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専門家「風景」をつくるガーデニング術

実験集合住宅・NEXT21、つるバラの咲く風景

居場英則

5月終盤、そろそろ今年のバラシーズンも閉幕といった時期になってきました。

我が家のガーデンの今年のバラの様子については、また時期を見て紹介したいと思います。

一方、僕がデザインさせてもらった京都の京北という場所にあるバラ園「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」

(通称:京北バラ園)は、少し冷涼な気候の場所にあるため、1ヶ月ほど遅い開花になるため、

これから見頃を迎えます。

こちらも、またタイミングを見て今年の開花の様子をレポートしたいと思っています。


そして、今回のブログ記事は、少し前にもツツジの記事を書かせていただいた、大阪ガスさんの実験集合住宅、

「NEXT21」に植栽させていただいた、つるバラの開花についてレポートしてみようと思います。

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こちらが、大阪ガスさんの実験集合住宅・NEXT21。

大阪市内の天王寺区にある集合住宅で、大阪ガスグループの社員の方が住まわれている実験住宅で、

日々、暮らしながら、様々な実証実験が行われています。

この実験集合住宅・NEXT21の居住実験が始まって、昨年が30周年だったこともあり、様々な周年事業の企画に

関わらせていただきました。

その一環で、「立体街路」と呼ばれる、建物南側にコの字型に設けられた共用廊下の植栽花壇に、

何本かのつるバラを植栽させていただきました。

空中にブリッジが2本、飛んでいるのが分かりますか?

なかなかこんな集合住宅、他にないでしょう。

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少し寄ってみます。

写真右側の建物外壁(実は共用廊下)から枝垂れて咲くピンクの花が見えると思いますが、

こちらが3年前に植栽させていただいたつるバラのうちのひとつ、品種はマニントン・マウブ・ランブラーです。

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さらに望遠レンズで寄ってみると、最上階(6階)の屋根の上に、立派に育った木が見えていますね。

ここは屋上庭園になっていて、家庭菜園の他に、大きな樹々が植えられています。

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建物の5階にある空中ブリッジから、先ほど下から見上げていた屋上庭園方向を見たアングルです。

この空中ブリッジを渡った正面に、何か見えていますね。

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ここは、共用部(立体街路と呼ばれる路地のような通路空間)の一部で、アルコーブ状に膨らんだスペースです。

正面の住戸(501号室)の専用庭として、ここの住民の方が様々な植物を植えて育てておられます。

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もう少し寄ってみます。

正面に木製のチェアーとテーブルが置かれています。

ここで、この住戸の住民の方や、この集合住宅に住まわれている他の住民方々と、お茶を飲んだり、

風景を眺めたりされています。

こちらの住民の方から相談を受けて、この壁面を彩るつるバラを植えたいとのことで、

ご希望を聞いて、パレードという鮮やかなローズピンクの花が咲く品種をお勧めしました。

そのパレードを植えてから今年で3年目。

ようやくたくさんの花が咲いてくれました。

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このアルコーブ状の専用庭を正面から見たアングルです。

正面の手すりにも実は、枝垂れ咲くつるバラを誘引しています。

その手前の花壇にもたくさんの植物が植栽されています。

ここは1階ではなく、5階の共用廊下なんですよ。

そうは見えないほど、豊かなガーデンが出来上がっています。

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住戸の壁面は、入れ替えできるような乾式の方法でつくられています。

その壁面にワイヤーを直接は張らずに、手すりや排気のダクトキャップ、雨水排水の竪樋などを活用して

ステンレスワイヤーを張っています。

そのワイヤーにつるバラを誘引しています。

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少し上から(屋外階段から)見下したアングルです。

ちょうど良い奥まったアルコーブ状の空間を、うまく使いこなしておられます。

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更に引いて、全景が分かるように撮影してみました。

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更に引いて見るとこんな感じ。

屋外階段からつながる空中ブリッジ、その交差点にこのガーデンがあります。

まさに「空中庭園」といった感じです。

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その空中庭園を、外から見えげて見るとこんな感じ。

手すりの部分から枝垂れるように、つるバラを誘引(下げおろ)しています。

このバラ、枝先を下垂させても咲く品種で、フランソワ・ジュランビルです。

本当はもっと咲くはずだったのですが、冬場、外観の補修工事のため

足場と養生シートが掛かっていたため、花芽に光が当たらなかったのが原因で

今年は、残念ながらほとんど咲きませんでした。

来年は、ここが滝のようにピンクの花が咲くはずです。

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こちらは、301号室の専用バルコニー内に植栽されているつるバラです。

ここは、僕は全く関与していないのですが、住民の方が植えられたものです。

品種は分からないのですが、バルコニーの向こう側(南側)を向いて、たくさんの花が咲いていました。

手前にチェアと丸テーブルが置いてあり、ヨーロッパの集合住宅のような素敵なワンシーンです。

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外から見ると、こんな感じ。

写真右側のバルコニーから迫り出すように、花が咲ているのが見えました。

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こちらは、コの字型の共用廊下の真ん中部分、4階の奥まったバルコニーです。

ここには室内とつながったウッドデッキが敷かれていて、そこに小さな子供用のチェアとテーブル・キャンプ用の

チェアなどが置かれていて、とても楽しそうな日常が垣間見れます。

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コの字型の共用廊下を、3階の空中ブリッジから見たアングルです。

3階の通路部分には、ピンクのつるバラ、マニントン・マウブランブラーが咲き、

その上の会には、白モッコウバラを植えています。

モッコウバラは早咲きなので、すでにピークは過ぎてしまいましたが。

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こちらは、5階の空中ブリッジから、コの字型の中央、近い1階レベルにある「エコロジカルガーデン」を

見下したアングルです。

建物の水平面(地下1階)だけでなく、各階の共用廊下、壁面などにも緑化が施され、

建物自体がガーデンそのものといった感じです。

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今度は、90度回転して、横からのアングルです。

地下1階のエコロジカルめがけて、各階の植栽が、まさに緑の滝のように流れ落ちているように見えます。

これだけの立体的な緑化をした集合住宅は、他にはないのではないでしょうか?

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少しアングルを変えて最後の一枚。

空中ブリッジなどの建築的な魅力と、太陽光パネルや最先端のエネルギー設備を搭載し、

さらに立体的な緑化が、この建物の魅力をさらに高めているように思います。

30周年を越えて、まだまだ進化する実験集合住宅・NEXT21の今後の姿に、是非期待していただきたいと思います。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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