2025.5.27 / ガーデニング術実験集合住宅・NEXT21の緑化
5月終盤、そろそろ今年のバラシーズンも閉幕といった時期になってきました。
我が家のガーデンの今年のバラの様子については、また時期を見て紹介したいと思います。
一方、僕がデザインさせてもらった京都の京北という場所にあるバラ園「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」
(通称:京北バラ園)は、少し冷涼な気候の場所にあるため、1ヶ月ほど遅い開花になるため、
これから見頃を迎えます。
こちらも、またタイミングを見て今年の開花の様子をレポートしたいと思っています。
そして、今回のブログ記事は、少し前にもツツジの記事を書かせていただいた、大阪ガスさんの実験集合住宅、
「NEXT21」に植栽させていただいた、つるバラの開花についてレポートしてみようと思います。
こちらが、大阪ガスさんの実験集合住宅・NEXT21。
大阪市内の天王寺区にある集合住宅で、大阪ガスグループの社員の方が住まわれている実験住宅で、
日々、暮らしながら、様々な実証実験が行われています。
この実験集合住宅・NEXT21の居住実験が始まって、昨年が30周年だったこともあり、様々な周年事業の企画に
関わらせていただきました。
その一環で、「立体街路」と呼ばれる、建物南側にコの字型に設けられた共用廊下の植栽花壇に、
何本かのつるバラを植栽させていただきました。
空中にブリッジが2本、飛んでいるのが分かりますか?
なかなかこんな集合住宅、他にないでしょう。
少し寄ってみます。
写真右側の建物外壁(実は共用廊下)から枝垂れて咲くピンクの花が見えると思いますが、
こちらが3年前に植栽させていただいたつるバラのうちのひとつ、品種はマニントン・マウブ・ランブラーです。
さらに望遠レンズで寄ってみると、最上階(6階)の屋根の上に、立派に育った木が見えていますね。
ここは屋上庭園になっていて、家庭菜園の他に、大きな樹々が植えられています。
建物の5階にある空中ブリッジから、先ほど下から見上げていた屋上庭園方向を見たアングルです。
この空中ブリッジを渡った正面に、何か見えていますね。
ここは、共用部(立体街路と呼ばれる路地のような通路空間)の一部で、アルコーブ状に膨らんだスペースです。
正面の住戸(501号室)の専用庭として、ここの住民の方が様々な植物を植えて育てておられます。
もう少し寄ってみます。
正面に木製のチェアーとテーブルが置かれています。
ここで、この住戸の住民の方や、この集合住宅に住まわれている他の住民方々と、お茶を飲んだり、
風景を眺めたりされています。
こちらの住民の方から相談を受けて、この壁面を彩るつるバラを植えたいとのことで、
ご希望を聞いて、パレードという鮮やかなローズピンクの花が咲く品種をお勧めしました。
そのパレードを植えてから今年で3年目。
ようやくたくさんの花が咲いてくれました。
このアルコーブ状の専用庭を正面から見たアングルです。
正面の手すりにも実は、枝垂れ咲くつるバラを誘引しています。
その手前の花壇にもたくさんの植物が植栽されています。
ここは1階ではなく、5階の共用廊下なんですよ。
そうは見えないほど、豊かなガーデンが出来上がっています。
住戸の壁面は、入れ替えできるような乾式の方法でつくられています。
その壁面にワイヤーを直接は張らずに、手すりや排気のダクトキャップ、雨水排水の竪樋などを活用して
ステンレスワイヤーを張っています。
そのワイヤーにつるバラを誘引しています。
少し上から(屋外階段から)見下したアングルです。
ちょうど良い奥まったアルコーブ状の空間を、うまく使いこなしておられます。
更に引いて、全景が分かるように撮影してみました。
更に引いて見るとこんな感じ。
屋外階段からつながる空中ブリッジ、その交差点にこのガーデンがあります。
まさに「空中庭園」といった感じです。
その空中庭園を、外から見えげて見るとこんな感じ。
手すりの部分から枝垂れるように、つるバラを誘引(下げおろ)しています。
このバラ、枝先を下垂させても咲く品種で、フランソワ・ジュランビルです。
本当はもっと咲くはずだったのですが、冬場、外観の補修工事のため
足場と養生シートが掛かっていたため、花芽に光が当たらなかったのが原因で
今年は、残念ながらほとんど咲きませんでした。
来年は、ここが滝のようにピンクの花が咲くはずです。
こちらは、301号室の専用バルコニー内に植栽されているつるバラです。
ここは、僕は全く関与していないのですが、住民の方が植えられたものです。
品種は分からないのですが、バルコニーの向こう側(南側)を向いて、たくさんの花が咲いていました。
手前にチェアと丸テーブルが置いてあり、ヨーロッパの集合住宅のような素敵なワンシーンです。
外から見ると、こんな感じ。
写真右側のバルコニーから迫り出すように、花が咲ているのが見えました。
こちらは、コの字型の共用廊下の真ん中部分、4階の奥まったバルコニーです。
ここには室内とつながったウッドデッキが敷かれていて、そこに小さな子供用のチェアとテーブル・キャンプ用の
チェアなどが置かれていて、とても楽しそうな日常が垣間見れます。
コの字型の共用廊下を、3階の空中ブリッジから見たアングルです。
3階の通路部分には、ピンクのつるバラ、マニントン・マウブランブラーが咲き、
その上の会には、白モッコウバラを植えています。
モッコウバラは早咲きなので、すでにピークは過ぎてしまいましたが。
こちらは、5階の空中ブリッジから、コの字型の中央、近い1階レベルにある「エコロジカルガーデン」を
見下したアングルです。
建物の水平面(地下1階)だけでなく、各階の共用廊下、壁面などにも緑化が施され、
建物自体がガーデンそのものといった感じです。
今度は、90度回転して、横からのアングルです。
地下1階のエコロジカルめがけて、各階の植栽が、まさに緑の滝のように流れ落ちているように見えます。
これだけの立体的な緑化をした集合住宅は、他にはないのではないでしょうか?
少しアングルを変えて最後の一枚。
空中ブリッジなどの建築的な魅力と、太陽光パネルや最先端のエネルギー設備を搭載し、
さらに立体的な緑化が、この建物の魅力をさらに高めているように思います。
30周年を越えて、まだまだ進化する実験集合住宅・NEXT21の今後の姿に、是非期待していただきたいと思います。
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