揚げ物料理が好きな人は少なくありませんが、めんどくさい作業が多く、油の処理も大変なので、自宅ではあまり揚げ物をしないという人も多いのではないでしょうか。特に一人暮らしの人にとって、大量の油を使って、一人分の揚げ物料理を作るのはコスパが悪く、後片付けも面倒だと感じることが多いでしょう。しかし、工夫次第で一人暮らしでも簡単に揚げ物ができます。一人暮らしの人でも楽に揚げ物を調理できる方法を紹介しましょう。

一人暮らしで揚げ物調理を始める前に、適切な調理器具を揃えることが大切です。専用の調理道具があると、安全に調理でき効率も格段に上がります。具体的には、次のような調理道具を揃えましょう。

一人暮らしで揚げ物をする際に揃えたい便利な調理道具
・揚げ物鍋or深型のフライパン
・フライヤー
・菜箸orトング
・網orバット
・オイルポット

電気フライヤーがあれば、一人暮らしでも揚げ物調理が手軽にできます。温度調節機能が付いているので、初心者でも適切な温度を保ちながら調理でき、失敗せずにおいしい揚げ物ができるでしょう。また、コンパクトなサイズの物が多く、少量の食材を効率的に調理できるので、一人分の調理に最適です。

さらに、油の飛び散りを防ぐ蓋がついていれば、キッチンを汚すことなく調理できます。使用後の油の処理も、取り外し可能な内鍋タイプであれば簡単です。購入する際は自分のキッチンのスペースや使用頻度を考え、適切なサイズを選びましょう。

揚げ物をするときに、食材を油に投入したり、引き上げたりするのに、菜箸やトングが必要です。菜箸はやさしく食材を扱えるので、天ぷらなどの繊細な揚げ物を調理するのに向いています。30cm以上の長さの菜箸があると、油から十分に距離を保ちながら調理でき、やけどのリスクを軽減できるでしょう。一方、トングは食材をしっかりと掴めるので、から揚げやとんかつなどの重量のある食材を扱うのに最適です。

また、菜箸やトングがあれば、食材を裏返す作業も簡単にできます。どちらも耐熱性のある材質で作られている物を選び、料理の後は油汚れをしっかりと落として清潔な状態で保管しましょう。

揚げ物をする際、金網などがあると、余分な油をしっかりと切ることができ、カラッとした仕上がりになります。バットは網と組み合わせて使用すると、網から落ちた油をバットが受け止めてくれるので、キッチンを清潔に保てます。サイズは食べる分量に合わせ、洗いやすい材質の物を選べば、後片付けも楽です。

さらに、網は食材を一時的に置く場所としても利用でき、効率的に調理できます。ステンレス製や樹脂製など、さまざまな材質がありますが、耐熱性と耐久性を考慮して選ぶことが重要です。

一人暮らしの人が揚げ物を食べたいとき、揚げ焼きにしても良いでしょう。通常の揚げ物と比べて使用する油は少量なので、経済的で後片付けも楽です。また、少ない油でも十分においしく、一人暮らしの料理初心者にも挑戦しやすい調理法です。

一人暮らしで揚げ焼きをする際のコツ
・食材の水気を切り薄めに切る
・油の量は底から1〜2cm程度にする
・火加減に気をつける
・一度に揚げる量は少なめにする
・焼いている間、食材にはなるべく触らない

揚げ焼きでは、食材の下準備が非常に重要です。食材に水分が残っていると、油に入れた際に激しく油がはね、怖い思いをしたり、やけどをしたりすることがあります。油はねを防ぐため、唐揚げなど下味を付ける場合も、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから、衣をつけましょう。

また、食材を薄めに切ると、火の通りが早くなり、短時間で火が通ります。火を通す時間が短ければ、油の温度が下がるのを防ぎ、カラッとした仕上がりにもなります

揚げ焼きでは、食材の半分程度が漬かるくらいの少量の油で十分に調理が可能です。油は少量ですが、料理の途中で食材を裏返すと全体を均等に加熱できます。油が少なすぎると食材がくっついてしまうので注意しましょう。多すぎると通常の揚げ物と変わらなくなり、揚げ焼きにする意味がなくなってしまいます。少量の油であれば使用後の処理も簡単で、経済的にも負担が少なくなります。

フライパンのサイズに応じて油量を調整し、食材を入れる前に適切な温度まで加熱するのが、上手に焼くポイントです。使用済みの油は、各自治体の指示に従って捨てましょう。最近は使用済みの食用油から、航空燃料を製造するため、食用廃油の回収を行っている自治体やスーパーなども増えています。

揚げ焼きは、食材を入れ過ぎると油の温度が急激に下がってしまい、べたつきの原因となります。特に一人暮らしで、小さめのフライパンを使用している場合は、食材をなるべく小さくし、食材同士が重ならないよう適度に離して調理するのがポイントです。目安としてフライパンの底面積の5割程度に食材を配置し、余裕を持った状態で調理を進めましょう。

揚げ焼き中、頻繁に菜箸で動かしたりひっくり返したりすると、せっかくの衣が剥がれてしまい、見た目も食感も損なわれてしまいます。特に衣剥がれは、パン粉や小麦粉を使った料理で起こりやすく、一度剥がれると元に戻すことはできません。食材を油に入れたら、衣がしっかりと固まるまで待ち、表面の色が変わったタイミングで一度だけ裏返すのが基本です。

一人暮らしで揚げ物調理を行う際、注意しなければならない点があります。安全に調理し、調理器具の寿命を短くしないための大切なポイントです。安心して揚げ物ができるよう、次の点に注意しましょう。

一人暮らしで揚げ物する際の注意点
・コーティング加工のフライパンを使う場合は空焚きに注意する
・IHコンロに対応しているか確認する

テフロン加工など、フッ素樹脂でコーティングしたフライパンは、あまり高温の調理には向いていません。250度を超えると、フッ素樹脂が劣化しコーティングが剥がれる恐れがあります。しかし、揚げ物の調理は180度前後なので、普通に調理していれば問題はありません。

ただし、空焚きをしてしまうと、250度を超えることがあるので注意しましょう。コーティングが剥がれると食材がくっつきやすくなり、調理がしにくくなります。心配な人は、コーティング加工されていないフライパンや揚げ物専用の調理器を購入すると良いでしょう。

一人暮らしの住居では、IHコンロが設置されている場合があります。フライパンや鍋などを購入する前にはIH対応の表示があることや、底面が平らで磁石がくっつく材質であることを確認する必要があります。また、IH対応の調理器具の中には揚げ物に使用できない商品もありますので、耐熱温度などをよく確認しましょう。

IHコンロには温度の上がり過ぎを防ぐセンサーが付いている機種もありますが、フライパンの汚れや形状によっては上手く温度の上昇を感知できません。一人暮らしで揚げ物をする際は、温度センサーに頼り過ぎず、油の温度変化に注意しながら料理しましょう。

揚げ物を調理した後の油の適切な処理方法を知っておくことも大切です。最近は食用廃油を使った航空燃料の製造も始まり、食用廃油のリサイクルの取り組みも盛んになってきました。また、食用油を正しく処理しないと、環境に悪影響を及ぼすこともあります。一人暮らしで揚げ物料理をするのなら、正しい廃油の処理方法についても覚えておきましょう。

一人暮らしで揚げ物をしたあとの油の処理方法
・オイルポットに入れる
・凝固剤で固める
・牛乳パックに入れる
・ビニール袋に入れる

油が熱いうちに凝固剤を投入し、よく混ぜてから冷やすと固まって捨てやすくなります。固まった油は可燃ごみとして処理できるので環境にも優しい処理方法です。凝固剤は比較的安価で購入でき、使用方法も難しくありません。一人暮らしの人にとっては利用しやすいでしょう。

ただし、油の量に対して適切な凝固剤の量を使用することが重要で、少なすぎると完全に固まらず、多すぎると無駄になってしまいます。また、固まった油を再加熱すると、引火の恐れがあるので注意が必要です。使用前には凝固剤のパッケージに記載された使用方法をよく読み、安全に処理しましょう。

牛乳パックの内側はポリエチレンでコーティングされているので、油が漏れる心配がありません。油を完全に冷ましてから牛乳パックに注ぎ、新聞紙やキッチンペーパーを詰めて油を吸収させると可燃ごみとして処理できます。自然発火を防ぐため、水を加えておきましょう。

飲み終わった牛乳パックやいらない新聞紙など、捨てる材料だけで処理できるので、一人暮らしの人にとっても経済的な処理方法です。

二重にしたビニール袋の中に新聞紙やキッチンペーパーを入れ、冷めた油を少しずつ注いで吸収させる方法もあります。自然発火を避けるために水もしみ込ませてから、袋の口をしっかりと縛って可燃ごみとして処理しましょう。

ただし、熱い油を直接入れるとビニール袋が溶けてしまう危険があるので、必ず油が常温まで冷めてから処理を始めましょう。また、自治体やスーパーによっては、リサイクルのため、食用廃油の回収も行っています。住んでいる自治体や近くのスーパーなどで廃油のリサイクルを行っていれば、環境保全のため協力しましょう。

一人暮らしで揚げ物料理をより楽しく、手軽に調理するには、調理器具選びも重要です。機能性や実用性が高く、一人暮らしの人でも使いやすい商品を7点紹介します。

一人暮らしの人は、揚げ物は難しいし、面倒だと敬遠しがちですが、普段あまり料理をしない人も調理法の工夫によって楽に作れるようになります。一人暮らしの人でも、簡単に作れるレシピを紹介しましょう。基本的な揚げ物のレシピを身につければ、さまざまな食材を使った揚げ物料理にも応用でき、レパートリーも広がります。

材料
・じゃがいも：3個
・玉ねぎ：1/2個
・ひき肉：100g
・すき焼きのたれ：大さじ1と1/2
・塩、こしょう：少々
・小麦粉、パン粉：適量
・卵：1個
・揚げ油：適量

揚げ焼きコロッケのレシピです。

作り方
1.じゃがいもはよく洗って皮のまま半分の大きさ、玉ねぎはみじん切りに切る
2.じゃがいもを電子レンジで加熱して、皮を剥いてから潰す
3.玉ねぎとひき肉を炒め、すき焼きのたれ、塩、胡椒で味付けをする
4.じゃがいもと3の具材を合わせる
5.4の具を成形してから小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつける
6.フライパンに2cm程度の油を入れ、両面をきつね色になるまで揚げ焼きにする

すき焼きのたれを使うことで、出汁のうまみが加わり、味わい深くなります。お弁当のおかずとしても重宝するレシピで、一人暮らしの作り置きおかずにもなるでしょう。

材料
・鶏ささみ：6本
・塩：小さじ1/3
・あらびき胡椒：少々
・青海苔：適量
・小麦粉：大さじ2
・片栗粉：大さじ2
・卵：1個
・酒：大さじ1
・マヨネーズ：大さじ1
・すりおろしにんにく：小さじ1
・サラダ油：大さじ5

少量の油でできるささみを使った青海苔フライドチキンのレシピです。

作り方
1.ささみを縦半分に切りる
2.ポリ袋に胡椒、塩、卵、にんにく、酒、マヨネーズを加え合わせておく
3.2で合わせた物にささみを入れて味付けをし、冷蔵庫で10分味を染み込ませる
4.バットに薄力粉、片栗粉を入れて混ぜ合わせ、ささみ全体にまぶす
5.フライパンに油を入れ、きつね色になるまで揚げ焼きにする

一人暮らしの人におすすめな、おかずにもおつまみにもなる料理で、青海苔の風味が食欲をそそります。あらびき胡椒とにんにくを使った味付けはパンチがあり、大人向けの一品です。

材料
・鶏むね肉：1枚
・しょうゆ：大さじ1
・みりん：大さじ1
・砂糖：小さじ1
・酒：大さじ1
・にんにく：小さじ1
・生姜：小さじ1
・片栗粉：適量
・米油：適量

少量の油で揚げ焼きにする、鶏むね肉の和風タージーパイのレシピです。

作り方
1.鶏むね肉を3、4等分に切り、棒で叩いて1�pぐらいの薄さにする
2.調味料で下味をつけ、冷蔵庫で味を染み込ませる
3.片栗粉をまぶして油で揚げ焼きにする
4.両面がきつね色になるまでじっくりと加熱する

鶏むね肉を使った食べ応え満点の揚げ物で、砂糖とみりんの入った甘辛い味付けが食欲をそそります。おつまみに最適なレシピで、一人暮らしの夕食にも重宝するでしょう。

材料
・春巻きの皮：6枚
・ひき肉：200g
・玉ねぎ：1/4個
・チーズ：30g
・片栗粉：大さじ1
・塩：小さじ1/4
・あらびき胡椒：適用
・コンソメ：小さじ1
・水溶き小麦粉：適量
・揚げ油：適量

チーズ入りハンバーグ春巻きのレシピです。

作り方
1.ひき肉、玉ねぎ、チーズ、片栗粉をボウルで混ぜ合わせ、塩、胡椒、コンソメで味付けする
2.春巻きの皮に具を包む
3.少量の油で揚げ焼きにして、きつね色になるまで加熱する
4.食べるソースはお好みで

老若男女問わず好まれる一品で、ポン酢やトマトソースなど、好みのソースを付けて食べます。その日の気分でソースを変えて食べれば飽きもこないでしょう。

材料
・鯖：三枚におろした物を1切れ
・醤油：小さじ3
・みりん：小さじ2
・生姜：少々
・酒：小さじ2
・片栗粉：大さじ2〜3
・揚げ油：適量
・塩：適量

鯖の竜田揚げのレシピです。

作り方
1.鯖を一口大に切り、塩をまぶして臭みを取る
2.1に調味料を加えて、下味を付ける
3.片栗粉をまぶして油で揚げ焼きにする
4.外側がカリッとするまで加熱する

夕飯のおかずだけではなく、お弁当のおかずにもなる美味しい一品です。七味や山椒の粉をかけると大人の味になって、お酒が進みます。一人暮らしでも、手軽に魚料理を楽しめます。

一人暮らしで揚げ物調理を行う際によくある疑問を、回答とともにQ&A方式で紹介します。

A.1 揚げ物調理で発生する臭いは、調理前にキッチンの窓を開けて空気の流れを作り、換気扇を最大出力で回せば軽減できます。調理後は油を適切に処理し、使用した調理器具やキッチン周りをすぐにきれいにしましょう。さらに、空気清浄機や消臭スプレーを使用すると、キッチンなどの室内に残った臭いを除去できます。

A.2 揚げ物調理の後片付けを効率化するには、事前の準備と使い捨てアイテムの活用が効果的です。調理前にコンロ周りにアルミホイルを敷いておくと、油の飛び散りによる汚れを防げます。また、キッチンペーパーを多めに用意しておき、調理中に出る油汚れをすぐに拭き取れば、後の掃除が格段に楽になるでしょう。

フライパンや調理器具は油が固まる前の温かいうちに洗い、使い捨ての油落としシートを使用してコンロ周りをきれいに拭きましょう。