オーブンとグリルはどちらも料理に欠かせない調理家電ですが、機能や特徴に違いがあります。見た目は似ていても、加熱の仕組みや仕上がりには大きな違いがあるので、用途に応じて使い分けることが大切です。オーブンとグリルの違いを正しく理解することで料理の幅が広がり、毎日の料理をより楽しめるようになります。

オーブンとグリルの大きな違いは加熱の方法です。オーブンでは、庫内全体を加熱しながら、食材に熱を加えていきます。このため、食材全体が均一に加熱され、内部までしっかり火が通るのが特徴です。加熱方式には、大きく上下ヒーター方式とコンベクション方式の2種類があります。

一方でグリルは、食材を徐々に加熱するのではなく、ヒーターの熱を表面に直接当てて、高温で一気に焼き上げます。上部だけにヒーターがあるタイプと上下にヒーターがある2タイプがありますが、いずれも短時間で調理できるのが特徴です。
オーブンはパンやケーキのほか、ハンバーグなど全体を均一に加熱する料理に向いており、グリルは肉や魚の表面を香ばしく仕上げたいときに向いています。

オーブンとグリルの大きな違いは加熱方法で、オーブンは食材の内部まで時間をかけて加熱するのに対し、グリルは短時間で表面から焼き上げます。オーブンは庫内全体の温度を一定に保ち、熱風で食材全体を加熱できるため、ケーキやクッキーなどのお菓子づくりや、グラタンやラザニアなどの調理に適しています。

一方でグリルはオーブンとは違い、内部まで加熱が必要なケーキやハンバーグなどには向いていません。グリルは食材の表面に焼き目を付ける調理に適しており、短時間で香ばしく仕上げられます。また、野菜や焼き魚などをオーブンで加熱すると水分が抜けやすくなるので、しっとり仕上げたい場合は加熱時間や温度に注意する必要があります。

オーブンはローストビーフやローストチキンなど、内部までゆっくり火を通す必要がある食材に適しており、うまみを逃さず内部まで加熱できるのが特徴です。ローストビーフであれば、内側は美しい赤身色に仕上がり、外側にはきれいな焼き色がついた状態に仕上がります。

一方でオーブンとは違い、グリルは熱を直接食材に当てて加熱するので、表面に焼き色を付けられます。薄い魚や肉などは外側がこんがり香ばしく、中はしっとりと仕上がるのが特徴です。また、グリルは火力が強いためトーストも外側はこんがり焼け、中は柔らかく弾力のある仕上がりになります。

オーブンとグリルの大きな違いには、調理時間もあります。オーブンは30分から60分ほどの比較的長時間の加熱が必要です。また、オーブンは庫内全体を温める必要があり、予熱にも10分から15分程度かかります。一方グリルはオーブンとは違い、強火で一気に加熱できるので、焼き魚の場合は約5分ほどで仕上がります。

ただし、グリルは両面焼きか片面焼きかで調理時間が変わることもあるため、レシピや取扱説明書をよく確認しましょう。

オーブンとグリルはどちらも食材を加熱して調理しますが、加熱の仕方や仕上がりの特徴には大きな違いがあります。それぞれの機能や特徴の違いを理解することで、焼き菓子やロースト料理、魚のグリルなど、料理に合わせて上手に使い分けられるようになるでしょう。使い分けの方法や使うときの注意点を具体的に紹介します。

オーブンの機能は、ケーキなど手の込んだ料理を日常的に作る人や、ローストビーフやチキンなど時間のかかる本格的な料理を作りたい人に適しています。レンジのように手早く加熱できる機能を兼ね備えたオーブンもあり、下ごしらえや温めにも活用できます。

グリルとの違いは、オーブンが内部までゆっくり食材に火を通す点です。これによって低温調理で作るローストポークやローストビーフなども作れます。さらに、フライパンでは焦げてしまったり、生焼けになったりする可能性がある煮込みハンバーグもオーブンであれば柔らかく仕上げられます。

オーブンの機能を使うのに最適な人
・お菓子作りが好きな人
・本格的な料理を作りたい人

オーブンの機能を使う場面
・ゆっくり火を通したい料理
・低温で時間をかけて調理する料理
・中まで均一に熱を通したい肉料理

グリルはオーブンとは違い、強火で一気に表面を焼き上げるので、焼き魚であれば表面の魚の皮がこんがり焼けて中身は柔らかく仕上がります。そのため、魚好きの人にはグリルは最適な調理器具です。毎日の献立に悩んでいる人も、生野菜や薄い肉をグリルで焼くだけで、香ばしさをプラスできます。

また、冷凍ピザを加熱するときにグリルを使えば表面はこんがり焼けて、中は柔らかく弾力のある生地になります。

グリルの機能を使うのに最適な人
・焼き魚をよく食べる人
・日々の献立を考えるのが負担に感じる人

グリルの機能を使う場面
・短時間で表面に焼き色を付けたい料理
・香ばしく仕上げたい薄い肉や魚
・外側はこんがり、中は柔らかく仕上げたい冷凍食品

オーブンやグリルを使う場合には、必ず食材を入れる皿が必要です。それぞれの調理に対応できる耐熱皿でなければなりません。さらに、オーブンには電子レンジの機能が付いている場合もあります。オーブンと電子レンジでは使用できる容器が異なるので、説明書をよく確認しましょう。電子レンジ機能でグリル皿や角皿を入れると加熱に時間がかかったり、火花が散ったりする可能性があり、注意が必要です。

オーブンとグリルでは使える皿に大きな違いはなく、どちらもオーブン用の皿や直火対応の耐熱容器を使えます。ただし、グリルは庫内の高さや横幅が限られるため、皿のサイズもよく確認しましょう。

オーブンとグリルは加熱方法が異なり、仕上がりにも大きな違いがあります。この違いを理解すれば、料理ごとに最適な機能を選べるようになり、焼き菓子や肉料理、魚料理など幅広い料理を作れるようになるでしょう。それぞれの機能に合った料理を紹介します。

オーブンはグリルとは違い、内部までじっくり火を通す必要があり、時間がかかる本格的な料理や手の込んだ料理に適しています。そのため、焼き菓子を作る人には欠かせません。オーブンの機能選択で低温調理も可能なので、鶏肉料理やローストビーフなどゆっくり時間をかける料理にも最適です。

また、グラタンやラザニア、煮込みハンバーグなど、厚みがあり中まで火が通りにくい料理にも向いていて、チーズが中まで火が通っていなかったり、肉が生焼けになったりといった失敗も避けられます。さらに、パーティ料理に本格的なパエリアを作ってみても良いでしょう。

オーブンで美味しく作れる料理
・クッキー
・ケーキ
・ローストビーフ
・ローストポーク
・グラタン
・ラザニア
・煮込みハンバーグ
・パエリア

オーブンレンジとは違い、グリルは短時間で食材の表面を香ばしく焼き上げられるのが特徴です。魚焼きグリルであれば、食材をムラなく加熱できるため、店で食べられるような本格的な焼き魚や香ばしい肉料理を自宅でも手軽に楽しめます。

チキンや生野菜は一口大にカットしてグリルで加熱すると、表面は香ばしく、中はジューシーに仕上がります。冷凍ピザもグリルで焼けば、柔らかい生地の食感を楽しめるでしょう。さらに、普段食べているおにぎりもグリルを使えば、焼きおにぎりになり、香ばしさや風味を楽しめます。

グリルで美味しく作れる料理
・秋刀魚の塩焼き
・鮭のホイル焼き
・焼きナス
・野菜のグリル焼き
・グリルチキン
・タンドリーチキン
・焼きおにぎり
・ピザ

オーブンレンジとグリルは加熱方法や調理時間、仕上がりの違いなどそれぞれに特徴がありますが、実際どちらを選べばよいのかわからない、と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。オーブン機能とグリル機能を兼ね備えた製品もありますが、やはり価格が高くなってしまいます。オーブンとグリルのどちらかを購入しようと考えている場合、どのようなポイントで選べばよいのかを紹介しましょう。

オーブンの加熱方式は主に、「ヒーター方式（上下ヒーター式）」と熱風を循環させる「コンベクション方式」の2種類があります。また、最高温度も機種によって違いがあるので、自分の作りたい料理に合わせ、加熱方式や最高温度を確認したうえで、商品を選びましょう。

ヒーター方式は、上下のヒーターで加熱するため、庫内の位置によって焼きむらが出やすいのが欠点です。コンベクション方式は、庫内のファンが熱風を均等に循環させることで、焼きむらを抑えます。特にお菓子作りを楽しみたい場合は、コンベクション方式のほうが良いかもしれません。

また、オーブンはサイズを事前に確認してから購入しましょう。一人暮らしであれば20L未満のタイプ、家族がいるのなら25Lから29L程度のタイプが最適です。さらに、オーブンの設置場所を考える必要もあります。本体を置くスペースと扉を開けるスペース、放熱用のスペースを確保できるよう設置場所を決めましょう。

オーブン選びのチェックポイント
・加熱方法や最高温度を確認する
・オーブンの容量を確認する
・サイズと設置スペースを考える

グリルを購入する際は、両面焼きか片面焼きかを確認しておかないと、調理時間に大きな違いが出るので注意が必要です。片面焼きは食材を途中でひっくり返す必要があるため、両面焼きに比べて手間が掛かります。短時間で調理をしたい人やひっくり返すのがやや面倒な人には両面焼きが向いています。

また、魚焼きグリルの場合はグリルの幅や高さを測ってから購入しましょう。高さのあるグリル皿や大家族で大量の魚を一度に焼きたい場合、グリル皿が庫内に入らなかったり、食材を全て置けなかったりすることがあります。

グリル選びのチェックポイント
・両面焼きか片面焼きか確認する
・グリルの横幅や高さを確認する

オーブンとグリルは似た機能を持つものの、加熱方法や仕上がりに大きな違いがあります。オーブンとグリルの機能や使い方の違いに関して、よくある疑問をQ&A形式で紹介します。それぞれの違いを理解して、購入時に納得して選べるようにしましょう。

A.1 オーブンで作れるケーキやローストチキンなどを、グリルで代用するのは困難です。その理由は、ケーキや分厚い肉は内部までしっかり火を通す必要があり、温度調整や加熱のムラを防ぐ点で、オーブンの方がグリルよりも適しているからです。

逆にグリルが適している焼き魚や焼き野菜などをオーブンで焼くと加熱に時間がかかり、水分が抜けて食感や風味が損なわれてしまうことがあります。

A.2 オーブン、グリル、トースターの大きな違いは加熱方法です。トースターは電熱線の熱で食材を加熱します。オーブンは庫内で熱風を循環させて対流熱で加熱し、グリルは直接火を当てながら、対流熱も使いながら食材を加熱します。

このように加熱方法の違いにより、トースターはオーブンのように熱風を循環させられず、厚みのある食材を中まで加熱するのが困難です。そのため、トーストなど薄めの食材を選び、表面をこんがり焼くのに向いています。

A.3 オーブンと魚焼きグリルの違いも加熱方法にあります。魚焼きグリルは直火式のヒーターで上下から食材を焼くという加熱方法で、多くの場合、ガスコンロやIHクッキングヒーターに内蔵されており、加熱は片面タイプと両面タイプに分かれます。一方オーブンは直接加熱するのではなく、庫内で熱風を循環させ、対流熱で食材を加熱するのが違いです。

オーブンとグリルのどちらかを選ぼうかと悩んでいる人に、おすすめのオーブンとグリルを紹介します。それぞれの機能の違いをよく確認して、自分にあった商品を選びましょう。