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秋バラ最後の開花を楽しんだあとは、休暇に向けた準備を始める季節。
作業ポイントは4点です。

■10・11・12月のバラ栽培の作業

ポイント①:病害虫対策
ポイント②:お礼肥
ポイント③:休眠準備
ポイント④:大苗の購入

来年に向け、しっかりとした株を作りましょう。

■ポイント①:病害虫対策

戦いはすでに始まっている!今秋と来年の庭に思いを託す季節

秋の開花を楽しむ時期です。春と秋とで微妙にニュアンスが異なる花色を楽しみましょう。
そのためにも、病害対策をしっかりとしておくことが必要。夏の間に猛威をふるっていたハダニが姿を消し、秋は、夏の間休んでいたウドンコ病が活発になる時。
予防には、やはり葉の裏をシャワーで洗い流すのが一番です。万が一、イラストのような病気を発見したら、早期治療を施しましょう。 

黒点病には、やはりマルチングが効果的。やがて来る冬の防寒対策も兼ねて、マルチングを施しましょう。おすすめのマルチング剤は、腐葉土やパークたい肥といった、土に還る天然素材のもの。逆におすすめできないのは、ビニールなど空気を通さない素材のものです。
黒点(黒星)病とベト病は、一見して区別がつきにくいですが、特徴は異なります。いずれも、見つけたら早期治療をし、黄変し始めたら葉をとり除きましょう。

水やりの回数は、休眠期に向けて3日に1回、5日に1回、1週間に1回と徐々に減らしていきます。日が高くなる前の朝のうちにあげるようにしましょう。

≪ バラ栽培これだけは ≫

▼ 病気の発生理由を知って、効果的な防除を。
▼ 薬剤散布は葉の裏に集中的に。
▼ 先手必勝! 朝5分の観察で早期発見に努める。

秋冬の病気を知る

・黒星病
黒褐色の斑点。葉は次第に黄変していく。
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・ウドンコ病
やわらかい部分に白い粉がふいたようになる。
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・ベト病
葉脈に沿って赤紫色の斑点が出現する。
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・サビ病
葉や枝にイボ状の斑点ができ、さびのように見える。
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黒星病や秋になると発生するウドン粉病、昼が暖かくて夜が寒い初秋に出やすいベト病・サビ病などを予防しましょう。
ベト病と黒星病は特徴が似ていて見分けがつきにくい病気。
葉脈に沿って赤紫色の細いブチができるのがベト病でランダムに丸いブチができるのが黒星病。
ダコニールやマンネブダイセンなど適した薬剤を。

■ポイント②:お礼肥

一年のお礼と感謝をこめて、いつもよりたっぷり与える

11月下旬には、一年のお礼をこめた礼肥を施します。
作業行程は追肥とあまり変わりませんが、施肥量は、いつもよりやや多めに施すのがポイント。
休眠期に入るので、やはり、じっくりと効いてくれる有機質のものを選びましょう。有機質ならではの微量成分も含まれているため、土から健康にしてくれます。
化学肥料は使い方を間違えると枯死につながり、株がやわらかく育つほか、土の状態が悪くなり土壌改良が必要になることもあります。
使い慣れた方はいいですが初心者の方は液肥などをサプリメントの様なものと考え、必要なときだけ使うことをおすすめします。

地植えか、鉢植えかによって施し方が変わります。
元肥や追肥と同様、鉢植えは置肥に。領域が制限されている鉢植えでは、肥料焼けを起こす原因にもなりかねません。
鉢のサイズに合わせて、正しい用法を守りましょう。

お礼肥を施す時期は11月頃。
「1年間ありがとう」の気持ちをこめていつもより少し多めに施肥します。
地植えの場合は株元から40センチほど離れた場所に円を描くように有機肥料を埋め戻していきます。
鉢植えの場合は、置き肥が基本。地植えとは異なり、鉢では領域が制限されているため、肥料分が十分根に行き届きます。
有機肥料を与えましょう。

・地植え

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100〜150gの有機肥料を株元より30〜40センチ離して株まわりをぐるっと混ぜ込む。
苦土石灰50gを株まわりの地表にまき、土に混ぜると枝がさらに充実する。

・鉢植え

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10号鉢でおよそ80〜100gの有機肥料を置き肥。鉢の縁側に置いていく。

体力を回復させてしっかり休眠

根や土壌作りに着眼した肥料。根に触れても大丈夫なので、初心者にはまさにおすすめ。元肥用だが、バランスのよい成分が健康な生育を助けてくれます

バイオゴールドクラシック元肥1.3kg/タクト
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≪バラ栽培これだけは≫

▼いつもより多めにお礼肥を。
▼有機質のものがベスト。
▼鉢植えは置き肥が鉄則。

■ポイント③:休眠準備

休眠期に入ったバラにするべき作業を覚えましょう

10月の段階で葉がしっかりあると、光合成が行われて枝がしまります。
栄養を蓄えた枝は、しっかりと休眠をとることができ、翌年以降の生長に差が出ます。
しまっていない枝は、いわば骨粗しょう症状態。スカスカしているため、栄養が行き渡らず枯れてしまう恐れがあります。
11月頃に枯れ葉が残っていると「余計な体力を使わせるから」と葉をもぐ人がいるようですが、基本的に自然にまかせてOK。
少なくとも半分ぐらい落葉するまでは待ち、12月になっても残っているようなら葉を落としてあげましょう。

バラの冬の管理下では、基本的に寒さに当てたほうが丈夫で引き締まった株に育ちます。
但し、鉢植えで気に留めておきたいのは、寒さに当たると実際の気温よりも鉢中の温度が急激に下がりやすいという点。
マイナス10度以下まで気温が下がると根が凍ってしまいます。
また、積雪によって株元が覆われる地域は、寒風に当たらず土表面の凍結を防げるため問題ありませんが、問題は、雪が降らずに霜が降りて寒風が吹く、いわゆる底冷えをするような地域。
防寒対策としてバークたい肥などでマルチングを施しましょう。

・葉の処理

温暖化が進んだ日本では、その影響で年を明けても葉や花が残っている場合があるようです。しかし、これは植物が本来もつ力ではないので株全体が弱々しいはず。体力をこれ以上消費させないよう、花が咲ききらないうちに切り戻して家の中で楽しみ、鉢は建物の北側に置いて強制休眠へ。

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狂い咲きのバラは、早めに処理して休眠の準備を整える。
通常は、自然な姿で休眠させるのが一番。雪が降る地方は落葉するので気にしなくてもOK。

・防寒

寒さに当てた方が健やかに株が育つとはいえ、冬の寒風や霜に無防備に当ててしまうと根が凍りつく恐れがあります。
4℃以下になると活動を停止し休眠に入ります。ー10℃では、根が凍結して枯れてしまいます。
冬季の最低気温がー10℃以下となる地域では防寒対策が必要です。マルチングを施し、置き場所を移動してあげましょう。

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マルチング材も色々。バーク堆肥やワラやカヤは土に帰るので安心。
ビニールは蒸すので根腐れを起こしやすい。

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鉢植えは、底冷えで冷たくなった鉢とともに根が凍らないよう夜間のみ暖房の入っていない屋内に移動。
日中は陽だまりの下に戻して。

≪バラ栽培これだけは≫

▼花を切り戻して体力温存。
▼マルチングで防寒対策を。
▼石灰硫黄合剤でスペシャルケア!

■ポイント④:大苗の購入

購入する際には注意が必要!バラの生育サイクルを重視して

10月ぐらいになると、大型量販店などでは既に苗が出回るところも出てきます。いち早く手に入れたくなってしまいますが、これは買わない方が得策。休眠を十分にさせずに、無理やり掘り上げている可能性があるので、健康状態が不安定。ダメージに弱く、いざ購入してみたら、霜に当たってあっという間にダメになってしまったなんてことにもなりかねません。しっかりと休眠させた大苗が出回るのは、11〜12月頃。その頃以降に出回る苗を購入するようにしましょう。

大苗を選ぶ際に気をつけたいポイントがいくつかあります。
既に芽が伸び始めたものは、かなり前に早掘りをしている証拠。しっかりと休眠していない可能性が高い苗です。
今後、生育障害を起こす可能性も高いので、購入は避けた方がいいでしょう。
枝にシワが入っているのは、茎がしまった状態ではないもの。すぐに枯れてしまう恐れがあります。
バラに詳しい店員さんのいるショップを見つけるのもポイントです。じっくり選びましょう。

石灰硫黄合剤

石灰硫黄合剤は、絶対に必要な作業ではありません。越冬するタイプの害虫の殺虫や枝のしまりをよくする効果があります。1〜2株なら、全体にまんべんなくハケで塗り、数株植わっている際には噴霧器で散布をしてください。濃度が高く匂いがきついので、衣類や肌につかないように注意しましょう。白いカイガラムシがいる場合には、歯ブラシでこすり落としてからマシン油などを散布(塗布)するのが効果的です。また、余った石灰硫黄合剤は、水で薄めて地表にまくと地表温度を上げるため、防寒対策にもなります。

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通年発生するカイガラムシ。弱った株につき、さらに衰弱させる。
成虫は殻に守られていて通常の薬剤散布では効果が薄い。使い終わった歯ブラシでこすり落とす。

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(左)早掘りしすぎて芽が伸び始めているものや、しおれているものは避ける。
(右)芽が赤みを帯びてぷっくりとふくらんでいるものがよい。

≪バラ栽培これだけは≫

▼芽が伸びていないものをセレクト。
▼枝にシワが入っているものはNG。
▼ 赤みを帯びてぷっくりとした新芽!

来年の庭に想いを託す季節。公園の散歩で実践イメージを

バラが休眠期に入る前に、秋の開花を大いに楽しみましょう。
春に出回る新苗は、冬剪定がされているため花枝しかあがっておらず、なかなか本来の姿をイメージしにくいものです。
結果、思った以上に樹高が高くなってしまった...なんていう人もいるのではないでしょうか。
秋の公園を散策しながら、購入をしようか検討中のバラを実際に見て、春とは異なる花色や生長後の樹形、樹高を確認するチャンスです。

また、原種に近いものがみごとな紅葉を見せてくれたり、さまざまなローズヒップを楽しめたりと、この時期の公園は、カタログを見るだけでは分からない、生きた情報に溢れています。
ぜひ、実際に公園へ足を運んでみてください。

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Garden&Garden 特別編集

「大好きな草花に囲まれて暮らしたい」「もっと自分らしい庭をつくりたい」そんな思いを持ったガーデナーに向けて、等身大のガーデンライフをガーデニング季刊誌 Garden&Gardenにて提案。 「いかに使うか」や「どう過ごすか」で、庭やベランダがもう一つのリビングに大変身。インテリアを楽しむように、自分にあった素敵な空間をつくるヒントを発信しています。

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