椅子はデザインだけでなく、サイズにこだわって選ぶことも重要です。大きすぎると場所を取り、小さすぎると座り心地が悪くなります。平均的な椅子のサイズや自分にあった大きさの選び方などについて解説します。

椅子の座面幅は、座る部分の最大の横幅を測った寸法です。平均的な椅子の座面幅は約40〜45cmで、この範囲であれば多くの人が快適に座れます。オフィスチェアや大きい体格の人向けの椅子では、座面幅が50cm以上のものもあります。

椅子の座面の奥行きは、40〜45cmが平均的なサイズです。座面の前後の長さを測定した寸法で、背もたれがある椅子の場合は、背もたれに触れる一番手前から座面の前までの長さを指します。椅子の前から後ろまで平行に測定する「全体の奥行き」の寸法と混同しないように注意しましょう。

椅子の全体の高さは、背もたれの有無によって変わります。背中の半分が支えられるほどの椅子であれば、背もたれの高さは30〜50cm程度です。椅子全体の高さは、一般的な座面高約40cmに、背もたれを足した約80〜90cmほどが平均です。背もたれの高いハイバックタイプの椅子では、全体の高さが100cm以上になります。

椅子の座面高とは床から座面までの高さのことで、約40〜45cmに設定されていることが多いようです。座面高は身長によって適切な高さが異なり、身長の約4分の1が最適な高さと言われています。足裏全体が床にしっかりと着く高さが理想的で、姿勢も安定します。

椅子の肘掛けは、座面から20〜25cm程度の高さになっていることが多く、座面高と合わせると床から測って約60〜65cmが平均的な寸法です。肘掛けに腕を置いたときに、肩が上がらず自然な姿勢になる高さが適切です。肘掛けの高さが合わないと肩や首に負担がかかります。

椅子の種類によって、平均的な寸法の目安は異なります。リビングで使うならやや座面幅が広く、奥行きが深めの椅子を選ぶとゆったりくつろげます。ダイニングチェアやデスクチェアのように、机と組み合わせて使う椅子なら、座面と机の差尺も考えることも必要です。

椅子の寸法が体格やテーブルと合っていないと姿勢の乱れや疲労、ストレスの原因になります。それだけに、快適に過ごすには適切なサイズの椅子を選ぶことが大切です。椅子の寸法や大きさが合わないと、次のような問題が生じやすくなります。

・座面高が合わないと姿勢が乱れやすい
・幅や奥行きが合わないとくつろぎにくい
・肘掛けの高さが合わないとテーブルと干渉しやすい

座面高が体格に合わない椅子は、姿勢の悪化を招き、腰痛や肩こりの原因となります。座面が高すぎるサイズだと足が床につかず、不安定な姿勢になりがちです。逆に低すぎる寸法だと、立ち上がる際に腰に負担がかかり、疲労を感じやすくなります。

特に、長時間のパソコン作業などで使用する椅子の座面高が合っていないと、前のめりになったり、猫背になったりして悪い姿勢が習慣になってしまうので気を付けましょう。

椅子の幅や奥行きの寸法が体格に合っていないと、快適な座り心地を得られません。お尻周りがきっちり収まる座面幅や、背もたれに背をつけた際に膝裏に圧迫感のない奥行きが理想です。

また、使用する目的によって幅や奥行きを決めることも大切です。のんびり過ごすための椅子なら奥行きが深めのものでも構いませんが、仕事や勉強に使う椅子の場合、奥行きが深すぎると姿勢が乱れて疲れてしまいます。

肘掛けの高さがテーブルの天板と合わないと、姿勢が悪くなり作業効率も下がります。肘掛け部分がテーブルに当たると椅子を十分に近づけられず、無理な体勢で作業を行うことになります。長時間のデスクワークでは、肩こりなど身体への負担を感じやすくなるかもしれません。また、肘掛けが邪魔になり、テーブルの下に収納できないと部屋のスペースを圧迫してしまいます。

椅子選びで、サイズや大きさは快適な座り心地と作業効率を左右する重要な要素です。寸法、大きさを決める際は、使う人の体格と使用目的に合わせることも欠かせません。次のようなポイントに着目して、椅子を選びましょう。

・椅子の幅：体格・使用目的
・椅子の奥行き：使用時間・使用目的
・椅子の高さ：使用目的・身長
・椅子の座面高：テーブルとの差尺・身長
・椅子の肘掛けの高さ：テーブルとの差尺

体格に合わない幅の椅子は、窮屈に感じたり、姿勢が悪くなったりする原因になります。お尻を左右にずらしても身体が椅子からはみ出なくて、身体を斜めに動かすことができるくらいの幅が適切です。また、会議や作業など、使用目的によっても適切な幅は異なります。ゆったりと座りたい場合は、広めの幅を選ぶと良いでしょう。

椅子の奥行きのサイズは、深く腰掛けた際に、背もたれと背中の間に握りこぶし一つ分のスペースができる程度が適切です。そのうえで、使用する目的や時間の長さによって奥行きの選び方を変えることも大切です。

リビングで長時間くつろぐのが目的なら、座面の奥行きがやや深めで傾斜がある椅子が良いでしょう。一方、仕事などの作業用なら、座面が深すぎず傾斜も少ない椅子にすると背筋が伸びて良い姿勢がとりやすくなります。

背もたれを含む椅子の全体の高さは、部屋の印象や快適な座り心地に影響します。デスクワークや読書など長時間同じ姿勢を保つときは、背もたれのあるハイバックチェアが適しています。しかし、背の高い椅子は圧迫感が生まれ、部屋が狭く感じられるかもしれません。

一方で、背もたれがない低い椅子はくつろぎにくいのが難点ですが、部屋が広く見えるメリットがあります。頻繁に立ち座りする人や、短時間の作業でしか使わないという人には、背もたれのない椅子のほうが向いているでしょう。

アームチェアの場合は、テーブルに肘掛けがぶつからないように差尺を考えて選ばないといけません。特に、テーブルの天板下に幕板と呼ばれる補強板や、引き出しがついているものは肘掛けが当たりやすいので注意が必要です。ちょうど良い椅子が見つからないときは、ハーフアームタイプの椅子や、肘掛けの高さを調節できるオフィスチェアを選ぶと良いでしょう。

椅子を選ぶときには、椅子本体のサイズだけでなく、使う人や場所、収納方法なども考えることが大切です。次のような点に注意して、自分に合った椅子を見つけましょう。

・身長・体格に合った寸法（サイズ）を選ぶ
・他の家具・部屋に合った寸法（サイズ）を選ぶ
・収納時を考慮して寸法（サイズ）を選ぶ

既製品の椅子の多くは、一般的な日本人の体型に合わせて40〜42cmの座面高で作られています。この座面高は、身長が160〜170cmの人には適したサイズですが、小柄な体格の女性や高身長の男性には不向きです。

また、海外製の椅子もその国の平均サイズで作られており、日本人の身長や体格には合わないことがあります。海外製品はおしゃれで素敵ですが、デザイン性だけにとらわれず、体型に合った椅子を選びましょう。

椅子を選ぶ際は、部屋の広さや他の家具とのバランスも考慮しましょう。特に、ダイニングテーブルやデスクと組み合わせる場合は、高さや奥行きが適切かを確認することが大切です。部屋の広さに合わない大きな椅子は、圧迫感を与え、動きにくい空間にしてしまう可能性があります。

ダイニングテーブルやオフィスデスクと組み合わせるなら、肘掛けや横幅が机の下に収まる寸法の椅子を選びましょう。椅子がテーブル下から飛び出していると、部屋のスペースを無駄に占領してしまいます。

また、来客時や一時的に使用する椅子を選ぶ場合も、収納時のことを考慮しましょう。折りたたみ式やスタッキングできる椅子は、使わないときにコンパクトに収納できるため、場所を取りません。収納場所の寸法を事前に確認し、適切なサイズの椅子を選ぶことが大切です。

自分の体格や身長にちょうど良いサイズでもデザインが好みでなければ、椅子で過ごす時間がつまらないものになりかねません。また、カラーや素材がインテリアにマッチしていないと、部屋の雰囲気を壊すこともあります。サイズ以外にも、次のような点に着目しましょう。

・使用目的に合った種類を選ぶ
・座面の素材で選ぶ
・部屋に合ったカラーを選ぶ

椅子の座面の素材は、座り心地や見た目、手入れのしやすさに影響します。ファブリック素材は肌触りがよく、長時間座っても疲れにくいのが特徴です。ナチュラルテイストのほか、和室などどのようなインテリアにもよく馴染みます。

手入れのしやすさを重視するなら合成皮革が適しており、高級感のあるホテルのような雰囲気を醸し出したいのなら本革素材が最適です。最近では、メッシュ素材を使った通気性の良い椅子も人気を集めています。どのような点を重視するかによって、素材の選び方も変わります。

椅子のカラーは、部屋の印象を大きく左右します。北欧スタイルならベージュやパステルカラー、ビンテージ風のインテリアなら落ち着きのあるブラウンなど、部屋のテーマやテイストに合わせて選ぶと統一感が出ます。迷ったときは、どのような部屋にも合わせやすいアースカラーやグレーを選ぶと失敗しません。

椅子のサイズに関するよくある疑問への答えをQ&A方式で紹介します。

A.1　椅子の寸法はアルファベットで表記されています。アルファベットのSWは座面の左右の幅を指し、SDは座面の前後の奥行きの寸法です。高さの表記は2種類あるので、間違えないよう注意しましょう。

床から背もたれの上端までの椅子全体の高さはHで表します。床から座面までの高さを指す座面高はSHと表記され、使用する机との高さにも関わる重要な寸法です。肘掛けの高さは床から肘掛けの上端までの長さで、AHと表記されています。

寸法の主な表記
座面幅：SW
座面奥行き：SD
全体の高さ：H
座面高：SH
肘掛けの高さ：AH

A.1　体格に合わない寸法の椅子は、姿勢が悪くなりやすく、疲れや体の痛みを引き起こす原因となります。姿勢が安定しないと、集中力も低下し、作業効率が悪くなってしまいます。 また、椅子が部屋のスペースに対して大きすぎると動きづらく、見た目にも圧迫感を与えます。部屋の広さや使う人の体格を考慮し、適切なサイズの椅子を選びましょう。

大きすぎる寸法の椅子を使うデメリット
・姿勢が乱れる
・スペースを圧迫する
・集中力が低下する

快適な座り心地とデザイン性を兼ね備えた、おすすめの椅子を5点紹介します。テレワークやリラックスタイムに最適な高機能チェアから、インテリアのアクセントになるおしゃれなデザインチェアまで幅広く選びました。

おしゃれで素敵な椅子でも、サイズが合わず快適に使えなければ台無しです。平均的な椅子の寸法や、体格に応じたサイズの選び方を知っておくと、椅子選びで失敗しません。使用する目的や体型に合うサイズを考え、お気に入りの椅子を見つけましょう。