熱伝導に優れ、調理の時間短縮ができるとして人気の鉄フライパンですが、使っているとゴキブリが出てくると言われることがあります。本当に鉄フライパンを使っていると、ゴキブリが出やすくなるのでしょうか。鉄フライパンとゴキブリの関係について説明しましょう。

ゴキブリは雑食性の昆虫ですが、鉄やプラスチックなどを食べることはありません。ゴキブリが鉄フライパンに寄ってくるのを見て、鉄フライパンを食べていると思っている人もいるようですが、鉄を食べているわけではありません。鉄フライパン自体にゴキブリを引き寄せる性質はないと考えて良いでしょう。

しかし、ゴキブリが発生しやすい環境の中で鉄フライパンを置いていたり、調理時の油が付着したまま放置したりしていると、ゴキブリが寄って来る可能性があります。これは、鉄フライパンの手入れや保管の方法に問題があるためで、ゴキブリを寄せつけないように対策を考えることが大切です。

鉄フライパン本体にゴキブリを寄せ付ける性質はありませんが、ゴキブリが寄ってくるのは鉄フライパンでの手入れや保管方法に問題があるからです。ゴキブリの発生が気になる人は、ゴキブリが鉄フライパンに寄ってくる理由を理解し、普段の鉄フライパンの使い方や保管方法を見直しましょう。

鉄フライパンにゴキブリが出ると言われる理由
・残った油と食品カスが餌になるから
・コンロ下などの保管場所が隠れ家になるから
・蓄積された汚れの臭いに引き寄せられるから

鉄フライパンにゴキブリが寄って来る主な理由の一つは、表面に残った油や調味料、食材のカスを餌として食べているからです。ゴキブリは雑食性ですが、特に油分の多い物を好んで食べます。このため、鉄フライパンで炒め物などをしたときに付着した油や食品カスなどに引き寄せられている可能性があります。

油だけではなく、砂糖などの調味料も餌として食べるため、調理後に放置された鉄フライパンは、ゴキブリにとって格好の餌場と言えるでしょう。また、鉄フライパンは使う前後に油で表面に油膜を作る油慣らしを行うことが一般的です。油慣らしでできた油膜は洗剤の洗浄成分で落ちてしまうので、使った後の鉄フライパンは基本的に洗剤で洗ってはいけないとされています。

しかし、油慣らしで作った油膜もゴキブリの好物です。このため、鉄フライパンの保管方法にも対策が必要です。

一般的にゴキブリは狭くて暗い、湿っている環境を好む傾向があります。そのため、コンロやシンク下の収納棚といった、鉄フライパンの保管場所がゴキブリの隠れ家になりやすいのも、鉄フライパンの周りにゴキブリが現れる理由の一つです。特にシンク下は高温多湿になりやすい場所で、ゴキブリのすみかや産卵場所になっているかもしれません。

このため、高温多湿な場所の周辺に鉄フライパンを放置していると、隠れ家から出てきたゴキブリが鉄フライパンに付着した油などを食べに寄って来てしまうことがあります。

ゴキブリは臭いに敏感で、人間の一万倍鋭い嗅覚を持つと言われます。そのため、鉄フライパンにこびり付いた汚れや油の臭いに誘われて出て来るというのも理由の一つです。また、ゴキブリは一度嗅いだ臭いを覚えているほど学習能力が高く、餌となる鉄フライパンの汚れの臭いを辿って、何度もやって来ることもあります。

また鉄フライパンに付着した油が空気などに触れて酸化したときに発生する強い臭いも、ゴキブリを引き寄せる原因です。

鉄フライパンにゴキブリが発生するのには、さまざまな原因がありますが、調理や手入れなどの際、適切な対策をしていれば、ゴキブリが出てくるのを防げます。鉄フライパン自体の手入れだけでなく、コンロやシンクなどのキッチンを清潔な環境に整えておくこともゴキブリ対策のポイントです。

鉄フライパンのゴキブリ対策方法
・使用後すぐに洗う
・洗浄後はフライパンを完全に乾燥させる
・錆止め油はごく薄く塗る
・フライパン周りの環境を清潔にする
・ゴキブリの捕獲器や駆除剤を設置する
・錆びにくい鉄フライパンを使用する

使った後の鉄フライパンの表面には油汚れや細かい食材くずが残っていることが多いため、すぐに洗って手入れしておけば、ゴキブリの餌が無くなるので、寄ってくることもなくなります。手入れの際には鉄フライパンがまだ温かいうちにお湯で洗えば、洗剤を使わなくても油汚れなどを楽に落とせます。

洗う場合は鉄フライパンを傷つけないよう、柔らかいスポンジを使って手入れすることが大切です。汚れがひどくてお湯だけでは汚れが落ちにくい場合、洗剤を使って落とさなければならないこともありますが、洗剤によって焦げ付きを防ぐ表面の油膜が流れ落ちてしまいます。そのため、洗剤で手入れした後は必ず、油慣らしをしましょう。

お湯や洗剤で洗った鉄フライパンは水気を取り、完全に乾燥させて収納するのも、ゴキブリを寄せ付けないために大切なことです。

鉄フライパンに水気が残った状態でシンク下などに収納すると、保管場所の湿気を上げる原因になります。ゴキブリは湿気の高い環境を好むため、プライパンの保管場所はできるだけ湿気がこもらないようにしましょう。

鉄フライパンは使う前と後にサビや焦げ付きを防ぐための油慣らしをしますが、油が多すぎるとゴキブリの餌になります。油慣らしの際に使う錆止め油は少量にし、鉄フライパンの全体に薄く均一になるように塗り広げることが大切です。油慣らしをした後はキッチンペーパーで表面を拭くと、余計な油が鉄フライパンに残らず、ゴキブリ対策になります。

洗剤で洗える鉄フライパンであれば、洗剤で洗った後に油慣らしをせず、しっかり乾燥させて保管するとよいでしょう。使う前に毎回油ならしをする手間はかかりますが、鉄フライパンの油分を落としてから保管できるのでゴキブリが寄って来ません。

鉄フライパンをきれいに手入れしていても、コンロやシンクの周りが汚れているとゴキブリが発生する原因になります。特に生ゴミやコンロ周りに付着した料理の吹きこぼれなどを放置していると、臭いに引き寄せられてゴキブリが集まって来る可能性があります。そのため、ゴキブリ対策をするのなら、鉄フライパンだけでなくキッチン全体の手入れを行うことが大切です。

料理の際に出た生ごみは溜め込まずに袋へ入れて処分し、調理後のコンロやシンク周りの汚れはこまめに拭き取りましょう。

鉄フライパンにゴキブリが近寄らないようにするために、ゴキブリの捕獲器や駆除剤などをキッチンに置いておくのも有効な対策です。置き餌や誘引殺虫剤などの設置型の駆除剤であれば巣にいるゴキブリまで退治できますし、スプレータイプや煙タイプの殺虫剤を散布すれば、確実に駆除できます。

設置型の捕獲器や駆除剤を置く場合は、鉄フライパンを保管している棚やゴミ箱の周辺など、ゴキブリが寄ってきやすい場所に選ぶと効果的に退治できます。

錆びにくいコーティングが施されている鉄フライパンを選ぶことも、ゴキブリが寄って来ない環境を作るのに有効な方法です。一般的な鉄フライパンのように錆び付き防止のための油慣らしをする必要がなく、フライパンの表面の油分に引かれてゴキブリが集まって来るのを防げます。

また、錆びにくい鉄フライパンは洗剤が使えることが多く、一般的な鉄フライパンに比べて汚れも落としやすく手入れが簡単です。

正しい手入れをすることで鉄フライパンのゴキブリ対策ができますが、保管方法を工夫することも大切です。ゴキブリが近寄って来るのを防ぐため、次のような方法でフライパンを保管しましょう。

鉄フライパンでゴキブリを出さない正しい保管方法
・吊るして収納する
・立てて収納する
・フライパンケースに入れる
・フライパンの蓋を被せて収納する
・ビニール袋や段ボールに収納する

鉄フライパンを頻繁に使う場合は、手入れ後にフックなどで吊るして保管すると、すぐに使いやすく、ゴキブリ予防にもなります。風通しの良い場所に吊るしておけばフライパンの中に湿気が溜まらないため、サビの発生を防げるのもメリットです。吊るして鉄フライパンを保管する際は、油慣らしをした後の油が垂れないように、適度に拭き取ってから収納しましょう。

収納スタンドやラックを使い、立てた状態で保管しても、ゴキブリが鉄フライパンに近寄るのを防げます。フライパンを重ねて平置きするよりも通気性が良くなるので、ゴキブリが好む湿気が溜まるのを防げるうえ、錆びの予防にもつながります。

アウトドアで使われるフライパンケースに入れて保管するのも、ゴキブリが鉄フライパンの内部へ侵入するのを防ぐ効果的な方法です。一般的にアウトドア用のフライパンケースには内側にクッションが付いている物も多く、鉄フライパンを入れておくことで保管時に傷などが付いてしまうのも防げます。

フライパンケースは気密性が高い分、湿気がこもりやすいので、錆びが発生しないよう通気性が高い素材の物を選びましょう。

キブリが寄って来るのは、鉄フライパンの内側に付着した油の臭いなどが主な原因です。そのため、保管時に蓋を被せると鉄フライパンの内側に残っている食材や油の臭いが外へ漏れ出すのを防げるので、ゴキブリが近寄るのを防げます。もし、近寄ってもフライパンには侵入できません。使う蓋は、鉄フライパンのサイズに合ったものを使いましょう。

フライパンの直径よりも蓋が小さいと、隙間から臭いが漏れ出したり、ゴキブリが侵入したりする可能性があります。また、蓋を被せて保管する際は鉄フライパンの本体と蓋が十分に乾燥していることを確認しましょう。フライパンに水気が残ったまま蓋をするとサビの原因になります。

鉄フライパンはさまざまな料理に使える半面、間違った方法で手入れや保管をしているとゴキブリを引き寄せる原因になってしまいます。しかし、気を付けているつもりでも、ゴキブリが寄って来てしまうと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。鉄フライパンとゴキブリの関係について、よくある疑問とその答えをQ&A方式で紹介します。

A.1 鉄フライパンの手入れでは基本的に洗剤を使わずに、お湯で洗いましょう。焦げ付き予防のための油膜が落ちてしまうので、洗剤を使うのはあくまで頑固で落ちにくい油汚れが付着してしまったときだけにすることが大切です。お湯で洗ったらキッチンペーパーなどで水気を拭き取り、中火で一度加熱して水分を完全に飛ばしましょう。

フライパンが完全に乾燥したら、サラダ油などを少量入れてキッチンペーパーで全体に薄く塗り広げます。手入れの際には鉄フライパンが高温になっているので、火傷には十分気を付けましょう。

A.2 鉄フライパンは、他の素材のフライパンやコーティング加工されているものに比べ、手入れに手間がかかりますが、正しく扱えば一生使えると言われるほど丈夫で長持ちします。また、ガスコンロとIHの両方に対応している製品が多いうえ、熱伝導が優れていて高温調理も可能です。

手軽さを重視してフライパンを選ぶ人は後悔する可能性がありますが、料理の仕上がりや調理方法にこだわりたい人には最適のフライパンといえるかもしれません。

同じ鉄フライパンでも、メーカーやブランドによってさまざまな工夫が施されているため、扱いやすさや料理の仕上がりは少しずつ異なります。家庭でも使いやすい鉄フライパンを5点紹介しましょう。