神田明神と将門塚

今年2019年５月は新たな元号のスタートを切る月となりました。「令和」のスタートを祝うかのように、改元直後の東京では約1300年もの長い歴史を持つ神社の祭礼が執り行われます。神田明神の神田祭です。

今回は神田祭で賑わう神田明神を訪ねます。

奈良時代初期にあたる天平２年（730年）、当時、芝崎村と呼ばれ、現在の千代田区大手町に立つ将門塚周辺に神田明神は創建されました。その後、太田道灌などの名立たる武将に厚く崇敬されましたが、大きな転機となったのが関ヶ原の戦いでした。

江戸城を居城とした徳川家康は関ヶ原の戦いに臨む前に、江戸城近くに鎮座する神田明神に戦勝を祈願しました。その甲斐あって家康は勝利を収め、やがて江戸幕府を開くことになります。戦いに勝利した日は、神田明神の祭礼日でもある９月15日でした。その縁起の良さを喜んだ家康により、幕府がその祭礼をバックアップすることになりました。それ以降、神田明神は歴代の将軍によって厚く崇敬される神社となったのです。

元和２年（1616年）には、江戸城からみて北東の地、表鬼門を守護する場所にあたる現在地に遷座し、幕府により社殿が造営されました。まずは、それまで800年近くも鎮座していた神田明神創建の地からお参りしましょう。

祭神にもなっている平将門を祀る将門塚です。 今年2019年５月は新たな元号のスタートを切る月となりました。「令和」のスタートを祝うかのように、改元直後の東京では約1300年もの長い歴史を持つ神社の祭礼が執り行われます。神田明神の神田祭です。

今回は神田祭で賑わう神田明神を訪ねます。

奈良時代初期にあたる天平２年（730年）、当時、芝崎村と呼ばれ、現在の千代田区大手町に立つ将門塚周辺に神田明神は創建されました。その後、太田道灌などの名立たる武将に厚く崇敬されましたが、大きな転機となったのが関ヶ原の戦いでした。

江戸城を居城とした徳川家康は関ヶ原の戦いに臨む前に、江戸城近くに鎮座する神田明神に戦勝を祈願しました。その甲斐あって家康は勝利を収め、やがて江戸幕府を開くことになります。戦いに勝利した日は、神田明神の祭礼日でもある９月15日でした。その縁起の良さを喜んだ家康により、幕府がその祭礼をバックアップすることになりました。それ以降、神田明神は歴代の将軍によって厚く崇敬される神社となったのです。

元和２年（1616年）には、江戸城からみて北東の地、表鬼門を守護する場所にあたる現在地に遷座し、幕府により社殿が造営されました。まずは、それまで800年近くも鎮座していた神田明神創建の地からお参りしましょう。

祭神にもなっている平将門を祀る将門塚です。

天慶３年（940年）、朝廷に叛逆して討たれた平将門の首は京都に送られて晒されましたが、その首が故郷を目指して飛んで行ったそうです。しかし、途中で力尽きて落ちてしまった場所が、この将門塚だそうです。三井物産ビルの東側にあたります。

現在では、将門塚周辺の大手企業で構成される「史蹟 将門塚保存会」が結成され、毎年９月の彼岸の日には将門塚の例祭が執り行われています。 天慶３年（940年）、朝廷に叛逆して討たれた平将門の首は京都に送られて晒されましたが、その首が故郷を目指して飛んで行ったそうです。しかし、途中で力尽きて落ちてしまった場所が、この将門塚だそうです。三井物産ビルの東側にあたります。

現在では、将門塚周辺の大手企業で構成される「史蹟 将門塚保存会」が結成され、毎年９月の彼岸の日には将門塚の例祭が執り行われています。

天下祭と将軍上覧

現在、神田祭は５月の第２週に執り行われていますが、江戸時代は９月15日が祭礼日となっていました。江戸の町では様々な祭礼が執り行われており、なかでも神田祭は日枝山王権現（現日枝神社）の祭礼・山王祭と並び称される祭礼でした。

神田祭と山王祭（祭礼日は６月15日）は２年に１度、交互に執り行われることになっていました。幕府から費用の一部が補助されるだけでなく、神輿を中心とする祭礼行列が江戸城内に入ることも許され、将軍御上覧の栄誉に浴したのです。

これにより、神田祭は「天下祭」と呼ばれるようになりました。天下一の祭礼ということなのでしょう。

祭礼行列が城内に入るのを幕府が許したのは、江戸っ子と将軍との一体感を感じさせるためでした。神田祭も山王祭も、将軍のお膝元にいることを実感させるのにまたとない機会だったのです。ですから、祭礼日はたいへんな盛り上がりをみせていました。

今年の神田祭のクライマックスの神幸祭と神輿の宮入りは、５月11日と12日に執り行われることになっています。 現在、神田祭は５月の第２週に執り行われていますが、江戸時代は９月15日が祭礼日となっていました。江戸の町では様々な祭礼が執り行われており、なかでも神田祭は日枝山王権現（現日枝神社）の祭礼・山王祭と並び称される祭礼でした。

神田祭と山王祭（祭礼日は６月15日）は２年に１度、交互に執り行われることになっていました。幕府から費用の一部が補助されるだけでなく、神輿を中心とする祭礼行列が江戸城内に入ることも許され、将軍御上覧の栄誉に浴したのです。

これにより、神田祭は「天下祭」と呼ばれるようになりました。天下一の祭礼ということなのでしょう。

祭礼行列が城内に入るのを幕府が許したのは、江戸っ子と将軍との一体感を感じさせるためでした。神田祭も山王祭も、将軍のお膝元にいることを実感させるのにまたとない機会だったのです。ですから、祭礼日はたいへんな盛り上がりをみせていました。

今年の神田祭のクライマックスの神幸祭と神輿の宮入りは、５月11日と12日に執り行われることになっています。

境内の新たな名所

神田祭以外の時期も、神田明神の境内ではいろいろな催しが行われています。最近、神田明神文化交流館（「ＥＤＯＣＣＯ」）という新しい施設が登場しました。

現在、神田明神では創建1300年記念事業の一環として境内の整備を進めており、去年12月、伝統文化の継承と新たなる文化の発信を目指し、文化交流館が活動を開始しました。同館にはイベントホールのほか、江戸の粋を今に伝える土産物や食事も楽しめるコーナーが設けられています。伝統芸能を楽しめるスタジオもあります。 神田祭以外の時期も、神田明神の境内ではいろいろな催しが行われています。最近、神田明神文化交流館（「ＥＤＯＣＣＯ」）という新しい施設が登場しました。

現在、神田明神では創建1300年記念事業の一環として境内の整備を進めており、去年12月、伝統文化の継承と新たなる文化の発信を目指し、文化交流館が活動を開始しました。同館にはイベントホールのほか、江戸の粋を今に伝える土産物や食事も楽しめるコーナーが設けられています。伝統芸能を楽しめるスタジオもあります。

境内にはいくつかの摂社のほか、様々な記念碑が立っています。時代劇でお馴染みの『銭形平次』の石碑もあります。

野村胡堂原作の『銭形平次捕物控』の主人公である岡っ引きの平次が、神田明神下で活躍していたことから、昭和45年（1970年）に日本作家クラブか発起人として建立しました。平次の記念碑の横には、子分のがらっ八の小さな石碑も立っています。 境内にはいくつかの摂社のほか、様々な記念碑が立っています。時代劇でお馴染みの『銭形平次』の石碑もあります。

野村胡堂原作の『銭形平次捕物控』の主人公である岡っ引きの平次が、神田明神下で活躍していたことから、昭和45年（1970年）に日本作家クラブか発起人として建立しました。平次の記念碑の横には、子分のがらっ八の小さな石碑も立っています。

江戸時代より神田明神を見守り続けた貴重な御神木も男坂の横に残されています。

関東大震災で社殿は火に包まれ、境内の建物などは全焼の憂き目に遭いましたが、唯一焼け残ったのがこの公孫樹（イチョウ）でした。残念ながら、親木は枯れ木となったため上部が伐採されてしまいましたが、親木から生え育った芽は立派な樹木となり、今も親木を支えています。

境内には、神田祭の歴史を知ることのできるジオラマや神田明神を描いた浮世絵などが数多く展示されている資料館もあります。神田祭が終わった後も、その余韻に浸ることができるようになっているのです。 江戸時代より神田明神を見守り続けた貴重な御神木も男坂の横に残されています。

関東大震災で社殿は火に包まれ、境内の建物などは全焼の憂き目に遭いましたが、唯一焼け残ったのがこの公孫樹（イチョウ）でした。残念ながら、親木は枯れ木となったため上部が伐採されてしまいましたが、親木から生え育った芽は立派な樹木となり、今も親木を支えています。

境内には、神田祭の歴史を知ることのできるジオラマや神田明神を描いた浮世絵などが数多く展示されている資料館もあります。神田祭が終わった後も、その余韻に浸ることができるようになっているのです。