビが剥がれてきたら、歯ブラシやスポンジなどを使って擦り落しましょう。

ホーロー鍋の表面に付いた茶渋などの着色汚れは、軽度であれば中性洗剤を付けたスポンジで擦り洗いするだけで落とせます。洗剤では落とせないほど濃い着色汚れの場合は、重曹や過炭酸ナトリウムを使えば、研磨効果や漂白効果によってきれいに落とせます。

落とし方はホーロー鍋の焦げ付きを落とすときと同じです。鍋に水と重曹または過炭酸ナトリウムの粉末を加えて沸騰させた後、火を止めて1〜2時間ほど放置します。お湯が冷めたら、食器用洗剤とスポンジで擦り落としましょう。重曹を使う場合は水1リットルに対して大匙1杯、過炭酸ナトリウムを使うなら大匙2杯程度を目安にします。

揚げ物をした後などに油汚れが付着したホーロー鍋を洗う場合も、重曹を溶かしたお湯に浸け置きするとよく落ちます。ホーロー鍋の中に油が残っている場合はキッチンペーパーなどで拭き取り、鍋を少し冷ましてから落とすのがポイントです。油が完全に冷たくなる前に、重曹を溶かしたお湯を鍋に入れます。

10分から1時間程度浸け置きしたら、柔らかいスポンジで優しく擦り落としましょう。

頑固な焦げ付きやサビなどを落とすとき、よくメラミンスポンジを使いますが、ホーロー鍋を洗うときは避けましょう。一般的にホーロー鍋の表面にはサビから守るためのコーティングが施されており、メラミンスポンジの研磨効果によって、コーティングが剥がれてしまう恐れがあります。

万が一、ホーロー鍋の掃除にメラミンスポンジを使ってしまったからと言って、すぐに調理に使えなくなるわけではありません。しかし、表面が傷ついたり、錆びやすくなったりして、劣化が進んでしまうかもしれません。サビがひどくなったり傷が気になったりしたときは、新しいホーロー鍋に買い替えたほうが良いでしょう。

手軽に使いやすいホーロー鍋ですが、より長く使い続けるには、温度や調理方法などに注意することが大切です。普段から次のような点に気を付けて、丁寧に扱いましょう。

ホーロー鍋の焦げ付き・サビなどの汚れを防ぐ方法
・空焚きをしない
・強い衝撃を避ける
・急激な温度変化を避ける
・金属製の調理器具を使わない
・炒め物や煎り物に使わない
・煮込み料理はこまめにかき混ぜる
・調理前に油を馴染ませる
・水分をしっかり拭いて乾燥させる

ホーロー鍋は、加熱し過ぎると品質が低下したり、コーティングが劣化したりすることがあります。空焚きなどは絶対に避けましょう。ホーロー鍋の表面に施されたコーティングはガラス質で高温に弱く、空焚きをするとヒビ割れの原因になります。火事につながる可能性もあるので、加熱時は必ず鍋の中身が入っていることを確認しましょう。

万が一、ホーロー鍋で空焚きをしてしまった場合、水をかけると急激な温度変化で破損してしまうことがあります。火を止めたら、自然に冷めるまで放置しましょう。

ホーロー鍋を持ち運んだり収納したりする際には、落としたり他の物にぶつけたりしないように気を付けましょう。ホーロー鍋の表面のコーティングはガラス質で、強い衝撃を受けると剥がれたり、傷ついたりする恐れがあります。表面のコーティングが傷付くと、内部の金属部分が露出してしまいサビの原因になります。

ホーロー鍋の表面に施されたガラス質のコーティングは、急激な温度変化に弱いため、手入れの際などは急に冷やさないようにしましょう。特にホーロー鍋の焦げ付きを落とす際、沸騰させたお湯を使うことがあります。しかし、水を沸騰させて高温になった状態の鍋に冷たい水を掛けてしまうと、ガラス質のコーティングにヒビ割れができてしまうかもしれません。

調理や手入れで、ホーロー鍋が高温になったときは、鍋が冷めるまで放置してから洗剤などで洗いましょう。

ステンレス製のフライ返しなど金属製の調理器具は、ホーロー鍋の表面のコーティングを傷つけてしまう可能性があるため、使用しないようにしましょう。調理器具だけでなく、頑固な焦げ付きなどを落とすときに使われることが多い金属たわしも、コーティングが剥がれる原因になります。

調理の際には、ホーロー鍋のコーティングを傷つけにくい木製や竹製の調理器具、手入れのときは柔らかいスポンジを使うことが大切です。

炒め物や煎り物などの料理は少量の油しか使わないことが多く、ホーロー鍋には不向きです。調理方法によっては空焚きに近い状態になるため、焦げ付くだけでなく、ホーロー鍋のコーティングが剥がれたり割れたりする原因になります。ホーロー鍋は基本的に煮込み料理や揚げ物などに使いましょう。

中には特別な加工で炒め物も可能な商品もあります。どうしても炒め物にホーロー鍋を使いたい場合は、そうした商品を探しましょう。

ホーロー鍋で煮込み料理をする場合は、焦げ付かない方法で煮込むことも大切です。調理中、十分にかき混ぜるだけでも、底に焦げ付きが発生するのを防げます。特にカレーやシチューなどのとろみがある料理はこまめにかき混ぜないと、鍋底へ食材がくっ付いて焦げてしまう可能性があります。鍋底から全体をさらうようにしてかき混ぜれば、料理全体を均等に加熱でき、焦げ付きません。

ホーロー鍋を使って調理する前には少量の油を入れ、全体に馴染ませておくことで焦げ付きを防げます。垂らした油はキッチンペーパーなどで塗り広げ、弱火で3分程度加熱すると鍋に十分馴染みます。油を引くことで鍋の中の急激な温度変化を防げるため、ホーロー鍋の表面のコーティングが傷付きません。

ホーロー鍋は、金属にガラス質を焼き付けて作られているため、水分が残っていると金属部分がサビてしまうことがあります。洗った後は十分に乾燥させましょう。鍋の外側や内側だけでなく、蓋の表面に残っている水滴も忘れずに清潔な布で拭き取るなど、丁寧な手入れが大切です。ただし、ホーロー鍋を乾燥させるために空焚きしたり、食器乾燥機などに入れたりすると、コーティングが割れてしまう可能性があるのでやめましょう。

ホーロー鍋の中にはさまざまな調理方法に柔軟に対応できるよう、コーティングやデザインにこだわっている商品も数多くあります。ディノスの取り扱い商品の中から使い勝手の良いホーロー鍋を3点紹介しましょう。