断捨離とは、執着心を捨てて快適な生活を手に入れるという考え方を指し、ただ大掃除などで物を捨てることを指す言葉ではありません。一般的な断捨離は次の手順で行います。必要に応じて残す物の量・数を決めてから始めるのが、より上手な断捨離のポイントです。

1.片づける範囲を決める
2.断捨離する物を把握し、「必要」「不要」「保留」の3種類に分類する
3.「不要」な物を捨てる
4.「保留」について検討する

断捨離を通して部屋の物を処分・整理することで、必要な物だけが定位置に収まるようになります。そのため、掃除や家事の際に物を動かしたり、必要な道具を探したりする手間がかかりません。

日常生活で断捨離を意識すると、自分にとって本当に必要な物だけを購入する癖が付き、美しい部屋を維持できるだけでなく、無駄遣いも減らせます。

また、部屋に物が多いと、その分視覚情報が多くなり、集中力の低下やストレスの原因になります。断捨離を成功させて部屋がきれいになれば、部屋の中の情報量を減らしてリラックスできるスペースを確保できるため、心に余裕が生まれるでしょう。

・掃除や家事が楽になる
・節約につながる
・時間や心に余裕が生まれる
・集中力が向上する

断捨離で家にある全ての物を一気に処分しようとすると疲れてしまい、集中力が続きません。初心者は始める前に片付ける範囲を決めておくのが、簡単に断捨離を成功させるコツです。次のようなやり方で処分や整理をする範囲を決め、数日に分けて少しずつ断捨離を行いましょう。

・狭い範囲から始める
・普段使う場所から始める

初心者であれば、できるだけ狭い範囲から物の整理や処分を始めると、短時間で無理なく断捨離を進められます。特にリビングやキッチンなどは、自分が思っている以上に物が収納されているケースも少なくありません。一部屋ずつ断捨離をしようとすると、物の分別と整理だけでかなりの時間と負担がかかってしまいます。

まずは、リビングの引き出しや部屋の一角だけなど、短時間で終わる範囲に留めるのが断捨離のやり方のコツです。

断捨離の始め方に迷ったら、自分の部屋やキッチンなど、普段よく使う場所から始めるとよいでしょう。使用頻度の高い部屋に置いている物は生活必需品が多いため、処分するか否かを簡単に判断できます。

使用頻度の高さに基づいて、着手する場所や部屋に優先順位を付けるのが断捨離のやり方のコツです。一回分の断捨離のゴールが明確になり、集中力が途切れることなく家全体の整理整頓がしやすくなります。

断捨離を行う場所を決めたら、どのような物が置かれているのかをチェックしましょう。各場所にある物を全て把握することで、整理や処分にかかる時間を短縮できます。机や棚の上といった目の届く場所だけでなく、引き出しや押入れの中にある物も全て出しておきましょう。

・断捨離する範囲のものを全て広げる
・断捨離後の暮らしのイメージを明確にする

断捨離する物を効率良く把握するには、片付ける範囲にある物を一度全て広げるのがやり方のコツです。部屋は散らかりますが、一つひとつ手に取って処分するかを判断でき、必要な物まで捨ててしまうことがありません。引き出しや押入れなどの物を全て出すことで、破れた服や使い終えた電池などの明らかなゴミをその場で処分できるため、断捨離の時間短縮につながります。

片付け後の部屋や暮らしのイメージを明確にすることで、どこまでの物を処分したらよいかという、断捨離のやり方の方針が具体的に見えてきます。手本や目標となる部屋のイメージがないと闇雲に断捨離をすることになり、何から始めたらよいかわからなくなる人も少なくありません。

手本となる部屋の写真をSNSなどで探したり、どのような暮らしや収納方法がしたいかをイラストでまとめたりすることで、漠然としたイメージを明確にできます。

断捨離の範囲と全ての所有物を把握したら、それぞれの物を分類しましょう。処分するか否かを闇雲に決めようとすると、判断に時間がかかるだけでなく、必要な物まで捨ててしまいかねません。次のようなコツを踏まえて処分のルールを決めてから分類すると、断捨離をより効率良く進められます。

・必要と不要、保留の3つに分類する
・1分で判断できない物は保留にする
・ときめきと次にいつ使うのかを判断軸にする
・他の人の意見を参考にする

断捨離における分類は「必要」「不要」「保留」という3つのカテゴリーを使い分けると、アイテム一つひとつの判断に時間がかかりません。各カテゴリー名を記載した3つの箱を用意しておけば、分類した物を綺麗に整理できます。基本的には必要と不要の2つのカテゴリーをメインに使い、処分するか否か迷った物は保留の箱に入れましょう。

1分で処分するか否かを判断できない物は、保留の箱に入れることで、断捨離の効率が上がります。また、思い出の物を捨てるという精神的な負担を軽減できるメリットもあります。断捨離は部屋の整理整頓をするだけでなく、物を通して自分の気持ちを見つめ直す行為でもあるため、処分して後悔しないようにすることが大切です。

必要か否かの処分に迷った物は、自分がときめくかどうかで判断すると後悔のない仕分けができます。断捨離におけるときめきとは、そのアイテムを仕分ける際にこみ上げてくる楽しい気持ちです。

見ていて癒されたりワクワクしたりするアイテムは残し、特に何も感じない物は処分する分け方で判断しましょう。併せて、仕分けするアイテムを今自分が使っているのか、または次にいつ使うかを判断軸にすれば、客観的に判断しやすくなりスムーズに処分できます。

処分する物の仕分けに困った場合は、他の人の意見を参考にしてみましょう。自分だけで仕分けをすると、当時の思い出やもったいないという気持ちが邪魔をして、処分できなくなることも少なくありません。他の人と一緒に断捨離をすれば、客観的に判断してもらえます。

他の人とのコミュニケーションを通してそのアイテムに関するエピソードを想起しながら仕分けることで、気持ちの整理ができ、思い出の品を捨てやすくなるでしょう。また、断捨離を成功させた人の意見は、処分のやり方や整理整頓の手順に迷った際の指針にもなります。

必要な物と判断したアイテムをさらに細かく分類することで、自分にとって大切な物を身近に置いておけるようになり、より使いやすい部屋に整理整頓できます。同じ必要な物でも、次のようなコツを踏まえて細分化しながら整理しましょう。

・使用頻度の高さで分類する
・使用頻度の低いものは使用場所に置かない

必要と判断したアイテムを、使用頻度の高い物と低い物の2つのカテゴリーに細分化しておくと、整理整頓する際に収納のやり方や場所を決めやすくなります。同じ必要カテゴリーのアイテムであっても、日常生活で頻繁に使う物と普段使いしないが思い入れがある物など、判断理由が異なることも少なくありません。

使用頻度が高い物のみを集めて収納しておけば、必要になった時に探す手間がかかりません。

必要と判断したアイテムのうち使用頻度が低い物は、本来の使用場所ではない所に保管すると部屋をすっきり見せられます。押入れの奥や手が届きにくい吊戸棚などに入れておけば、頻繁に使う物だけを手前に置けるため、必要な時に取り出しやすくなります。

必要なアイテムの整理が終わったら、不要な物を処分していきます。不要と判断した物の中には、必要だったアイテムが含まれている可能性もあります。次のようなコツや手順を踏まえたやり方で作業を進めると、後悔なく処分できるでしょう。

・捨てる期限を決める
・一気に捨てない

不要なアイテムを捨てる際には、いつまでに全てのゴミを処分するかの期限を決めることで、断捨離を効率的に進められます。15分にセットしたタイマーを用意し、時間内にゴミを集め終えるようにすれば集中力が切れません。

また、ゴミの収集日に合わせて処分を終える期限を決めておくと、断捨離の手順や最初に捨てるゴミの種類を決めやすくなります。地域によってゴミの収集時間や曜日が異なるため、自分が住んでいる地域の収集スケジュールを確認してください。

断捨離において保留と判断したアイテムには、本当に必要な物と不要な物が混在しがちです。次のようなコツを踏まえて、残すか否かを慎重に検討してください。

・無理に捨てない
・判断する期限を決める

保留にしたアイテムのうち、思い出の品やどうしても手放すのが惜しい物は、無理に捨てる必要はありません。中には二度と手に入らない物もあるため、あとからまた入手できるかどうかなどを踏まえて判断しましょう。

子供が幼少期に作った絵や工作などのかさ張りやすい思い出の品は、特に気に入っているものを除いて写真で残しておくやり方もあります。

保留にした物は、一定の保管期限を決めて処分するか否かを判断してください。断捨離をした時は使うかもしれないと思っても、実際には全く使う機会がなかったり、そもそも存在を忘れていたりする物も少なくありません。

時間を置いて考え直した際に、あっさり手放せる場合もあるため、保管期限がきたらもう一度必要か否かをチェックしてください。保管期間の決め方は人によって異なりますが、半年から1年程度が目安です。

アイテムの種類によって断捨離の手順ややり方のコツが異なるため、同じ方法で処分しようとするとイメージ通りに片付けられない可能性があります。次のようなジャンルはかさ張りやすい上に、必要な物まで処分しやすいため、それぞれのコツを踏まえて整理しましょう。

・服
・キッチン用品
・本
・写真
・書類
・文房具

衣類を断捨離する際には、服の状態や着用頻度で処分するか否かを判断すると、毎日のコーディネートに必要な物だけを残せます。クリーニングでも落ちない汚れや毛玉が酷い衣類は、生地が傷んでいる可能性があるため処分対象です。

高価な物であっても長期間着用していない服は今後も着る機会がない可能性が高く、処分しても問題ありません。しかし、スーツや冠婚葬祭用の衣類は、着用シーンが限られているものの今後必要になる場合があります。そのため、サイズが合わない場合や毛玉が酷い場合を除いて残すのがコツです。

着回ししやすいデザインの服であれば、さまざまなコーディネートに取り入れられることから、残しておけば自然に着る機会が多くなります。デザインには流行があるため、年代を問わず着用しやすいシンプルな物を中心に残すのもよいでしょう。

服を断捨離するコツ
・高価な服でもほとんど着用していなければ処分する
・冠婚葬祭に関する服装はサイズなどに問題がなければ残しておく
・デザインは流行と着回しの良さをチェックする

服を断捨離する時の基準
・1年以内に着用していたか
・汚れや毛玉などが酷くないか
・サイズが合っているか
・着用しやすいデザインか

キッチン用品の断捨離では、使用頻度や見た目で判断するのがコツです。キッチン用品の状態をチェックし、ひび割れがある物やコーティングが剥がれている物は処分してください。また、好みのデザインかどうかは、普段使いのしやすさに直結するポイントです。結婚式の引き出物や懸賞でもらった物でも、使いたいと思えないキッチン用品は処分するのがコツです。

加えて、いつか使うと思って購入したキッチン用品についても、現在使っていない物は今後も使う可能性が低いと割り切って処分しましょう。

キッチン用品を断捨離するコツ
・もらい物はデザインが気に入らなければ思い切って捨てる
・いつか使うと思って購入していても、現在使っていない物は捨てる
・ひび割れやコーティングの剥がれが見られる物は捨てる

キッチン用品を断捨離する時の基準
・状態は悪くないか
・好みのデザインかどうか
・今後使うかどうか

本を断捨離する際は、読み返すかどうか、買い直しが可能かどうかをメインの基準にして判断することで、かさ張らない量で整理整頓できます。本には読み返す可能性が高いものだけでなく、情報が古い物や読む気がしない物なども含まれています。

特に専門書などは情報が更新されている可能性が高いことから、内容が古い物を処分すると収納スペースがかさ張りません。紙媒体にこだわらなければ処分し、必要になったら電子書籍で再購入してもよいでしょう。

本を断捨離するコツ
・読む気が起きない本は処分する
・本の内容や情報が更新されていないか確認する
・後で必要になったら電子書籍で再購入する

本を断捨離する時の基準
・読み返す可能性は高いか
・情報は古くないか
・電子書籍での再購入は可能か

写真は二度と同じ瞬間を撮影できないため、状態や写り方、被写体とのエピソードの有無を基準に整理します。全ての写真を一枚ずつチェックするために、アルバムに収納している物も全て出して仕分けを行うのがコツです。

写真に写っている人や出来事に思い入れがある場合を除き、汚れや破れが酷い写真は処分してください。また、ピントがぼけていたり被写体が見切れていたりしないかもチェックしましょう。状態が悪い写真や古い写真をどうしても残したい場合は、スキャナーなどに取り込んでデータで保存し、紙の写真は処分するのも有効な手段です。

写真を断捨離するコツ
・アルバムにある写真も全て出して仕分ける
・写真の写りや状態をチェックして分別する
・古い写真を残す場合はデータ化する

写真を断捨離する時の基準
・汚れや破れなどは酷くないか
・写りの悪い写真ではないか
・写っている人や出来事に思い入れはあるか

書類の断捨離では、重要性を基準にして処分するか否かを判断するのがコツです。権利書や年金手帳など、常に保管しておくべき物も多いため、必ず内容を確認して判断します。重要書類は他の物と混ざらないように、別の場所で保管しておくことが大切です。

チラシなどのネット上で入手できる書類は、内容をダウンロードまたはスキャンしておけば原本は処分しても問題ありません。

書類を断捨離するコツ
・書類の内容は一枚ずつ必ず確認する
・重要書類は別でまとめて保管する
・スキャンやデータ保存をして紙は捨てる

書類を断捨離する時の基準
・重要書類ではないか
・一定期間保管すべき書類ではないか
・ネット上で閲覧やダウンロードができる内容ではないか

量が多くなりやすい文房具の断捨離は、役割ごとに分別してから処分するか否かを判断するのがコツです。手持ちの文房具をカテゴリー別に分類すると、役割が重複している物が出てくることもあります。

長さの異なる定規や同じ色のペンといったように、同じ役割の物が大量にある場合は、一つだけ残してあとは処分しても問題ありません。オレンジ色のペンと黄色のペンのように、役割が似ている物についても、片方を処分するやり方がおすすめです。また、赤と青と黒の三色ペンといった、複数の役割を持つ文房具を中心に残してもよいでしょう。

文房具は散らかりやすいため、種類別に分けて特定の場所に収納できるように工夫することも大切です。引き出しであれば、仕切り板を使って専用の収納スペースを作ります。箱やスタンドを使う場合は、種類ごとにラベリングをすると、片付けの手間を省けます。

文房具を断捨離するコツ
・持っている文房具を役割別に仕分ける
・複数の役割を担う文房具を中心に残す
・保管時は個別に特定の保管場所を作っておく

文房具を断捨離する時の基準
・役割が重複していないか
・他の文房具で代用できないか
・壊れたり酷くひび割れたりしていないか

狭いキッチンのレイアウトを考える際には、限られたスペースをどれだけ上手く使うかが大切です。しかし、自宅の間取りによっては家事に必要な物が置けなくて困ることもあります。狭いキッチンのレイアウトについて、よくある疑問と、その回答をQ&A方式で紹介します。 断捨離を成功させるには、アイテムに合った手順で片付けるだけでなく、物を増やさないことも大切です。次のようなコツを日常的に意識することで、物への執着を無くして最小限の物だけを保管する習慣がつきます。

断捨離のその他のコツ
・収納スペースを減らす
・定期的な整理をする
・買い物習慣を見直す

収納スペースを減らして制限を設けておけば、不要な物が部屋にたまりません。収納場所を制限することで、決められた範囲に収まるかどうかという視点で買い物をする癖がつきます。より冷静に購入を検討でき、衝動買いの防止につながるでしょう。

一度断捨離をしたあとも、定期的に整理整頓をすることで、前回は出てこなかった不要な物を発見できます。こまめに整理整頓をしてゴミを捨てていると、次の断捨離や片付けが楽になります。整理整頓するタイミングは部屋の広さによって異なりますが、一般的には半年または1年に一度が目安です。

普段の買い物のやり方を見直せば、必要な物だけを購入する癖がつくため、余計なアイテムが増えません。買い物リストを作成して出かける習慣をつければ、リスト内の物を探すことに集中して衝動買いを防げます。買い物癖がある人は、余計な物を増やさないように、外出する回数や時間を減らすことも大切です。

簡単なやり方で部屋を片付けられる断捨離ですが、やってはいけないことを理解しておかないと、取り返しのつかないトラブルを引き起こすおそれがあります。年代によっても注意すべき点が異なるため、断捨離を実践する前にチェックしてください。

40代で断捨離を行う場合、断捨離のし過ぎに注意が必要です。必要な物まで捨ててしまうと、余計な買い直しによって資産形成に影響を及ぼすおそれがあります。40代はライフスタイルが変化しやすい時期であり、今は不要に感じる物が、あとから必要になるケースもゼロではありません。感情的に捨てずに、自分で決めた基準に従って処分することが大切です。

加えて、断捨離が自分にとって有意義であると感じても、家族や他人へ押し付けるのはトラブルにつながるため避けてください。

50代以降になると、生前整理を兼ねて断捨離をすることも少なくありません。しかし、捨てること自体が目的になると、死後の手続きや相続に必要な書類まで処分し、家族が困ってしまうおそれがあります。断捨離では、一つひとつのアイテムを時間をかけてチェックして分別するとともに、整理整頓後は財産目録などを作っておきましょう。

初めて断捨離に挑戦する時には、さまざまな疑問が出てくることもあるでしょう。断捨離が苦手な人の特徴や、断捨離をしたあとに綺麗な状態をキープする方法を理解しておけば、より負担の少ないやり方で部屋を片付けられます。

断捨離が苦手な人は、慎重な性格で決断力がないことが特徴です。物を所有することで安心感を得たいと考える傾向があり、どのようなアイテムでも念のために保管しておく人が少なくありません。感受性も豊かで物に対して思い入れを抱きやすく、物を捨てることに対して恐怖や罪悪感を覚えます。

断捨離が苦手な人が片付けをする際には、捨てる物の基準を明確に決め、ルールに従って作業を進めることが大切です。短い時間で少しずつ片付けていくやり方でも、断捨離の途中で挫折するのを防げます。

断捨離が苦手な人の特徴
・慎重な性格
・決断するのが苦手
・感受性が豊かで物への思い入れが強い

断捨離後の部屋を綺麗に保つコツは、ゴミを部屋にため込まないことです。特に、部屋にたまりやすいチラシやダイレクトメールなどの紙類は、あとからまとめて処分しようと考えず、こまめに捨ててください。

物の収納場所を固定し、毎日短時間でも整理整頓する習慣をつけることも大切です。物が別々の場所に収納されていると必要な時に探す手間がかかる上、片付けが面倒になってしまいます。こまめな整理整頓を心がけ、出しっぱなしの物を定位置へ戻す癖をつけることで綺麗な部屋を保てます。