キッチンカウンターとは、対面キッチンとダイニングを仕切る台のことです。キッチンカウンターがあることでキッチンでの作業効率が上がったり、家族とのコミュニケーションがとりやすくなったりと、さまざまなメリットがあります。

キッチンカウンターは高さによって使い勝手が大きく変わるため、キッチンカウンターの高さ選びは快適な暮らしを実現するための重要なポイントとなります。この記事では、キッチンカウンターの理想の高さについて詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。

ローカウンターは、高さ70cm前後のカウンターです。一般的なダイニングテーブルと同じくらいの高さで、椅子に座って作業するのにちょうどよい高さになります。そのため、カウンターに座って長時間の作業をしたい場合にはローカウンターがおすすめです。一方、立った状態で作業するには台が低く、作業しにくいと感じる高さとなっています。

ミドルカウンターは高さ85cm前後のサイズで、立って作業するのにちょうどよい高さです。現代ではこのミドルカウンターがキッチンカウンターの主流といわれており、平均的な身長の女性が作業するのにちょうどよい高さとなっています。

しかし、座って作業する場合には、一般的なダイニングチェアよりも高さのある椅子が必要になります。人によっては椅子に座っても足裏が床につかず、不安定な姿勢になって作業しにくくなる場合があるため、注意が必要です。

ハイカウンターとは、カウンターの高さが110cm前後のサイズのものを指します。バーのカウンターをイメージするとわかりやすく、立った状態で作業するのに適した高さです。座って使う場合は、75cm前後の高さのある椅子が必要となります。この場合、椅子に座っても足裏は床につかない状態となるため、長時間座って作業するのには不向きでしょう。

キッチンカウンターの高さは、70cm・85cm・110cmの3種類に大きく分けられることがわかりましたが、一般的な高さはどのくらいなのか気になります。ここでは、キッチンカウンターの標準・平均の高さについて紹介するので、参考にしてください。

一般的に、キッチンカウンターのワークトップの高さは85cmが標準となっています。この高さは、「身長÷2+5cm」という計算式から算出された値で、女性の平均的な身長と男性の使いやすさから考えられた寸法です。日本人女性の平均身長は約160cmであるため、それをもとに計算すると、キッチンカウンターは約85cmが標準となります。

しかし、これはあくまでも標準的なサイズであり、体格や体型、腕の長さなどには大きな個人差があります。そのため、キッチンカウンターの高さを決めるときは、実際にキッチンを使用する人が「作業しやすい高さ」に合わせることが大切です。また、手元を隠すための「立ち上がり」を付ける場合は、カウンターの高さが床から110cm程度になることが多いです。

ここでは、キッチンカウンターの用途別の理想の高さについて詳しく紹介します。キッチンカウンターをどのように使いたいのか、という目的によって快適な高さが変わるため、自分の希望する目的・用途に合わせた高さ選びをしましょう。

用途別の理想的な高さ
・作業台:＋0cm
・仮置き場:＋10cm
・手元を隠す:＋20〜25cm
・バーカウンター:＋30cm

キッチンカウンターを作業台として使いたい場合は、段差のないフラットカウンターにするのがおすすめです。作業台とカウンターが同じ高さのため、カウンターを作業台の延長として広々と使うことができます。

また、フラットカウンターであればダイニング側からちょっとした作業をしたり、子どもが勉強をしたりするスペースも確保することが可能です。ただし、フラットカウンターは手元が丸見えになるため、生活感のないすっきりとした空間にしたい場合にはあまり適していません。

キッチンカウンターをちょっとした仮置き場として利用したい場合には、立ち上がり部分を10cm程度プラスした高さが理想的です。10cm程度の立ち上がりがあると、カウンターの上にお皿を置いて盛り付けをしたり、食後の片付けの際に一時的に食器を置いたりするような使い方ができます。

しかし、＋10cmのサイズでは手元を隠すのには不十分なため、カウンターの立ち上がりでキッチンを隠したい、という人はもう少し高さが必要となります。

作業台の手元をしっかりと隠したい場合には、立ち上がり部分を＋20〜25cm程度の高さにするのがおすすめです。このくらいのサイズであれば、キッチンの作業台に調味料や小物を置いていてもダイニング側からは見えず、すっきりとした空間を維持しやすくなります。

また、＋20〜25cmの高さであればカウンターの高さによる圧迫感も少なく、ダイニング側の様子も見やすいというメリットがあります。

キッチンカウンターをバーカウンターのように使いたい場合は、30cm程度の立ち上がりを設けるとよいでしょう。カウンターに高めの椅子を設置すれば、自宅に居ながらバーのような雰囲気を楽しめます。このサイズは作業台の目隠しにもなるため、ダイニングからの景色をすっきりと維持しやすい、というのもメリットのひとつです。

ただし、カウンター越しに物の受け渡しをするのにはやや不便な高さであるほか、圧迫感を感じることがあるため注意が必要です。

キッチンカウンターは一度設置すると簡単に変えることができないため、後悔しないよう慎重に高さ選びをする必要があります。ここでは、キッチンカウンターの高さを選ぶ際のポイントを詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

高さを選ぶ際のポイント
・身長
・肘の高さ
・カウンターに置く

キッチンカウンターは使う人の身長によって使い勝手が大きく変わるため、高さ選びの際は身長も考慮することが大切です。立った状態で作業することを想定している場合は、先述した「身長÷2+5cm」の計算式をもとに寸法を考えましょう。しかし、キッチンは夫婦や親子など、複数人で使用することも多いものです。

キッチンの使用頻度に大きな差がない場合は、背が高い人の身長を基準に高さを選ぶことをおすすめします。これは、キッチンが高い場合は踏み台を使用するなどの対処法がありますが、キッチンが低い場合は前屈みで作業するしか手段がないためです。カウンターを高くするか、低くするかで迷ったときには、高いほうを優先して選ぶとよいでしょう。

キッチンカウンターの高さを選ぶときは、身長だけでなく肘の高さも考えるようにしましょう。キッチンでの作業は「食材を切る」「食器を洗う」など、肘を起点に前腕を動かす動作が多いです。

そのため、キッチンカウンターの高さは、肘よりも10〜15cm程度低くすると使いやすいといわれています。身長が同じ場合でも腕の長さには個人差があり、肘の高さも異なるため、キッチンカウンターの高さで後悔しないためには肘の高さも考えるのがポイントです。

カウンターを飾り棚として使用したいと考えている場合は、カウンターに置く物のサイズも事前に考えておくことが必要です。特にカウンター上部に吊戸棚がある場合、大きめの写真立てや高さのある花瓶などは置けない可能性があります。置きたいものの寸法は事前に測るようにしておくと、キッチンカウンターの高さでの後悔を避けられるでしょう。

キッチンカウンターのサイズで迷ったときは、高さを調節できるキッチンカウンターにするのも選択肢のひとつです。高さが変えられるキッチンカウンターであれば、使う人や用途に合わせて、その都度高さを変更できます。最近では、ボタン操作で簡単にワークトップの高さ調整ができるものもあるため、気になる人はチェックしてみてください。

ここまでキッチンカウンターの高さについて説明しましたが、後悔しないキッチンカウンター選びのためには、高さ以外のポイントもあることを知っておきましょう。ここではキッチンカウンターの寸法や形、素材など、重視すべきポイントを紹介します。

高さ以外の重視すべきポイント
・寸法・サイズ（幅）
・カウンターの形
・素材
・カラー

カウンターはキッチンとダイニングの印象を大きく左右するため、素材選びも重要なポイントです。キッチンカウンターの素材には、天然の木材や樹脂化粧板、ガラスなどさまざまな種類があります。部屋の雰囲気に合わせて選択するほか、用途も考えたうえで選ぶようにすると、失敗が少なくなるでしょう。

例えば、天然木材などは柔らかい雰囲気を演出できますが、傷つきやすいというデメリットがあります。また、カウンターをデスクとして使用する予定の場合は、かための素材を選ぶと使い勝手が良くなるでしょう。

キッチンカウンターのカラー選びも、後悔しないための重要なポイントのため、部屋の雰囲気や好みに合わせて選択しましょう。キッチンやダイニングの壁、ドア、家具の色に合わせると統一感が出やすくなります。キッチンカウンターはサイズが大きく、部屋の中でも大きな面積を占めるアイテムになるため、部屋全体の色合いをイメージして考えるのがおすすめです。

ここでは、キッチンカウンターの高さに関するよくある質問に回答します。キッチンカウンターを設置したあとに後悔しないしないよう、事前に確認しておきましょう。

カウンターの高さが最適でないと、肩や腕、腰などに負担がかかりやすくなります。特に長時間の作業がしにくくなるため、人によってはキッチンでの作業が苦痛になってしまうかもしれません。また、カウンターの高さは作業効率だけでなく、腰壁とのバランスにおいても重要な要素になります。腰壁とは、対面キッチンに設置する床から腰の高さまでの壁のことです。

手元を隠したり、立ち上がりによってダイニングへの油はね・水はねを防ぐ機能性を備えたりしています。そのためカウンターの高さが最適でないと、腰壁の立ち上がりとのバランスが悪くなり、部屋の印象や作業性を下げてしまいます。収納スペースに差が出る場合もあるため、カウンターの高さは腰壁とのバランスも考えた選択が必要です。

備え付けのキッチンカウンターの高さを変えたい場合、リフォームによって高さ調整が可能です。キッチンリフォームでは、既存のカウンターの寸法を調整する方法と、キッチンをまるごと新しいものに入れ替える方法があります。既存カウンターの高さ調整をするリフォームは約10〜20万円が相場といわれますが、この金額はキッチンの寸法などでも大きく異なります。

また、キッチンを新しいものに入れ替える場合は、さらに100万円以上の費用がかかるようです。このように、キッチンカウンターの高さをあとから変えるのには大きな費用がかかるため、後悔しないように慎重に選びましょう。