小児科医・吉岡春菜の季節コラム Vol.06
小さな子どもの夏対策
年々夏の暑さが増しているように感じます。
夏といえば脱水への配慮が大切なことはCMや雑誌などでもよく目にするようになりました。
子どもは大人よりも体内の水分量が多く、とくに細胞外液と呼ばれる水分量の割合が大きいため、下痢や発熱などで容易に脱水状態に陥ってしまいます。
また子どもの腎臓の機能は成人に比べると未熟であるため、脱水状態でも濃い尿を作ることができず更に水分を喪失やすいという性質があります。
小さな子どもが脱水状態にあるかどうか、何をどのように見て判断したらよいでしょうか。
ポイントは3つプラス1つです。
ポイントその@体重
体重減少は脱水の程度を評価するためにとても大切な情報になります。
時々、入浴前に同じ条件(オムツの有無、食前食後などの条件)でお子さんの体重を測る習慣があれば、病院で普段の体重を突然尋ねられても慌てずにすみますね。
ポイントそのA皮膚や粘膜の状態
泣いているのに涙が出ていない、口の中が乾燥している、お腹の皮膚にいつものような張りがないことなどが目で確認できるポイントです。大切な臓器を優先して守りたいので、身体の表面にある皮膚や粘膜の水分量は脱水初期から減少しやすくなります。涙の量や口の中、皮膚の状態は脱水状態かどうか目で確認できる場所なんだと覚えてもらえると嬉しいです。
ポイントそのB尿の量
オムツをしているお子さんの場合は、一日のオムツ交換の回数、オムツを外して手に持ったときの重さや尿の色の濃さを普段から注意して観察してみてください。脱水かなと疑うのはオムツ交換回数が少ない時、オムツの重さが軽いとき、尿の色が濃いときです。
自分でトイレに行けるお子さんならば、トイレの回数、尿の色の濃さを注意して確認してみてください。
最後は、「様子がいつもとどこか違う」という普段のお子さんの様子を知っている大人の感覚です。いつもと様子が違うと感じたら、3つのポイントについても注意してみてください。
もしもお子さんが発熱や嘔吐、下痢をしていて上記のようなポイントから脱水を疑う場合は、水ではなく塩分や糖分を含んだ水分を少量頻回に摂取することが大切です。 スプーンで一口ずつゆっくりと飲ませてあげてください。 また、症状が改善されないようでしたら、お早めに、かかりつけの小児科医にご相談ください。