屋外での使用や水回りのDIYを行う際に適切な木材を選ばないと、雨や湿気によって腐食や反りが生じます。また、耐水性だけではなく、DIYの技術レベルに合わせて、加工がしやすい木材を選ぶことも成功の鍵です。水に強い木材の特徴やランキング、用途別の選び方について詳しく解説しますので、DIYなどの木材選びに役立ててください。

まずは木の種類を知ると、天然の耐水性を持つ樹種を選べるようになります。また、木材の加工方法を理解すれば、防水や防腐の処理がどの程度かを見極められるでしょう。さらに、水分変化に強い特性、防腐性能を把握すれば、用途に合わせて水に強い木材を選べます。

水に強い木材の特徴
・木の種類
・木材の加工の仕方
・特徴�@水分や湿度の変化に強い
・特徴�A乾燥と湿潤の変化に強い
・特徴�B高い防腐性能で劣化しにくい

木材の種類は、大きく針葉樹林と広葉樹林に分けられます。針葉樹は一般的に軽くて柔らかく、加工しやすいのが特徴です。材質が均一で直線的な木目を持ち、建築材や家具によく使われます。針葉樹の中には天然の防腐成分を含み、水に強い性質を持つものも多く存在します。

一方、広葉樹は一般的に針葉樹よりも密度が高く、硬質である点が大きな特徴です。木目が複雑で美しいものが多く、高級家具や床材として重宝されています。特に熱帯産の広葉樹は、自然の油分を多く含むものが多く、水をはじく性質があるため、屋外での使用でも長期間劣化しにくい点が特徴です。国産の針葉樹は比較的手頃な価格でホームセンターでも購入できますが、熱帯産の広葉樹などは希少性や輸送コストから高価になることが多いです。

木材の加工方法にはいくつか種類があり、家や家具づくりには無垢材、集成材、合板の3種類が主に使用されています。無垢材は一本の木から切り出された天然木で、独特の風合いがありますが、水に対する耐性は木の種類によって大きく異なります。集成材は複数の木材を接着剤で貼り合わせたもので、反りや割れが少なく、安定性に優れているのが特徴です。

合板は薄い板を交互に重ねて接着したベニヤ板とも呼ばれるもので、強度が高く、手頃な価格でホームセンターでも購入できます。一般的に、水に強い木材は、元の木材に防腐剤や防水剤を塗布して腐りにくい状態にし、熱処理や圧縮処理を施すことで作られています。

木材は無数の細い管と細胞からできており、湿度が上がると水分を吸収して膨らみ、乾燥すると水分を放出して縮む性質があります。この変化を繰り返して生じるのが、木材の反りや割れです。水に強い木材を作る加工方法にはいくつかあり、その一つである熱処理は木材を低酸素下の高温で加熱し、水分と結合する内部構造を変化させ吸水量を抑えます。

また、加圧含浸処理では、樹脂やワックスなどを高圧で木材内部に押し込んで細胞の空隙を詰まらせ、水が入り込めなくします。表面処理としては、ウレタンやオイルフィニッシュなどの塗料を木材に塗り、水の侵入を物理的に防いでいるようです。

乾湿サイクルに強い木材には天然の木材があり、特に熱帯産の広葉樹に多く見られます。タンニンや油成分を豊富に含み、水の浸入を防ぐ構造をしているのが特徴です。もう一つは特殊な化学処理をした木材で、アセチル化といった化学反応などを行い、構造内の水と結合する部位を減らして膨張収縮を最小限に抑えます。

日本木材保存協会の論文には、木材腐朽菌の生育条件について詳しく報告がされています。以下のような木材腐朽菌が、主に木材を腐らせる原因だといわれています。

木材腐朽菌の主な種類
・褐色腐朽菌
・白色腐朽菌
・軟腐朽菌

赤松は針葉樹の一種で、ホームセンターでも比較的手頃な価格で入手できる木材です。赤松の心材部分にはピノシルビンという抗菌性のあるフェノール化合物が含まれており、木材が腐りにくい性質がありますが、未加工の状態では水に対する耐性はそれほど高くありません。表面に撥水性の塗装を施したり、防腐剤を注入したりすれば水に強い木材として使えます。

スギは日本の代表的な針葉樹で、古くから建材として使われてきたホームセンターでも手に入る木材です。セスキテルペン類という抗菌成分を有しており、水に強い木材として知られています。仕上げに表面をバーナーで炙ると、さらに耐水性が増すのが特徴です。木目がまっすぐで美しく、独特の香りにはリラックス効果があると言われています。

ヒノキは日本の伝統的な木材で、耐久性が高く、独特の香りと美しい木目が特徴です。αカジノールやヒノキオールといった抗菌成分を有しているため、ある程度水に強いと言えます。ヒノキは加工すると、表面が滑らかになる特徴があり、比較的DIYに使いやすい点もメリットです。価格は中程度で、ホームセンターなどでも入手しやすい木材です。

オークは主にヨーロッパやアメリカから輸入される広葉樹で、その強度と美しい木目が世界中で高く評価されている木材です。水に対する耐性は中程度ですが、ヨーロッパ産のものは特に密度が高く、水に強い性質を持っています。オーク材は重厚感のある表面の色合いが美しく、中でもホワイトオークなどは高価格で取引されており、高級家具や床材として人気があります。

クリは日本の伝統的な広葉樹で、美しい木目と独特の風合いがあり、時間とともに深みのある色へと変化していきます。タンニンを多く含み、高い耐久性と水に強い優れた性質を持つことから、古くから日本の建築や船舶などに使用されてきました。特に心材部分は水に強く、雨風を受ける屋外での使用にも適しています。

クワは非常に硬く、耐久性に優れた広葉樹で、日本では弓や工芸品の材料として珍重されてきました。クワ材は構造上の密度が高く、表面の撥水性に優れているため、湿気の多い環境下でも使用が可能です。耐水性の高さから、水槽や浴槽などの水回りの家具や器具、屋外での使用にも適しています。

ケヤキは日本の広葉樹で、高い耐候性から神社や仏閣にもよく使われてきた木材です。水に対する耐性が非常に高く、腐りにくい性質を持っています。表面の木目の美しさから、見た目を重視する水回りの家具のDIYに向いているでしょう。

セランガンバツは、東南アジア原産の高密度な広葉樹です。細胞壁が極めて厚く形成されているため、水分が内部に浸透する隙間がなく、優れた耐水性を有しています。ポリフェノール類が豊富に含まれていることから防腐性にも優れており、雨などの外部環境での耐久性が高く、ウッドデッキなどの屋外で使用する木材として人気があります。

ウリンよりも安い価格で取引されており、防腐剤の塗布などメンテナンスをしなくても、何十年にも渡って使用できる耐久性を持っています。

ウリンはインドネシア原産の密度が高い広葉樹で、非常に水に強い木材です。ウリンの細胞壁は異常に厚く、シリカを多く含んでおり、これが物理的に水の侵入を抑制します。また、ポリフェノールを豊富に含み、腐りにくくてシロアリにも強い特徴があります。50年以上の耐久性があるとされており、表面は雨をはじきやすいため、ウッドデッキや外壁材として人気です。

非常に硬く重いため、加工が難しく、DIYでは上級者向けです。また、価格は高めで、ホームセンターではあまり取り扱っていません。

浴室では日本産のヒノキやスギが古くから使われており、表面の触り心地の良さと癒しを感じる香りが特徴です。キッチンでは、硬く傷がつきにくいオークが人気です。屋外のウッドデッキには、外的環境に耐性の高いウリンやセランガンバツが適しています。

水に強い木材の用途
・浴室：ヒノキ、スギ、チーク
・キッチン：オーク、チーク
・ウッドデッキ：ウリン、セランガンバツ

浴室は常に高い湿度と水に触れる環境があるため、日本では古くからヒノキやスギの腐りにくい軸部分が使われてきました。また、油分を含んでいるため水に強く、表面が濡れても滑りにくいチークも浴室に適した木材です。浴室で木材を使用する際には、定期的にオイルメンテナンスを施すと、より長持ちします。

DIYで浴室の小物を作る場合も、これらの水に強い木材を選んでください。湿度を調整する性質もあるため、カビの発生を抑制する効果も期待できるでしょう。

キッチンは水や湿気、熱などさまざまな環境に木材がさらされるため、硬度が高く水への耐性の高いオークが最適です。オークほど丈夫ではないものの、チークも油分を含み水に強い耐性があるため、キッチンで使用する家具に適しています。修理が必要になった時に備えて、ホームセンターでも比較的手に入りやすい木材を選ぶこともポイントです。

木製のキッチンカウンターを使用する場合は、表面に食品安全性の高い塗料やオイルを塗布すると、水への耐性や強度を一層高められます。DIYでキッチン小物を作る際も、これらの水に強い木材を選びましょう。

ウッドデッキは屋外で雨や紫外線、温度変化など過酷な環境にさらされるため、ウリンやセランガンバツといった熱帯産の硬質木材が最適です。これらの木材は油分を豊富に含み、腐りにくい特徴があります。ウッドデッキの寿命を延ばすには、定期的なメンテナンスが欠かせません。年に数回、専用のオイルを塗布し、雨などによる木材の劣化を防いでください。

でウッドデッキを作る場合は、水に強い加工が施された木材を選び、定期的なメンテナンスを行うのがポイントです。また、ウッドデッキ用の腐りにくい処理が施された国産材も増えており、高価ですがホームセンターでも購入できます。