近年注目を集める「捨て活」は、不要な物を見極めて手放す活動のことです。物を減らすと生活空間に余裕が生まれ、精神的にもゆとりが生まれます。捨て活の基本的な概念や、よく似た「断捨離」との違いも紹介します。

捨て活とは、その名の通り「物を捨てる活動」のことです。最近、流行し始めた言葉で、単なる片付けではなく、自分にとって真に必要な物を見極める作業であるとも言えるでしょう。捨て活を続けていると次第に判断力が磨かれ、新たな物を購入する際も、本当に必要なものだけを選べるようになります。また、物への執着がなくなることで、心理的な負担が軽減して精神的な豊かさも得られるかもしれません。

さらに、生活環境が整うと創造性が高まり、新たなアイデアや発想も生まれやすくなります。充実した暮らしを実現するには、物の量を適正に保つことも大切なことです。

捨て活では、今後の生活をより良くするために必要な物だけを選び、物を残すことを優先します。一方、断捨離は物への執着を断ち、不要な物を全て捨てて、残った物の価値を離れた目で見直すという哲学的な側面もあります。暮らしの質を高める点で両者は共通していますが、捨て活は比較的取り組みやすいと言えるでしょう。

また、捨て活のほうが断捨離よりも自分のペースで始められやすく、整理が苦手な人でも無理なく続けられるのが特徴です。

捨て活を始めると、部屋が整理されるだけではなく、物への執着から解放されて前向きな気持ちが芽生え、無駄な買い物をすることも減り、ストレスも軽減されます。探し物にかける時間も減らせるでしょう。また、風水の観点では、不要な物を処分すると負のエネルギーが取り除かれ、運気も上昇するとされます。

捨て活の効果
・部屋がすっきりする
・気分が良くなる
・探し物が少なくなる
・無駄遣いしなくなる
・心の負担が減る
・運気が上昇する

捨て活によって不要な物が減ると部屋の中がすっきりとし、視覚的にも心理的にも暮らしに余裕が生まれます。物が少なくなると収納も容易になり、片付けにかかる時間も大幅に短縮されるでしょう。捨て活をした部屋では、物をきれいに整理できて掃除もしやすくなるので、清潔な空間を維持しやすくなります。

物があふれた環境は、気づかぬうちにストレスとなります。一方、必要な物だけが収納されている部屋では、心に余裕が生まれて前向きな気持ちになります。また、捨て活を通じ、「捨てる」という決断を繰り返すと自分の価値観が明確になり、自己肯定感も高まります。物への執着から解放されると、新しいことに挑戦する楽しい気持ちも芽生えるでしょう。

捨て活によって物が少なくなれば、それだけで探し物が見つかりやすくなり、朝の忙しい時間に必要な物を探して焦ることもありません。また、捨て活をした後に物の定位置が決めれば、どこに置いたか忘れることもなくなり、時間にも心にも余裕が生まれるでしょう。

捨て活を進めると、自分が何を持っているのかが明確になり、必要以上に購入してしまうのを防げます。また、整理の過程で、本当に必要な物が何かということに気づき、購入するペースも学べます。この気付きは、今後の暮らしにおける判断基準となり、買い物に費やしていた時間と費用を別の事に使えるようになるでしょう。

捨て活によって物が減ると、時間に追われる生活の中で、いつか整理しなければという無意識のストレスが軽減されます。また、いつか使うかもしれないと迷いながら保管していた物を手放すと、決断力も鍛えられます。物の管理や維持に掛かっていた労力が減り、趣味や仕事などに時間やエネルギーを向けられるようになるでしょう。

風水の考えによると、住空間に溜まった不要な物は気の流れを滞らせ、古い停滞したエネルギーを家の中に閉じ込めるので、良くありません。そこで、捨て活によって不要な物を取り除くと、空間に新鮮な気が巡るようになり、運気が上がります。特に玄関は気の入り口とされ、玄関が整理されていると、良いエネルギーが家全体に行き渡りやすくなります。

水回りは金運に関係し、キッチンや浴室を整理すると、財運が上向きます。また、長期間使われていない物も停滞のエネルギーを持っているそうです。これらを手放すと活力ある気の流れが生まれ、新しい出会いや機会が引き寄せられるでしょう。

初めて捨て活を行う場合、どの条件で物を捨てるかを決め、小物入れなど物の数が少ない場所から始めると、短い時間で物を整理でき、達成感も得られます。こうした成功体験を重ねていくことで、捨て活が習慣付けられていくでしょう。また、収納グッズも減らし、余計な物を残さないようにすることが大切です。さらに、片付いた後の写真を撮ると、変化を実感でき捨て活の継続へモチベーションも高まっていきます。

捨て活の進め方のポイント
・【後悔しない】「捨てる」「残す」の基準を決める
・始める部屋や場所を決める
・狭い場所から始める
・収納アイテムは買わない、手放す
・捨て活に行き詰まった、進まないときの対処法

期限切れの物や長期間使用していない物などは、始めに一気に捨てて、無駄な収納スペースを減らしていきましょう。また、重複して持っている物も、もったいないからと取っておかずに、思い切って手放すことが大事です。一方、写真や記念品など思い入れのある物は、捨てると後悔するかもしれません。専用の宝物ボックスなどを用意して、一か所にまとめて保管しておくと良いでしょう。

捨てる基準
・1年以上使用していない物
・壊れていて修理していない物
・重複して持っている物
・期限切れの物

捨てると後悔しがちなもの
・写真や記念品などの思い出が詰まった品物
・高価だった物
・人からもらった大切なプレゼント
・季節限定で使うアイテム
・コレクションの一部
・資格や仕事に関連する参考資料
・非常時のための備蓄品
・修理すれば使えるお気に入りの物

捨て活を始める際、何から手をつければ良いのか悩んだときは、「今日はキッチンの調味料棚だけ」など具体的な場所や範囲を限定して始めましょう。捨て活をする場所が限定されているので、終わらせる目途が立ちやすくなります。家族と暮らしている場合は、自分の持ち物や管理している場所から捨て活を始めると、家族との余計な摩擦も避けられます。

捨て活の始め方がわからない人は、引き出し一つ、棚の一段など、本当に小さな範囲から挑戦してみましょう。「一日一捨て」のように、毎日少しずつ進めるのも、取りかかりやすい方法です。狭い場所から始めるやり方は、時間の制約がある忙しい人に適しており、日常生活の合間に無理なく捨て活を習慣化できます。

新しい収納場所を増やしてしまうと、せっかく空いたスペースに再び物を置いてしまう原因になりかねません。新しい収納ボックスや棚を買う前に、まずは不要な物を減らしましょう。

使わなくなった収納アイテムがもったいないと感じるかもしれませんが、それ自体がすでに不要な物となっています。思い切って処分して、自由に使えるスペースを広げましょう。物が少なくなれば、シンプルな収納だけで十分になり、部屋が広く感じられて暮らしやすくなります。

捨て活に行き詰ったときは、物を増やさないことが理想です。また、SNSで捨て活の進捗をアップすると、自分を客観視でき捨て活を継続しやすくなります。さらに、清潔に保たれた場所を一つ作ると、日常生活の中できれいな場所を見てストレスを減らし、整理への意欲も高められます。物の使用記録を残すと、捨てるかどうかの判断もしやすくなるでしょう。

捨て活に行き詰った時の対処法
・とにかく家に入れないようにする
・インパクトのあるものを捨てる
・誰かに捨て活の状況を共有する
・一部だけでも片付いた聖域を作る
・最後に使った日を調べる

捨て活を行う際は、もったいないという気持ちに囚われず、物の本当の価値を見極める視点を持ちましょう。捨て活を継続していくためには、ただ物を減らすだけでなく、自分の価値観や生活スタイルに合った整理の仕方を見つけることが大切です。

捨て活のコツ
・もったいないとは考えない
・寄付や譲渡も検討する
・短時間、狭い場所から始める
・物だけではなくデータも捨て活の対象にする
・定期的に見直す

「もったいない」「まだ使える」は、日本人特有の物を大切にする美徳から来る感情ですが、時として不要な物を溜め込む原因にもなります。使わないまま劣化させ、収納スペースを圧迫することこそ、もったいない行為です。捨て活では、物の使用する可能性ではなく、現在の必要性に焦点を当てましょう。物への執着から離れ、本当に自分の暮らしを豊かにする物だけを残す勇気を持つことが大切です。

まだ十分に使える状態のものであれば、フリマアプリやリサイクルショップへの売却、知人への譲渡、寄付など、さまざまな方法で再利用が可能です。こうして新たな活用の道を物に与えると、もったいないという気持ちも和らぎ、手放す決断をしやすくなるでしょう。特に子供用品など状態の良い物は、必要としている人に届けることで社会貢献にもなります。

ただし、いつか誰かに譲ろうと思いながら結局そのまま保管し続けるのでは、捨て活の本来の目的を達成できません。いったん譲ると決めたものは、期限を決めてそれまでに譲ってしまうと良いでしょう。

15分だけ引き出しの中を整理するといった、具体的で小さな目標を設定すると、面倒くさがりの人も少しづつ捨て活を進められるでしょう。また、小さな成功体験を積み重ねると、捨てることへの抵抗感が減り、徐々に範囲を広げていけます。また、一度に大量の物を捨てようとすると途中で断念しやすくなりますが、短時間の活動なら完遂して達成感も得られやすいでしょう。

特に忙しい人は、週末に大掛かりな片付けをするより、平日の隙間時間に少しずつ進めるほうが現実的です。「一日一捨て」のように、毎日コンスタントに取り組むことで、捨て活が習慣化し、長い目で見ると大きな変化につながります。

スマートフォンの写真、パソコンのファイル、メールなど、目に見えないデータの蓄積も、実は私たちの時間と心理的な負担の原因になっています。お盆、年末など、定期的なタイミングでデジタルデータの見直しを行い、不要な物は削除しましょう。こうしたデジタル捨て活によって、デバイスの動作も快適になり、必要なデータの検索も容易になります。

生活スタイルや季節の変化に合わせて、3か月に一度、半年に一度といったペースで捨て活を行うと、物が再び溜まるのを防げます。衣替えの時期や年末の大掃除などのタイミングは、自然と捨て活を取り入れやすいでしょう。収納の定期的な見直しを習慣化すれば、捨てるという行為へのハードルが下がり、より効率的に整理できるようになります。

「新しい物を一つ入れたら古い物を一つ出す」という原則を設け、何か新しい物を購入したら、古くなったものを捨てるのも、捨て活を進めるうえで大切です。

捨て活を進める際、場所ごとに捨て活リストを作れば、どこから手をつければ良いかが明確になり、作業がスムーズに進みます。また、リスト化すると自分の持ち物を客観的に見つめ直す機会にもなります。捨て活リストを活用して、自分の生活空間を見直しましょう。

不要な物が溜まりやすい玄関をすっきりさせると、新しい運気が家の中へ取り入れられ、運気がアップすると言われます。特に長期間履いていない靴や、サイズアウトした子供靴は思い切って手放しましょう。玄関を広く使えるようになります。また、DMやチラシなども読まないまま溜まっていくことが多いので、定期的に処分する習慣をつけましょう。

玄関の捨て活リスト
・DMやチラシ
・使い切った消臭剤や芳香剤
・1年以上履いていない靴
・壊れた傘
・靴の空き箱
・使わなくなった子どもの外遊び用おもちゃ
・季節外れの玄関マット
・使わなくなったコート掛け
・放置されている段ボール
・古くなった靴べら
・サイズが合わなくなったヘルメット
・壊れた自転車や三輪車

子供のおもちゃや絵本、ゲームは成長とともに使わなくなるので、処分していきましょう。また、新聞や雑誌も読み終わったらすぐに処分するか、保管する場所を決めておくとテーブル周りが整理されます。充電ケーブルなどの電子機器関連も意外と増えやすいので、使用頻度の低い物は思い切って捨てましょう。

リビング、ダイニングの捨て活リスト
・テーブルに置きっぱなしのDMやカタログ
・読み終えた新聞、雑誌、本
・使っていない文房具
・期限切れの薬やサプリメント
・余分な充電ケーブル
・趣味で途中まで作ったまま放置したもの
・必要なくなったメモやノート
・見なくなったCDやDVD
・子供が使わなくなったおもちゃ、ゲーム、絵本
・飾っているだけのインテリア小物
・何かに使おうと取っておいた空き箱
・読み終えた学校や保育園からのお知らせ
・飲みかけのペットボトル

注意したいのが期限切れの食材や調味料で、定期的に冷蔵庫や食品庫の中身をチェックすれば、無駄な廃棄を減らせます。また、もしものときのためにと取っておいた保冷剤や紙皿なども必要最小限の数にとどめましょう。食器は家族の人数分あれば暮らしに十分です。余分な物や傷んだ物は思い切って処分すると、収納スペースに余裕が生まれます。

キッチンの捨て活リスト
・溢れているビニール袋
・期限切れの食材や調味料
・使わない保冷剤
・使わない食器やカトラリー
・余分な紙コップや紙皿
・もらいもののお茶やコーヒーのパック
・複数ある同じ種類のマグカップや湯飲み
・冷蔵庫に眠っている古い食材や飲み物
・お惣菜が入っていた空き容器
・使わなくなった洗剤や漂白剤
・冷蔵庫に貼られた不要なマグネット
・割れたり欠けたりした食器
・古くなったスポンジやふきん

洗面所や浴室は湿気が多く、放置された物が傷みやすい場所です。特に化粧品やシャンプー類は少しだけ残って使わなくなることが多いので、思い切って処分しましょう。また、歯ブラシやタオルなどの消耗品も定期的に新しい物に交換しましょう。普段使わないサンプル品や医薬品は、収納スペースを圧迫する原因です。

洗面所、浴室の捨て活リスト
・伸びて使わなくなったヘアゴム
・少しだけ残って放置されたシャンプーやトリートメント
・サビがついているヘアピン
・化粧品のサンプル
・使わなくなったコスメ
・歯磨き粉やマウスウォッシュの空容器
・使わなくなった歯ブラシ
・古くなったタオル
・効果が薄れた入浴剤
・期限切れの医薬品
・壊れたドライヤーやヘアアイロン
・使わなくなったヘアアクセサリー
・古いバスマット

1〜2年以上着ていない衣類は、今後も着る可能性が低いため、思い切って手放したほうが良いでしょう。バッグやポーチ、空き箱なども取っておきがちですが、使う予定がないのであれば、処分しましょう。ただし、使用頻度が低くても、冠婚葬祭用の衣類や小物は、急に使用することがあるので捨てずに保管しておきましょう。

クローゼットの捨て活リスト
・2年以上着ていない服
・使い勝手が悪いハンガー
・流行りが過ぎた服
・毛玉がひどい服
・バッグ、ポーチ
・袋物
・空き箱
・部屋の掃除で片づけたまま使っていない物
・活用していない収納グッズ
・サイズアウトした服
・シミや破れがある衣類
・着心地が悪い服
・季節外れの小物類

子供部屋は子供の成長に合わせて、必要な物が変化する場所です。子供と一緒に捨て活をしましょう。特におもちゃやぬいぐるみ、本などは年齢とともに使わなくなるので、定期的に処分します。自分で捨てる物を選ぶと、物を大切にする心も育ちます。ただし、特に思い入れのある物だけは、専用の保管箱などを用意して残しておきましょう。

子供部屋の捨て活リスト
・壊れたおもちゃ
・使わなくなったおもちゃ、ぬいぐるみ
・古い教科書やプリント
・子供が必要ないと言ったもの
・小石
・サイズアウトして着られなくなった服
・読まなくなった本
・乳幼児期の思い出の品
・壊れた文房具
・古いポスターやシール
・使わなくなったゲーム機やソフト
・卒業した学校の制服や体操服
・古いランドセルや通学かばん

年を取ると物を減らすのが体力的に難しくなるので、40代以降からは老後の暮らしに向けて物を減らす意識を持ちましょう。各年代別の捨て活のコツを紹介しますので、若く元気なうちから捨て活を習慣化しましょう。

40代は子供用の品や仕事の書類が溜まりやすいため、夏休みなどの長期休暇を利用して定期的に整理することが大切です。趣味のアイテムも、育児で忙しく使用していないことが多いので思い切って処分しましょう。親からもらった品物は年々増えていくので、実用品と記念品を分けて管理します。キッチン用品は、使用頻度によって残す物を決めましょう。

40代の捨て活のポイント
・子供の成長に合わせた物の整理
・仕事関連の書類や資料のデジタル化
・趣味のアイテムの見直し
・親からもらった品物の整理
・キッチン用品の見直し

50代は子供の独立などで家族構成が変化します。子供の制服などもう使用しない物は捨てましょう。思い出の品は、全てを保管するのではなく、写真に撮って思い出だけを残しましょう。また、体が衰えてくる年代なので、体調や好みの変化に合わせて衣類や家具などを見直し、将来の暮らしに向けたダウンサイジングを始めることも大切です。

50代の捨て活のポイント
・子供が独立して不要になった物
・将来の住まいのダウンサイジングを見据えた整理
・思い出の品の整理
・体調や趣向の変化に合わせた衣類の見直し
・将来の生活スタイルに合わせた家具の見直し

60代の捨て活は、終活を意識し、残される家族が整理に困らないように物を減らすのがポイントです。体力の変化に合わせて、使いやすく身体に負担の少ない衣類や生活用品を残し、使いにくいものや年齢的に合わないものは処分しましょう。ただし、趣味や筋トレグッズは、老後の暮らしの心身の健康に必要な物なので、残しておいたほうが良いかもしれません。薬を一元管理できるケースを使えば、服薬ミスを減らせます。

60代の捨て活のポイント
・終活を意識した思い出の品の整理
・体力の変化に合わせた生活用品の見直し
・実用性を重視した衣類の整理
・老後の趣味や楽しみに関するものは残す
・薬や筋トレグッズなど、健康管理に関する物の整理