お菓子やピザなどオーブンを利用した料理を作りたくても、自宅にオーブンが無くてあきらめた経験がある人もいるでしょう。しかし、料理によっては調理方法の工夫によって、オーブンをトースターで代用できることもあります。オーブンを使った料理をトースターで作る方法や、トースターで代用するときのポイントなどを紹介します。

自宅にオーブンがない場合も、トースターを上手に使えば、オーブン料理を調理することはできます。ただし、オーブンとトースターでは庫内の広さや加熱の方法が違うので、全く同じように調理できるわけではありません。そのため、オーブンで調理する全ての料理で代用できるわけではなく、調理する場合も調理法を選び、アルミホイルなどを使って工夫することが重要です。

オーブンで調理する料理をトースターで代用する場合、忘れてはならない注意点がいくつかあります。そうした注意点を守れば、トースターでも代用できるオーブン料理はいくつかあります。オーブンをトースターで代用する場合、次のような点に注意しましょう。

トースターをオーブンの代用にするときの注意点
・表面が焦げやすい
・中が生焼けになりやすい
・高さがあるものは調理できない
・油や汁がヒーターに落ちると危険
・温度や時間の調整が難しい

トースターは、庫内にあるヒーターから強力な熱を放射して加熱します。このため、表面に近いほうがよく焼けるのが特徴です。食パンであれば、表面がカリッと焼きあがり、中はもちもちとした食感を保てます。オーブンのように、庫内全体を温め時間をかけて、食材に火を通す調理には向きません。

グラタンや焼き菓子などの、オーブン調理でよく使われるレシピをトースターで試すと、表面だけが焦げてしまいがちなのも、加熱方法の違いが原因です。特に、砂糖やバターを多く含むクッキーやケーキなどは、表面が焦げやすいので注意が必要です。

オーブンは庫内全体を一定の温度に保ち、じっくりと食材を加熱して、中まで均一に火を通します。一方、トースターはヒーターからの熱で表面を急速に加熱するため、内部の温度が十分に上がらず中が生焼けになることがあります。特に、肉や魚など、厚みのある食材は、中まで火を通すのが大変です。

厚みのある鶏肉のソテーをトースターで調理した場合、表面は焼き色が付いているのに、切ってみると中まで火が通っていないことがよくあります。

トースターの庫内は、オーブンに比べると狭く、高さもないため、ケーキ型や食パン一斤など、高さのある調理器具や食材はトースターに入れられません。グラタン皿やパイ皿も、幅が大きすぎるものは、入らない場合があります。

トースターで調理できるのは、基本的に食パンのように平たいものや、グラタン皿に盛られた料理のように、比較的厚みが薄い料理に限られます。ローストチキンや高さのあるパンなど、大きな食材の調理は、物理的にできません。

トースターは、下部にヒーターが設置されているものが多く、網やトレーの上に置いた食材から油や汁が垂れやすくなっています。食材から落ちた油や汁がヒーターに付着し、その状態で使い続けると、発煙や発火の原因となり危険です。ヒーターに付いた汚れは、加熱されるたびに焦げ付いて臭いを放つだけでなく、故障の原因にもなります。

ほとんどのトースターは、オーブンのように細かく温度や時間の設定ができません。タイマー機能は付いていても、加熱の強さは強、中、弱といった大まかな設定しかできない場合もあります。オーブンのように180℃で20分といった、正確な温度と時間を設定するのが困難です。

このため、スポンジケーキやシュークリームなど細かな温度設定が必要なお菓子作りには向いていません。レシピに記載されたオーブンの設定時間を、そのまま適用できないケースが多く注意が必要です。

オーブンに比べるとトースターは、性能や使い方がシンプルなタイプが多く、加熱方法や可能な料理、調理できる食材のサイズなどにも違いがあります。トースターをオーブンの代わりに使用する方法と、気を付けなければならないポイントを紹介しましょう。

オーブンをトースターで代用する方法・ポイント
・焦げ付き防止でアルミホイルを被せる
・食材に予め熱を通すか庫内を予熱する
・なるべくヒーターとの距離を離す
・必ず受け皿（天板）を使う
・様子を見ながら焼く

トースターは、ヒーターからの直接的な熱で食材を加熱するため表面ばかりが焼け、中まで火を通そうとすると焦げ付いてしまう場合があります。特にグラタンや焼き菓子など、通常はオーブンで調理するものは、中まで火が通る前に表面が焦げてしまいがちです。これを防ぐには、アルミホイルを被せるのが効果的です。

アルミホイルは熱を反射する性質があるので、食材の表面にアルミホイルを被せれば、焼き過ぎを防げます。ある程度加熱され焼き色が付いた頃を見計らって、途中でアルミホイルを被せると、焦げ付かずにきれいに仕上がります。

トースターは食材の表面を短時間で加熱できますが、オーブンと違い、庫内全体を均一に温められません。そのため、内部まで火を通す必要のある食材は、あらかじめ電子レンジなどで加熱しておくなどの工夫が必要です。例えば、鶏肉や魚などの火が通りにくい食材は、電子レンジなどで7〜8割程度まで火を通しておくとよいでしょう。

その後にトースターで焼くと、中が生焼けになるのを防ぎ、表面には香ばしい焼き色をつけることが可能です。焦げ付きが心配な場合は、アルミホイルを被せると焼き過ぎを防げます。また、トースターの庫内を予熱してから食材を入れると、加熱ムラを減らせます。

トースターの内部は狭く、ヒーターと食材との距離が近いことが焦げ付きの原因の一つです。焦げ付きを避けるためには、できるだけヒーターから離して食材を置くのが重要です。網の高さを調節できるトースターであれば、食材を置く位置をヒーターから遠ざけましょう。

調理器具は、深さのある耐熱皿やココット皿は避け、浅めの耐熱皿を選びます。食材がヒーターに近づいてしまう場合は、アルミホイルを被せて焦げ付きを防ぎましょう。

トースターで油分や水分を含む食材を調理する場合、必ず付属の受け皿や天板を使用しましょう。肉や魚を焼いた際に落ちる油が、下部のヒーターに付着すると、発煙や発火の原因になります。受け皿はこれらの油分や汁を受け止める役割を果たし、安全にトースターを使用するためにも欠かせません。

また、受け皿は取り外しが可能で手軽に掃除ができるため、庫内を清潔に保てます。受け皿にアルミホイルを敷けば、さらに掃除の手間が減ります。

正確な温度設定が難しいトースターで調理する際は、レシピに記載されている加熱時間をそのまま設定せずに、焼き加減をこまめにチェックしながら焼いていきましょう。タイマーをセットして放置するのではなく、時々庫内を覗き、食材の状態を確認します。焦げ付きそうになったら、すぐにアルミホイルを被せたり、加熱時間を短縮したりといった調整をしながら調理していくことが大切です。

一部だけ焦げ付いている場合は、途中で食材の向きを変えたり、位置をずらしたりすると、加熱ムラを防げます。焼き加減を自分の目で確かめながら、臨機応変に対応することで、トースターでもおいしい料理を作れます。

オーブンがなくても、工夫すればトースターで代用できる料理もあります。しかし、代用するのがどうしても難しい料理もあるのは事実です。調理が可能な料理と、トースターでの代用が難しい料理を、具体例を挙げながら詳しく説明します。

トースターは、表面を香ばしく焼いたり、短時間で火を通したりする料理に適しています。グラタン、ドリア、ピザなどはあらかじめ具材を火に通しておき、トースターでチーズに焼き色をつければ、本格的な仕上がりになるでしょう。

焼き魚や鶏肉のグリルも、アルミホイルや受け皿を使うと、中まで火を通せます。また、細かな温度調整が必要ではない、クッキーやマフィンなどのお菓子作りも可能です。

トースターで代用できる料理例
・グラタン
・ドリア
・ピザ
・焼き魚
・クッキー

オーブンは、ヒーターの熱を循環させる機能があるため、食材の中までじっくりと火を通せます。一方でトースターは、庫内全体を均一な温度に保つのが難しいうえ、庫内も狭いため、サイズが大きく中まで火を通す必要がある料理には向きません。また、温度の調整が重要な料理も避けたほうがよいでしょう。

具体的には、ローストビーフやローストチキンなど、肉の塊を低温で中まで加熱する必要がある料理は、トースターでは作れません。スポンジケーキやシフォンケーキなどの焼き菓子を調理する際も、オーブンを使って細かく温度を調整する必要があります。その他、大きなサイズのパイなどトースターの庫内に収まらない料理も、物理的に調理できません。

トースターで代用できない・難しい料理例
・ローストビーフ
・ローストチキン
・スポンジケーキ
・シフォンケーキ

オーブンやオーブントースターがなくても、トースター以外の身近な調理器具で代用する方法もいくつかあります。たとえば、魚焼きグリルは上火、下火の火力で短時間で高温調理ができ、オーブンに近い使い方が可能です。特に表面に焼き色をつけたい料理に向いています。ただし、庫内が狭いため食材がヒーターに近すぎると焦げやすく、アルミホイルを被せるなどの工夫が必要です。

また、フライパンも使い方を工夫すればオーブンの代わりになります。蓋をして弱火でじっくり火を通したり、蓋を開けて強火で焼き色をつけたりすると、オーブンで焼いたような香ばしさも出ます。魚焼きグリルやフライパンを使った調理法はオーブンとは異なる仕上がりになりますが、工夫次第でさまざまな料理が楽しめるでしょう。

トースターにはオーブントースターとポップアップトースターの2種類があり、扉を開けて庫内に食材を入れるタイプのものをオーブントースターと言います。ポップアップトースターはトースト―専用で、食パンを縦に入れて、時間が来ると焼けたパンが飛び出すものです。

最近はオーブントースターが一般的ですが、中には持っていないという人もいるかもしれません。しかし、オーブントースターがなくても、ほかの調理器具を使えば代用できます。オーブントースターの代用となる調理器具も4種類紹介しましょう。これらの調理器具も工夫次第で、オーブンの代用が可能です。

オーブントースターがないときの代用品
・魚焼きグリル
・フライパン
・オーブンレンジ
・ホットプレート

トースターにも、さまざまな機能が付いたものがあり、多機能のトースターを上手に使えば、よりオーブンに近い調理も可能になります。オーブンの代用におすすめのオーブントースターを5点紹介します。