日常的によく目にするスチール製の家具ですが、錆びないのでしょうか。スチールとはどのような素材か、錆びるかどうかを紹介します。スチール製の家具を購入する予定がある人は参考にしてください。

スチールは鋼とも呼ばれており、鉄が主成分の金属や合金の総称で、2.1％未満の炭素が含まれています。耐久性や耐熱性に優れており、安価で加工がしやすいのがメリットです。缶やラックなどの家具、自動車の部品などに多く使われています。

コストの低さや加工のしやすさがメリットのスチールですが、他の金属よりも錆びやすいのがデメリットです。そのため、基本的には塗料でコーティングするなど、防錆の加工がされています。

しかし、防錆の加工が施されていても水や空気に触れることで酸化し、金属の表面に茶色や赤茶色の錆びが形成されてしまいます。この赤錆を放置するとさらに酸化が進み、金属の内部までもろくなったり、穴が開いたりするため、定期的なコーティング剤の塗装が必要です。

防錆の加工が施されたスチールラックでも、経年劣化や紫外線などにより錆びることがあります。スチールラックの錆びが気になる人は、定期的に掃除したり、置く場所を工夫したりして、ホコリや水分が付着しにくくなるよう対策が必要です。スチールラックが錆びる原因を知って、腐食を防止しましょう。

スチールラックが錆びる原因
・湿気や結露による水分が付着したこと
・キズや塗装の剥がれから酸素や水分が侵入したこと
・塩分や薬品が付着して腐食を促進したこと
・風通しが悪く湿気がこもったこと
・長期間放置により汚れや湿気がたまったこと

スチールラックは、湿気が多い梅雨の時期や、温度差があって結露が発生しやすい冬になると、水分が付着して錆びやすくなってしまいます。湿度が高い場合や、結露が発生しやすい場所に設置する時は、スチールラック全体を覆えるカバーを取り付けて錆びるのを防ぎましょう。

スチールラックは表面を塗装することで水や酸素から金属の部分を守り、錆びを防止しています。しかし、長い間使用していると、物が擦れたりぶつかったりして塗装が剥がれていきます。塗装の剝がれた場所に水や酸素が触れることで錆びが発生し、内部へと広がっていくのです。錆びの進行を遅らせるには、定期的に塗装の状態をチェックする必要があります。

大気中の水分を吸って電気を通しやすくする塩分も、スチールラックが錆びる原因です。特に、潮風が当たる場所は錆びができやすいため、設置するのは避けましょう。また、酸やアルカリなどの薬品がスチールラックの表面に付着すると、塗装を溶かし、鉄と反応して酸化することがあります。

室内でも、洗面所のように湿気がこもりやすく風通しの悪い場所にスチールラックを置くと、水滴が付いて錆びやすくなってしまいます。湿気がこもらないように、扇風機を使って風通しを良くするなどの対策が必要です。

スチールラックは扉などで覆われていないためホコリがたまりやすく、放置していると湿気などを吸収してこびり付いてしまいます。カバーを使ったり、定期的に掃除をしたりして、汚れや湿気を防止しましょう。また、部屋のホコリ自体を減らせる空気清浄機を、スチールラックの近くに設置するのも効果的な対策です。

錆びを完全に防ぐのは困難ですが、防錆処理が施されたスチールラックを選ぶなどの対策をすれば錆びにくくなります。衝撃や摩擦を避けるほか、定期的に塗装や掃除をすることも大切です。スチールラックの錆びを防止する具体的な方法を紹介します。

スチールラックの錆びを防止する方法
・湿気を避けて設置する
・定期的に乾拭きや掃除をする
・防錆スプレーやコーティング剤を塗る
・濡れた物を直接置かない
・傷や剥がれを放置しない
・屋外の場合は屋根のある場所に置く

洗面所や脱衣所など、水を頻繁に使用する場所にスチールラックを置くと、錆びの発生リスクが高まります。そのため、玄関などの湿気がこもりにくく風通しの良い場所に置いてください。どうしても脱衣所にスチールラックを置きたい場合は、浴室の扉を閉めっぱなしにして換気を行うなど、湿気がこもりにくくなるような工夫が必要です。

ホコリなどの汚れや塩分はスチールが錆びる原因になるため、水滴はこまめに拭き取って定期的に掃除しましょう。ただし、研磨剤やたわしなどを使って強く擦ると、酸化膜が壊されて錆びやすくなるため、優しい力で拭いてください。

スチール自体に防錆スプレーやコーティング剤を塗り、水や空気が接触しないようにすることも、錆びの防止に効果的です。特に市販されている防錆スプレーは、初心者でも簡単に扱えて便利です。乾かしながら2〜3回塗装するだけで、綺麗な仕上がりになります。作業する時は、床や絨毯にコーティング剤が付かないように新聞紙を敷きましょう。

使った傘や剃刀、ヘアピンなどを濡れたままスチールラックに直接置いて放置すると、錆びが移るおそれがあります。できるだけ水に触れた物を直接置くのは避け、濡れてしまった場合は放置せずによく乾燥させてください。

傷や剥がれを放置すると、露出した部分に水や酸素が触れて浸食が進み、内部まで錆びが広がってしまうことがあります。スチールラックの傷や剥がれを見つけたら、早めの補修が大切です。劣化した箇所の塗膜を取り除いて、新しい塗料でコーティングすれば錆びの進行を防げます。

ベランダや庭などにスチールラックを置く場合は、雨や雪に濡れると錆びてしまうため、屋根を取り付けましょう。屋根を取り付けられない場合は、カバーを設置して雨や雪を防いでください。また、屋外向けに加工されたスチールラックを選ぶのも有効な手段です。防錆の塗装が厚い商品ほど雨のダメージを受けにくく、耐久性に優れています。

スチールラックの錆びは、身近にある物で落とせます。ステンレスやアルミなど他の金属にも使える錆取りの方法もあり、知っておくと便利です。また作業後は、コーティング剤を表面に塗装するなど、防錆の処理をしておくことが大切です。

軽い錆びは、研磨剤が配合されている歯磨き粉で擦るだけで綺麗になりますが、頑固な錆びにはたわしや耐水サンドペーパーを使う必要があります。耐水サンドペーパーは、摩擦による熱が発生しづらく、目詰まりもしにくいのがメリットです。ただし、強い力で擦り過ぎると目詰まりするおそれがあるため、弱い力で何往復もさせて研磨しましょう。

用意するもの
・たわし：1個
・耐水サンドペーパー240番〜400番：1枚
・耐水サンドペーペー1000番：1枚

手順
1.耐水サンドペーパー240番と1000番を研磨する場所のサイズに合わせてカットする
2.たわしで錆びた場所を擦って、汚れを落とす
3.耐水サンドペーパー240番に水を含ませる
4.弱い力で何往復もさせて研磨する
5.錆びが取れたら、耐水サンドペーパー1000番に水を含ませて研磨し仕上げる

水垢取りにも使われるクエン酸や家庭用の調味料の酢には、酸化した金属を酸素から切り離す還元の作用があり、汚れが分解されて錆びが落ちます。サイズが大きく容器に入らない場合は、雑巾やキッチンペーパーにクエン酸水を染み込ませて、錆びた部分を覆うと取れます。クエン酸や酢で錆びが落ちない場合は、クレンザーや重曹で擦りましょう。

用意するもの
・クエン酸や酢：10g
・お湯：60g
・プラスチック容器：1個
・乾いた布：1枚

手順
1.クエン酸や酢にお湯を加えて混ぜ、プラスチック容器に入れる
2.錆びた物をプラスチック容器に入れて、しばらく放置する
3.錆びが残らないように乾拭きする

市販の錆取り剤は、手間をかけたくない場合や錆びがひどい時に効果的です。特にペーストタイプやクリームタイプの錆取り剤は、素材を傷つけにくく液垂れしないため扱いやすく、部分的な錆びを取るのに適しています。ムラなく効果を発揮させるには、厚めに錆取り剤を塗るのがポイントです。

用意するもの
・錆取り剤ペーストタイプやクリームタイプ：適量
・乾いた布：2枚

手順
1.錆びの部分に直接錆取り剤を塗って、布で広げる
2.約5〜10分放置する
3.ペーストを乾いた布で拭き取る
4.仕上げに、もう一度錆びが残らないよう乾拭きする

防錆の加工がされているスチールですが、ステンレスやアルミよりも錆びやすいのでしょうか。スチールとステンレスはどっちが錆びにくいかなど、スチールの錆びについてよくある質問を紹介します。

スチールは、水や湿気に弱く、濡れたまま放置しているとすぐに錆びてしまうのが特徴です。一方で、アルミは錆びが発生しにくい金属で、表面に白い酸化膜が形成されることで内部へ錆びの広がりを防止します。そのため、屋外では錆びにくいアルミ製、屋内ではスチール製を使うなど、場所によって使い分けるのがポイントです。

ステンレスとは、鉄にメッキ加工などで使われるクロムを加えた合金で、一定量のクロムを含んでいます。このクロムが表面で酸素と反応し、酸化膜を形成して錆びの発生を防止しています。

また、ステンレスの酸化膜は傷ついても再生するため、錆びにくい素材です。一方のスチールは、塗装が剥がれてもコーティングせずに放置すると、錆びやすくなってしまいます。

ただし、ステンレスも汚れや水が付着したまま放置していると酸化膜が形成されにくく、海風に当たる場所では塩素イオンによって膜が壊されて錆びやすくなります。また、錆びた金属の物に長時間触れると、ステンレスでも錆びることがあるため、水気はこまめに拭き取りましょう。

ディノスでは、ステンレスラックよりも安価な、防錆加工が施された錆びにくいスチールラックを多く取り扱っています。錆びにくいスチールラックを探している人は、クロムメッキ加工やパウダーコーティングがされている商品を選びましょう。