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専門家「風景」をつくるガーデニング術

ネットでオープンガーデン、自宅ガーデン2022

居場英則

7月も中旬に差し掛かり、まだ梅雨も明けきらず、なんだか蒸し暑い日が続く今日この頃です。

今年の春のバラシーズンも早々に終わり、我が家は6月の紫陽花ガーデンも終わって、今はただ植物の葉が

生い茂るだけのガーデンとなっています。

そんな中ですが、毎年恒例の「ネットでオープンガーデン」企画を実施してみようと思います。

我が家のガーデンは、数年前にはオープンガーデンを実施していた時期もあったのですが、

ある年、テレビの取材があり、放送後に想像を超えるたくさんの方が我が家のオープンガーデンに詰めかけ、

ご近所に大変ご迷惑をおかけしたこともあって以来、オープンガーデンはしないことにしました。

ごく限られた知人、友人が時々、バラシーズンの到来を待って、遊びに来てくれる程度になりました。

ただ、我が家のバラ庭を是非見てみたいとおっしゃってくださる方もいらっしゃいますので、

ここ数年、コロナ禍ということもあり、「ネットでオープンガーデン」という企画で、我が家のバラ庭を

ディノスさんのこちらのサイト上で公開させていただいております。

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さて、今年2022年は、バラの当たり年と言われているそうですね。

我が家でも、ここ数年の中では一番よく咲いたように思います。

年々、地球温暖化の影響か、バラの開花時期が早まり、開花期間も短くなっているように思います。

今年は、ここ数年よりバラの開花は遅めで、バラの花が咲いている期間も長かったように思います。

そんな我が家のバラ庭を、様々なアングルからご覧いただけるよう、ご案内いたします。

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今年、最も美しく、気に入っていた風景がこちら。

我が家の前庭、オープン外構の隣地境界側の花壇エリアです。

手前は駐車場で、北側の隣地境界のフェンスに沿って、高木のオリーブの木が3本、その足元に木立性のバラ、

奥の白い木製フェンスにもつるバラを誘引しています。

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少しアングルを変えてもう一枚。

我が家の前庭は、オープン外構になっていて、前面道路に面して開かれたガーデンです。

前庭の大部分には乱張り石が敷き詰められていて、土の部分がほとんどないのですが、

隣地境界際には、幅1m、奥行5mほどの土の花壇があります。

以前は、アガパンサスや紫陽花などを植栽していましたが、今は、木立性、シュラブ樹形のバラをメインに

植栽しています。

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この花壇のコンセプトは、「キャンディカラー」。

我が家のバラ庭は、当初からピンクや赤いバラに絞って植栽していましたが、バラを始めた頃から10年が経ち、

好みも風景も変わってきたので、ここ数年は、オレンジ色やアプリコット、黄色などの鮮やかな花の咲くバラを

多数育てています。

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手前の木立性&シュラブ樹形の色鮮やかなバラは、和バラやイングリッシュローズで、

背景の白い木製フェンスに誘引したつるバラ、ピンクカクテルの花色に調和する色彩のものをセレクトしています。

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もともと、このエリアには、白い木製フェンスに誘引したピンクカクテルというつるバラがメインでした。

名花・カクテルの枝替わりのピンクカクテルは、花弁の外側が鮮やかなピンク、内側は開花直後は黄色が

咲き進むにつれて白く変色していきます。

そのピンクカクテルの花色を引き立てるように、淡いブルーのクレマチス・天塩を誘引しています。

今年は、ピンクカクテルの枝を株元から両サイドに広く誘引し、大きな面積で咲かせました。

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ピンクカクテルの手前の花壇には、シャーベットオレンジ~黄色にグラデーションするように、

イングリッシュローズのタモラ、カーディングミル、シャーロットオースチン、ゴールデンセレブレーション、

トランクウィリティ、トロワラスなどの品種を植栽しています。

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こちらは、前面道路側から見た「キャンディコーナー」。

一番手前の濃いオレンジ色はフランスのバラでラデュレ、その後ろにブルドゥパルファムという薄紫色のバラ。

色鮮やかなバラの足元に、ブルーのサルビアを密植して締めています。

さらに、今年手に入れたばかりのお気に入りの宿根草、コエビソウというオレンジ色の花が咲く植物も

鉢植えでセットしています。

この前庭のキャンディコーナーは、早咲き品種のバラが多いため、

遅咲き品種を集めた前庭の建物外壁面より一足先にピークを迎えます。

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続いて、開花順に庭を巡って行きましょう。

こちらは、我が家の中庭で、和室の開口部の上部に誘引しているつるバラで、

スパニッシュ・ビューティ。

我が家にあるバラの中で、毎年一・二を争う早咲き品種のバラです。

今年は昨年以上により高い位置までつるを持ち上げて誘引しました。

実は、この写真に写っているエリアに3つのつるバラを誘引しているのです。

徐々につるバラも大きく育ち、より大きな面積を必要とするため、

次第に誘引の難易度がどんどん高くなる位置へ誘引せざるをえなくなっています。

このスパニッシュ・ビューティも高い脚立の上の方に登ってようやく誘引できる高さです。

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スパニッシュ・ビューティは、ほかのバラが咲きだす前に満開を迎える早咲き品種のため、

他のバラと合わせるのが難しい、孤高の品種です。

複数のバラとの組み合わせを模索して風景を作ろうとすると、使いにくいバラですが、

まさにその名の通り、スペインの踊り子が舞うように咲くその美しい花姿から手放せないバラでもあります。

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我が家の中庭は、建物に囲われたパティオのような小さな空間です。

しかも、そのほとんどのスペースに前庭同様、乱張り石が敷き詰められていますので、

土の部分がほとんどないため、様々な工夫を必要とする空間です。

多くの植物は鉢植えで育てていますし、地面だけでなく、建物の外壁面、ガラス面も活用しながら、

立体的な植栽をしています。

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前庭から、中庭にはいってくるとまず最初に見える風景がこちら。

ここ数年、鉢植えのバラを可能な限り庭のあちこちに地植えして、鉢の数を減らしてきたのですが、

逆にバラ以外の植物でどうしても育ててみたい品種なども再現なく増えてしまって、

中庭は、足の踏み場もないほどの鉢植えに占拠されています。

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上の写真から一歩中庭側に入って後ろ(入って来た側)を振り返ると見えるのがこちらの風景。

向かって左側の建物は、「サンルーム」と呼んでいる倉庫兼自転車置き場。

このサンルームの中庭側はガラス張りの壁面となっていますが、こちらにも大型のつるバラ、

ピエール・ド・ロンサールを誘引しています。

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一方、右側の建物(母屋側)の小さな壁面には、イングリッシュローズのつるバラ、

テス・オブ・ダーバービルズという赤い花を咲かせる品種を誘引しています。

今年は、多くの枝を壁面に這わせることができたので、これまでになく

ボリューム感のある壁面ができました。

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こちらは、テス・オブ・ダーバービルズ。

イングリッシュローズの中で、赤花のつるバラは珍しく、このテスは

ステムが少し長めという欠点はありますが、とても美しい花を咲かせてくれます。

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こちらは、中庭のシェードガーデンゾーン。

南側に隣接建物が建っている関係で、中庭の大部分は日当たりの悪いシェードガーデンです。

こちらの隣地境界の木製フェンスに誘引しているのが、名花・レオナルド・ダ・ヴィンチの枝替わり品種の

アントニオ・ガウディ(別名:シルバー・レオナルド・ダ・ヴィンチ)

日陰のため、花数は決して多くありませんが、毎年必ず花を咲かせてくれます。

アントニオ・ガウディに沿わせているのが、クレマチスのフォンドメモリーズ。

こげ茶色の木製フェンスを背景に、バラとクレマチスのコンビネーションがうまくいっています。

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ここから遅咲きのバラが多い前庭ゾーンへと戻ります。

こちらが、建物の外壁の一部に設けたガラス扉を開けて、中庭方向を見たアングルです。

奥が建物に囲われた中庭エリア、手前がオープン外構の前庭エリアです。

このガラス扉の両側から、壁面を使ってアーチ状につるバラを誘引しています。

左側の壁面には、上からキングローズ、チェビーチェイス、レッドキャスケードという赤いバラばかりを

重ねて配置しています。

ガラス扉の左側には、壁面につるバラのジャスミーナ、その隣にパレード。

足元には、テラコッタの鉢植えで、レディ・エマ・ハミルトンなどが見えています。

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一気にカメラを引いて、我が家の前庭の全景です。

前面道路に面して仕切りのないオープン外構のガーデンとなっています。

左側が屋根のない駐車場エリア、右側が中庭へと続く玄関アプローチです。

一番手前の道路側の花壇には、シンボルツリーの株立ち樹形のエゴノキを植栽しています。

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こちらがエントランスアプローチです。

手前の隣地境界(白いブロック塀が境界)側に、赤い花の咲くつるバラ、カクテルを誘引しています。

境界フェンスの左側(我が家の敷地側)にカクテルの株元があり、そこから境界ブロックの外側(隣地側)に

花が咲くように誘引しています。

さらに、同じカクテルをオベリスク仕立てにした鉢植えを、隣地(お隣さん)の敷地内に置かせていただいています。

もちろん、お隣さんのご了解もいただいてのことですが、こうすることで地植えと鉢植えのバラがより一体的に

咲き誇り、ボリューム感のある風景を作ることができます。

さらに、引き込み電柱にもつるバラ、チェビーチェイスを巻き付け、誘引することで高さ方向にも

バラの花の広がりを持たせることができています。

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こちらの写真を見ていただくと、隣地境界の白いタイルを貼ったブロック塀の内側(我が家の敷地側)に

つるバラ、カクテルの株元があるのが分かると思います。

それを隣地境界の塀の外側(隣地側)に引っ張って誘引しています。

前庭も、その大部分に乱張り石を敷き詰めていますので、土の部分が極端に少なく、

多くの植物は、玄関アプローチの沿って鉢植えで植栽しています。

正面奥に見えているのが、中庭へと続くガラス扉です。

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昨年この玄関アプローチに咲いていた遅咲きのクレマチスのプリンス・チャールズの青い花は見当たりません。

うまく根づかなかったのか、プリンス・チャールズは枯れてしまいました。

前庭は西向きで、強い太陽の光に晒され、デリケートなクレマチスは、なかなか育成が難しいのです。

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こちらは、玄関アプローチの隣地境界側のブロック塀。

この塀にも、バロン・ジロー・ドゥ・ラン、スーベニール・ドゥ・ドクトル・ジャメインなどの

つるバラを誘引しています。

これらのつるバラは、早咲き品種のため、建物外壁に誘引した遅咲きのつるバラが咲き始める頃には

ピークを過ぎてしまうのが残念です。

足元には、地植えのクリスマスローズ、その内側(アプローチ側)には、鉢植えで様々な葉色の

ヒューケラを並べています。

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こちらは、前庭の一角で、我が家には珍しいアーチを使ったコーナーです。

アーチには、右側からアップルシード、左側からは古いイングリッシュローズのヒルダ・ミュレルを誘引。

その手前の花壇には、同じくイングリッシュローズのラジオタイムズ、ウィリアム・モリス、

ジェームズ・ギャルウェイなどをトレリスを使って誘引しています。

それ以外にも、シャクヤク、クレマチスなども混植したゾーンです。

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エントランスアプローチから、建物を見たアングルで、我が家の庭の印象を一番わかりやすく伝えることができる

アングルかもしれません。

手前左側のシンボルツリーのエゴノキと、右側のヤマモミジの高木が作る緑のトンネルを抜けるように

建物(中庭)へと導かれる演出です。

画面左手前の小壁には、小花で一重咲きのつるバラモーツアルトと、白いクレマチスのアンドロメダが

コラボしています。

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中庭へと続くガラス扉のある開口部へと近づいてみます。

建物外壁に誘引したつるバラを使って、ガラス扉のある開口部の周りに、ウェルカムアーチを作っています。

赤(キングローズ、チェビーチェイス、レッドキャスケード)、濃いピンク(パレード)、

淡いピンク(ジャスミーナ)など、同系色に絞ってバラの品種を選んでいますので、

調和のとれた風景になっていると思います。

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反対サイドからのアングル。

左側のジャスミーナはステム(花茎)が長く、長い枝先にブーケ状の花をたくさん咲かせるので、

その重みで花が枝垂れて咲きます。

ですので、なるべく上部に持ち上げて、上から滝のように咲かせるのが誘引のポイントです。

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少し引いたアングルがこちら。

建物外壁面に同心円状に誘引した感じが分かるでしょうか?

鮮やかなピンクのバラ(パレード)が、緩やかな円弧を描きながら、壁面を駆け上っているのが分かります。

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さらに引いたアングルがこちら。

建物の中央部に小さな窓がありますが、

その左側半分には、赤い花の咲く数種類のつるバラを集めたゾーンになっています。

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その部分を正面から見たところ。

昨年の同じ場所を撮影した写真と比較しても、それぞれのバラは大きく充実してより広い面積で咲いています。

この赤バラゾーンには、チェビーチェイス、フロレンティーナ、ブレイズに加え、紫色の小花のヴァイオレットも

混じっています。

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前庭に面した建物全景が入るように撮ってみました。

園芸YouTubeチャンネル「ショクナナ!」でも、この前庭のつるバラについて解説していますが、

この「壁庭」をつくるポイントは、

 1)花色を合わせる

 2)花期を合わせる

 3)背景(白い壁面)を活かす

 4)誘引の姿(同心円・波紋状)にこだわる

 5)地植えと鉢植えをミックスする

ということです。

詳しくは、こちらのブログのバックナンバー(園芸YouTubeチャンネル「ショクナナ」第2回配信)を

ご覧ください。

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大きな壁面(「壁庭」)を斜めから見たところ。

冬の誘引の姿がよく分かるアングルです。

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赤いバラだけを集めた壁面のアップです。

近くで見ると、どのバラがどれか違いが分かるのですが、写真だとその違いが分かりにくいです。

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少し引いて、駐車場側から見た前庭です。

手前の小壁には、ピンクの一重咲きのつるバラ、モーツアルトを誘引しています。

レイヤー(層)を重ねるように、バラが咲いている壁面を何層にも設け、奥行き感を出すように

空間的な工夫をしています。

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こちらは、建物にギリギリ寄ったとところから、玄関アプローチ方向を見たアングルです。

前庭には、一番道路側に近い部分に、シンボルツリーの株立ち樹形のエゴノキ、エントランスアプローチに

株立ちのヤマモミジ、建物の際の株立ちのアオダモという風に、バラだけでなく、高木類をうまく散らすことで、

奥行き感を演出するとともに、高木の緑陰により、昨今の温暖化による気温上昇に対抗するようにしています。

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こちらは、駐車場部分。

普段は車を置いていますので、このように奥まで見渡せることはないのですが、

車を避けるとオープン外構の広がり感を演出することができます。

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そして、画面左側が前庭の駐車場スペースに面した隣地境界の花壇エリアです。

この花壇に植栽しているバラは早咲き品種ばかりですが、今年は遅咲き品種が咲き出すまで咲いてくれました。

おかげで、早咲きのバラも遅咲きのバラも、すべてが咲き揃った状態の風景を見ることができました。

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そして、こちらが今年の我が家のガーデンの風景の写真の中で、最も気に入っているアングル。

手前にキャンディゾーンの鮮やかなバラとブルーサルビア、奥に我が家の庭の代名詞でもある「バラの壁庭」、

シンボルツリーの株立ちのエゴノキやヤマモミジ、アオダモに加え、キャンディゾーンに列植したオリーブまで、

全てこの一枚の中で見ることができます。

今年は「バラの当たり年」と言われるほど、我が家のガーデンでも、美しくバラが咲いてくれました。

まだまだ改善すべきところも多々ありますが、目指すべきひとつの到達点まで来た感はあります。

今後、また新しい庭の風景を創出すべく、「Chenge My Garden」をモットーに頑張っていきたいと思います。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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